続々と発売されるビタミンC誘導体配合のスキンケアコスメ。ビタミンCとの違いはもちろん、どのような効果が期待できるものなのでしょうか?
本記事では、知っているようで知らないビタミンCとビタミンC誘導体の基礎知識を、美容皮膚科シロノクリニック 恵比寿院の中川 桂医師に伺いました。
【INDEX】
ビタミンC誘導体とは?
「ビタミンCは、そのままの状態だと不安定で酸化しやすいため、化粧品にしてもすぐに効力がなくなってしまいます」と中川医師。ビタミンCが酸化している場合、効果がないばかりか、肌に悪い作用をもたらす可能性もあるとのこと。
「ビタミンCの安定性を高めるために、他の分子をくっつけたものが“ビタミンC誘導体”です。化粧品の中に存在しているときは安定していますが、肌に触れると体内に持つ酵素によって分子が離れ、ビタミンCとなって働き始めます」
ビタミンC・ビタミンC誘導体の効果
では、ビタミンCやビタミンC誘導体は、どのような効果が期待できるのでしょうか?
シワ改善
「ビタミンCは特定の酵素を助ける補酵素として働き、コラーゲンを生成します。人間の場合、体内でビタミンCを合成できないため、ビタミンCが欠乏してしまうとコラーゲンを生成することができなくなります」
シミの予防、シミ・くすみの改善
「紫外線に当たると体内で活性酸素が生じ、その影響でメラノサイトでメラニンが合成されます。これがシミの原因です」
「基本的にメラニンは皮膚のターンオーバーによって脱落するため長く残ることはないのですが、過度な紫外線を浴び続けたり、加齢やストレス、ホルモンバランス、乾燥などによってターンオーバーが乱れると、シミとなって残存します」
ビタミンCはメラニンが作られる際に働く“チロシナーゼ”という酵素を阻害するとともに、一度作られたメラニンを脱色する効果が期待できるのだそう。
「またビタミンEをサポートすることで血行が良くなり、皮膚のターンオーバーを促進させるので肌のくすみ改善も期待できます」
ニキビ予防
「皮脂分泌を抑制することで、皮脂を餌とするアクネ菌の増殖を防げます」と中川医師。
「活性酸素除去効果でニキビの炎症を落ち着かせたり、ニキビ跡の色素沈着を抑えることが可能です」
ビタミンC誘導体の種類や特徴とは?
肌にうれしい効果が期待できるビタミンC誘導体は、「水溶性」「油溶性」「両親媒性」の3種類に分けられるのだそう。それぞれの特徴を中川医師に解説してもらいました。
水溶性
水となじみやすい性質が特徴で、基本的には水溶性ビタミンがほとんどなのだとか。
「即効性があり、短期間で皮膚に吸収されてビタミンC本来の効果が期待できます。ローションなどに含まれていて比較的安価です」
油溶性
水溶性であるビタミンCに油分を結合させて脂溶性にし、エマルジョン(乳化)状態においても配合可能としたビタミンC誘導体が“脂溶性ビタミンC誘導体”。
「水溶性に比べて即効性はありませんが、水溶性ビタミンC誘導体よりも皮脂膜や角質層への吸収率が高いという性質があり、徐々に浸透して作用します」
両親媒性
水溶性と油溶性、両方の性質を持っているのが“両親媒性”。
「角層の細胞の隙間を埋めている『細胞間脂質』は、水分と脂質が網の目になった構造をしています。また、細胞ひとつひとつの『細胞膜』は脂質、細胞の中は水性です。そこでより浸透性を高めるために注目されたのが“両親媒性ビタミンC”。両方の性質を兼ね備えていますが、安定性が低く比較的高価になります」
シワやシミ、くすみ、ニキビなど、肌のトラブルにアプローチするビタミンC・ビタミンC誘導体。これを機に、自分の肌悩みに合ったアイテムを見つけてみましょう!
お話を伺ったのは…
美容皮膚科シロノクリニック 恵比寿院 中川 桂医師
その人の理想的かつナチュラルな美しさを最大限に引き出す美容治療がモットー。たるみ治療やシミ治療を得意とする。
東京都渋谷区広尾1-1-40 恵比寿プライムスクエアプラザ2F
TEL.0120-11-4422