なかなか消えないニキビ跡や深まるくすみ。良かれと思って続けているケアが、「色素沈着」を招いている原因になっている可能性も…。

そこで、色素沈着が起こる原因と対策を、美容皮膚科タカミクリニックの山屋 雅美 副院長に伺いました。


色素沈着とは?

知っているようで知らない「色素沈着」だけれど、一体どのような状態のことを言うのでしょうか?

「ニキビや火傷などの炎症の後や、摩擦などの刺激により色素細胞(メラノサイト)から過剰に分泌されたメラニン色素が、表皮や真皮に沈着して起こる肌の黒ずみのことです」

色素沈着が起こる原因

それではなぜ色素沈着が起きてしまうのか、その原因とメカニズムを山屋医師はこう解説。

「私たちの肌には、外的刺激から肌を守る防御機能が備わっています。それがメラニン色素です。肌は刺激を感じると表皮細胞を守るために、メラノサイトが活性化し、メラニン色素を生成します」

通常は肌のターンオーバーによって排出されるけれど、メラニンが過剰に生成されるとうまく排出できずに、肌に蓄積して色素沈着が発生するんだとか。

problematic skin
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肌への刺激となる原因

  • 紫外線ダメージ
  • スキンケア時の摩擦
    クレンジング・洗顔時、アイメイクを落とす際のコットンによる摩擦、コットンを使用しての拭き取り化粧水、スクラブ・ゴマージュなど擦るタイプの角質ケアなど。
  • 間違ったセルフケア
    ピンセットで角栓を抜き取るなどの毛穴ケア方法、剃毛や毛抜きによるムダ毛の自己処理、肌を擦るような強いマッサージなど。
  • 衣類の擦れ
  • ニキビや肌荒れなど、皮膚の炎症

パーツ別の正しい予防法

色素沈着が多いのは、顔だと皮膚の薄い目元、体なら首周りやニキビができやすく摩擦が多い背中やひじ、ひざなどの部位なんだそう。そこで山屋医師に聞いた、パーツ別の正しい予防法がこちら!

顔の色素沈着を防ぐ方法

「色素沈着の予防には、紫外線対策が不可欠です。曇りや雨の日も、外出をしない日も、一年を通して毎日必ず日焼け止めを塗る習慣をつけ、メラニンが過剰に作られてしまう肌環境を改善しましょう」

また紫外線対策に追加して、以下の“肌への刺激を与えない”ケアで色素沈着を予防するのが大切とのこと。

見直すべきスキンケア法

  • 長時間のクレンジング、洗顔
  • 肌を擦るタイプの角質ケア(ゴマージュやスクラブなど)
  • スキンケア時のコットンの使用
  • ふき取りクレンジング、拭き取り化粧水の使用
  • 肌を擦る、引っ張るような強すぎるマッサージ
  • 角栓をピンセットで抜き取るなど過剰な毛穴ケア

ひじ・ひざの色素沈着を防ぐ方法 

    日常生活において、ひじやひざをつくことが多かったり、体に密着するような肌触りの硬い生地の服を着ていると、摩擦により肌が擦れて色素沈着が起こり、黒く目立つようになってしまうのだとか。

    気を付けるべきこと

    • ひじやひざをつかないようにする
    • 肌触りの悪い服を続けて着用をしない
    winterizing dry itchy skin on the elbow area
    triocean//Getty Images

    デリケートゾーンの色素沈着を防ぐ方法

      デリケートゾーンの色素沈着は、下着や衣類の摩擦、剃毛による肌刺激が原因となるのだそう。

      気を付けるべきこと

      • きついジーンズなど圧迫の強い服を避ける
      • デリケートゾーンのムダ毛の処理頻度を減らす

      その他全身の色素沈着を防ぐ方法

      顔や体のどのパーツも同じで、摩擦や刺激を与えないことが色素沈着予防には必要!

      「日常生活では、皆さんが思っている以上に肌へ刺激を与えています。以下のケアをやめる、頻度を減らすなどをして、肌刺激を減らしましょう」

      気を付けるべきこと

      • 体を洗うときにナイロンタオルや硬いブラシを使用しない
      • 垢すりなど肌を擦るケアをしない
      • ボディミルクなどで身体もしっかり保湿する

      色素沈着解消セルフケア

      では、色素沈着を解消するためには、どのようなケアを取り入れれば良いのでしょうか?「顔や体など部位に限らず、色素沈着やニキビ跡のセルフケアとして“美白ケア”と“ターンオーバーを促すケア”を取り入れましょう」と山屋医師。

      美白ケア

      「美白成分の中でも特に有名な“ビタミンC誘導体”は、メラニン生成抑制効果とシミを薄くしてくれるメラニン還元作用の両方を持っています」

      ターンオーバーを整える

      通常は、肌のターンオーバーにより生成されたメラニン色素が排出されるけれど、ターンオーバーが滞るとメラニン色素が排出されずに蓄積して色素沈着が起こってしまうそう。

      「ターンオーバーを促進するケアと、ターンオーバーが乱れる生活習慣を見直しましょう」

      ターンオーバー促進ケア

      「生成されたメラニンを蓄積せずに排出するためには角質ケアなどを取り入れる、保湿をしっかり行うなどをして、ターンオーバーが正常に行われるようにしてください」

      角質ケアを取り入れる場合は、アイテム選びが重要。肌に摩擦を与えるゴマージュやスクラブなどは避け、塗るだけなど肌に摩擦を与えないアイテムを使うのがベスト。

      ターンオーバーが乱れる生活習慣の見直し

      「寝不足による肌機能の低下、ストレスによるホルモンバランスの乱れ、食生活の乱れによる栄養バランスの偏りは、ターンオーバーを乱す要因になります」と山屋医師。

      質のよい眠りを確保する、湯船に入ってリラックスをしてストレスを緩和させるのが◎。また、栄養バランスを整えるのも重要とのこと。

      • ビタミンC:ブロッコリー、ピーマン、いちご、レモン
        抗酸化作用が高く、メラニンの生成を抑え、できてしまったメラニンを還元して淡色化する作用が。
      • ビタミンB6:レバー、豚肉、いわし、まぐろ
        肌のターンオーバーを促す。
      • 良質なたんぱく質…肉、魚、卵、牛乳、大豆
        肌細胞やコラーゲンをつくる素となり、肌代謝を促進。

      サプリメントも賢く活用しながら、これらの栄養素を積極的に摂るように心がけて!

      「その他の部位も、基本的には顔の色素沈着と同じケアを取り入れましょう。デリケートゾーンは専用の美白アイテムや保湿アイテムを使うのがおすすめです」

      予防法やセルフケアを続けていても、イマイチ手応えが…と思うならプロの手に委ねるのもおすすめ。タカミクリニックでは、「レーザートーニング(メドライトC6)」や、美白成分を肌深部に導入する「タカミクリニック式メソフェイシャル」「タカミクリニック式メソボディ」、「白玉点滴(高濃度グルタチオン点滴)」などメニューもあるそう。


      日々のスキンケアや生活の中で、無意識にやってしまっていることもあるはず。今回教えてもらったことを参考に、色素沈着を引き起こすようなケアをしていないか改めて見直してみましょう!

      お話を伺ったのは…

      美容皮膚科タカミクリニック 山屋 雅美 副院長

       
      山屋 雅美 副院長

      しわやたるみ、シミなどのエイジング悩みに対する治療を主に担当。一人ひとりの悩みに寄り添う丁寧な診察と、高い技術力が人気。

      美容皮膚科タカミクリニック

      住所:港区南青山3-18-5 モンテプラザ2・3F
      Tel.03-5414-6000(初診)