顔のハリやたるみ、ほうれい線のお悩みの対策としてよく挙げられるのが「ヒアルロン酸」。化粧品に含まれていたり、ヒアルロン酸注射として用いられていたりするなど、多くの人が名前を聞いたことがあるはず。
今回は美容皮膚科タカミクリニック 副院長の山屋雅美医師にヒアルロン酸の効果や選び方、副作用を取材。自分に合った使い方を探してみて。
【INDEX】
解説:山屋雅美医師(美容皮膚科タカミクリニック 副院長)
ヒアルロン酸とは
ヒアルロン酸は、もともと生体内に存在している成分。主に真皮にあるコラーゲン線維とエラスチン線維が形成する網目の隙間をうめるように存在し、肌の内側の水分を保つ役割を果たすだけでなく、肌全体に潤いと柔軟性をもたらしています。
ヒアルロン酸1gが保持できる水は、6リットル。ヒアルロン酸はもともと真皮で作り出されているものですが、加齢など肌機能の衰えによって、ヒアルロン酸を生み出す力は年々弱まり、生まれてから20歳をピークにヒアルロン酸量が減少しはじめます。
ヒアルロン酸が減少すると、肌の乾燥だけでなく、肌全体の弾力やハリが失われることでほうれい線などのシワや、目の下や顔全体のたるみなどを引き起こす原因となります。
ヒアルロン酸を含む化粧品の選び方
肌に塗布した場合は、ヒアルロン酸の持つ保水力により、肌の潤いを保ち、肌にハリと弾力を与える効果が期待できます。水分保持能力が高いため、乾燥が気になる人におすすめです。
化粧品に配合されているヒアルロン酸は様々な種類があり、それぞれ特性(保湿できる範囲など)が異なります。そのため、複数種類配合されているものを選ぶといいでしょう。
高分子と低分子の違い
高分子ヒアルロン酸
高分子のヒアルロン酸は、自然界にもともと存在する分子量の大きいヒアルロン酸のこと。分子量が大きいため、肌表面で水分を抱え込み、潤いをキープします。膜のように肌を保護し、角層内部の水分蒸発を防ぎます。
低分子ヒアルロン酸
一方、低分子のヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸に比べて分子量が小さいため、角層の深くにまで浸透して内側から潤いを保つ効果が期待できます。
それぞれの特性を活かし、化粧水には低分子、乳液やクリームには高分子が配合されているものが多くみられます。また、低分子はさっぱり、高分子はしっとり、と使用感が異なるので好みのテクスチャーで選ぶのもおすすめです。
ヒアルロン酸の種類
ヒアルロン酸には様々な種類があります。一般的に化粧品に配合されている主なヒアルロン酸とその特徴は下記のとおり。
ヒアルロン酸Na
分子量が大きいため(高分子ヒアルロン酸)、肌表面にとどまり潤いをキープします。
加水分解ヒアルロン酸
分子量が小さく(低分子ヒアルロン酸)、角層を潤わせます。
アセチルヒアルロン酸Na
親水基と疎水基を持ち、肌なじみが良くなるように改良した成分。保水性もヒアルロン酸の約2倍あることから「スーパーヒアルロン酸」とも呼ばれます。肌の内外両方に働きかけます。
ヒアルロン酸を含む化粧品の注意点
ヒアルロン酸は私たちの体の中にもともと存在しているため、アレルギーを引き起こす可能性が非常に低い成分です。しかし、ヒアルロン酸以外に配合されている成分が原因で肌荒れを起こすことも考えられます。
ヒアルロン酸だからと安心せずに、はじめて使用するときは小範囲で試してから、顔全体に使用をするようにしましょう。
ヒアルロン酸注射とは
ヒアルロン酸注射は架橋(効果を持続させるための加工)したヒアルロン酸製剤を皮下に注入して、内側からボリュームを持たせることでシワやくぼみを目立たなくさせたり、輪郭形成を行う治療法。
ほうれい線など顔のボリュームロスによるシワや、目の下くまなどのエイジング症状の改善、顎の形を整える、唇の形を整えることもできます。
効果は使用する製剤の種類や量、注入する部位にもよりますが、一般的には1年程度持続すると言われています。
ヒアルロン酸注射の副作用とリスク
当院では極細の針や、先が丸いカニューレを使用したり、静脈可視化装置で血管走行を確認しながら施術をおこなうなど、内出血を起こさないよう努めていますが、内出血のリスクはゼロではありません。内出血が起こった場合は、1~2週間程度でおさまります。
また、ヒアルロン酸は血管に詰まると皮膚が壊死したり、部位によっては失明をしたりする可能性があるので、必ず医師と相談して適切な施術を受けてください。
美容皮膚科タカミクリニック 副院長 山屋 雅美医師
しわやたるみ、シミなどのエイジング悩みに対する治療から、ニキビ・毛穴などの美肌治療まで幅広く担当。一人ひとりの悩みに寄り添う丁寧な診察と、高い技術力が人気。
美容皮膚科タカミクリニック
港区南青山3-18-5 モンテプラザ2・3F
Tel.03-5414-6000(初診)