少しずつ話題になることが増えてきた、「肌の糖化」。糖をとりすぎることによって、肌や髪、骨などの老化を進行させたり、さまざまな病気を招く原因ともいわれています。

今回は、「肌の糖化」の原因や影響、対策となるスキンケア方法や食事などを美容皮膚科タカミクリニック 副院長の山屋雅美医師に取材。エネルギー源になる糖分を適度に摂取しながら、自分の生活習慣を見直してみましょう。

解説:山屋雅美医師(美容皮膚科タカミクリニック 副院長)

「糖化」とは

糖化とは、摂取した余分な糖分が体内でたんぱく質と結びついて、細胞などを劣化させる現象のこと。糖化によって生成される終末糖化産物「AGEs」は一度できてしまうと自然には分解されにくく蓄積すると、肌や髪、骨などの老化を進行させたり、さまざまな病気を招く原因になります。

体が酸化すると「体がさびる」と言われることに対して、糖化は過剰な糖によって「体がこげる」反応とも言われます。

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Anna Efetova//Getty Images

肌への糖化による影響

肌への糖化による影響は、以下が挙げられます。

  • 表皮の褐色化
  • 真皮の硬化
  • 新陳代謝の低下

糖化によって生み出されたAGEsが表皮に沈着すると肌が黄色っぽくくすんで見えたり、ゴワつきを生じて肌の透明感が失われたりします。また、AGEsが蓄積すると肌の新陳代謝が低下し、メラニンの排出が滞ることでシミが生じやすくなります。

さらに糖化が進むと、肌のハリや弾力を保つコラーゲン線維やエラスチン線維が変性・劣化し、肌のハリや弾力が失われてシワやたるみを招きます。

「肌の糖化」の原因や原因となる生活習慣

糖化は糖質の摂りすぎによって起こります。糖分の多い食品(炭水化物、甘い食べもの、甘い飲み物など)を摂りすぎないようにして、AGEsが生成されないようにしましょう。

ただし、AGEsは体内で発生するだけではなく、食品にも含まれています。AGEsを多く含む食品の摂りすぎには気をつけてください。

AGEsを含む食品

たんぱく質と糖分を含む食材を加熱するとこんがり焼けたキツネ色になり、このキツネ色の部分にAGEsが発生します。つまり、こんがりと焼き目のついた食品にはAGEs含まれているということ。同じ食品であっても高い熱を加えた調理(揚げる、焼く、炒める)になるほどAGEsの含有量が増えます

また、摂取した糖分を消費できず、蓄積することも糖化の原因に。筋肉は糖を消費してエネルギーを産生するため、適度な運動を心がけましょう。

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NoSystem images//Getty Images

「糖化」した肌の改善方法

糖化によりくすんだ肌を改善するには、肌のターンオーバーを元に戻すことがまず大事です。

自分でできることとしてはターンオーバーを促すピーリング系のホームケアを取り入れたり、代謝を促進するよう入浴や睡眠をしっかりとったりすること。化粧品では抗糖化作用のあるビタミンCや肌のターンオーバーを促進するレチノール、肌のバリア機能を整えて乾燥を防ぐセラミドなどがおすすめです。

クリニックではエレクトロポレーションによる導入治療(特殊な電気パルスを利用して、細胞膜に小さな隙間を一時的に作り、成分を導入する施術)や高周波治療(高出力の高周波で脂肪層まで温め代謝を促進し、たるみを引き締める施術)などが人気です。

「肌の糖化」の予防法

食生活

前述の通り、糖質やAGEsを含む食品を摂りすぎないことに加え、糖化促進の原因となる血糖値の急激な上昇を抑える工夫をしましょう。

血糖値の上昇スピードを数値化したGI値の低いもの(白米よりは玄米、精製された小麦粉の食パンよりは全粒粉やライ麦のパンなど)を選んだり、食事の最初に野菜など食物繊維の多いものから食べたりして、血糖値の上昇を防ぐと◎。

スキンケア

紫外線は糖化を促進する可能性が高いため、1年を通して日焼け止めをしっかりと塗って紫外線対策を行ってください。

また、AGEsは一度生成されると自然に分解されにくいため、角質ケアや抗糖化ケアができるアイテムを取り入れてAGEsの蓄積を防ぎましょう。

生活習慣

適度な運動をして糖を消費して蓄積を防ぎましょう。食後1時間は血糖値が上がるため、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を行うと糖化のリスクを軽減することができます。

また、アルコールの摂取や喫煙、睡眠不足、ストレスも糖化につながる要因になるため、注意が必要です。


美容皮膚科タカミクリニック 副院長 山屋 雅美医師

美容皮膚科タカミクリニック 、ほうれい線対策
山屋正雅美医師
しわやたるみ、シミなどのエイジング悩みに対する治療から、ニキビ・毛穴などの美肌治療まで幅広く担当。一人ひとりの悩みに寄り添う丁寧な診察と、高い技術力が人気。

美容皮膚科タカミクリニック
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