シースルーのドレスやボトムスを穿かないコーディネート、Tバックを見せるファッションなど、ここ最近セレブの着こなしが大胆になっていると感じている人も多いはず。

本記事では、<コスモポリタン イギリス版>のライターである、ナターシャ・ハーディングさんが、昨今のセレブのファッショントレンドを分析。肌の露出が増えている理由についての考えをお届けします。

文:ナターシャ・ハーディング

肌の露出が多い「シースルー」がトレンドに

コロナ禍の外出自粛期間を終えた昨今では、スパンコールや、バービーコア(全身ピンクで着飾った、バービー人形を彷彿とさせるスタイル)、ミニスカート、Y2K(2000年代のファッション)など、派手でエネルギッシュなファッションがトレンドに。そのなかでもここ最近、セレブの間のトレンドはもっぱらシースルー。

フローレンス・ピューやリタ・オラ、デュア・リパ、ヘイリー・ビーバーなど、数々のセレブがシアールックにトライしています。世界のランウェイでも「フェンディ」から新世代のデザイナー「ネンシ・ドジョカ」、「ミャウ」まで多くのブランドがこのデザインを追求しているのです。

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もちろん大胆なドレスは昔から存在しているけれど、近年の特徴はその頻度。数年前はシースルードレスは何年かに1度、あるいはレッドカーペットで見るものでした。

1974年のメットガラでシェールが着用したボブ・マッキーのドレスや、2014年のCFDAファッションアワードでリアーナが着用したスロフスキーのクリスタルが全面に散りばめられたシースルードレスがその例。ところが今では毎週のように見かけます。その理由はなぜなのでしょうか?

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ファッションと社会のつながり

世相を反映することも多い、ファッションの変遷。欧米では、戦後にコルセットを着用しない服装が浸透したり、60年代にミニスカートが大流行したこともありました。

行動心理学者で『The Psychology of Fashion(原題)』の著者であるキャロリン・メア先生は、「シアーファッションは、社会に対して混乱する人々のリアクションだと考えます」と説明。

自粛期間を終えた途端に華やかな服装がトレンドとなったのは、“新たな自由”を表現していると言えるのかもしれません。

「人と会いたかったというコロナ禍に対するリアクションだけではありません。アメリカの中絶法問題、ウクライナへの軍事侵攻、イギリスの欧州離脱など、このトレンドは多くの政治的問題も関係しています。生活に対する人々の反応が反映されているのです」
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「自分のために」服を纏う

個人にとって、ワードローブは自己を表現するための媒体です。シアーファッションは、さらにその一歩先をいくもの。「フリー・ザ・ニップル(乳首を解放しよう)」というフレーズとともに使われるのには理由があるのです。

「このトレンドを試すには着る人にも自信が必要。エンパワーしたいという気持ちや、『自分の自由や、自分の体の自由を示す』という姿勢が必要です」

服の枚数を減らすことには、比喩的にも実際にも、着ている人に焦点を戻すことにつながっています。メア先生は「自分の体は自分でコントロールするという意志を感じます。自信にエンパワメントされますよね」とコメント。その意味ではシースルーファッションは他の人のためでなく自分のために着ているサインとも言えます。

「これまで、大胆な服を着る人に対して『年を取り過ぎている、若すぎる、太り過ぎている、背が低すぎる』という批判が多かったと思います。それがある時点から『もう何を言われても気にしない』となったのです。それがボディ・ポジティブムーブメントの一部でもあるし、『自分の体を誇りに思う』というメッセージなんだと思います」
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これらの議論は、セレブの大胆なファッショントレンドから生まれたもの。だからたとえあなたがシースルードレスを好きだろうと好きでなかろうと、「体の自己決定権」と自分の体を受け入れることの大切さには同意しなければならないのです。そしてそのためにセレブのスタイルが一役買うのであれば、それは良い循環だと思うのです。

※この翻訳は抄訳です。
Translation: Haruka Thiel
COSMOPOLITAN UK