体のバランスを整えたりストレスを緩和したり、体も心もより健やかな状態に近づくと言われる「ヨガ」。目標や期待をもってヨガに取り組んだり、ただ好きだからという理由で続ける人もきっといるはず。

ここでは体に起こる変化として、「体を絞るダイエットにヨガは効果的かどうか」を検証。もちろん痩せているかどうかだけが健康の指標ではありませんし、ヨガにどんなメリットを見出すかは多様なものです。

減量を伴うダイエットを目標とした場合に焦点をおき、そのためのヨガへの取り組み方のポイントを、配信プラットフォームLIVENowでヨガインストラクターを務めるトム・ウィルソン-レナードさんとシャーロット・レイノルズさんの二人に<NetDoctor>が聞きました。

ヨガで痩せることはできる?

定期的なエクササイズやバランスのとれた食事、日々カロリーコントロールに気をつけることは、持続的なウエイト・ロスを目指すための三本柱であり、この中にヨガを取り入れることは可能です。しかし「エクササイズをしながらウエイト・ロスを目指す場合、より重要なのは栄養面です」とウィルソン-レナードさんは指摘。

「痩せるためには“摂取するカロリーよりも消費するカロリーを増やす”――これがカギであることはたしか。かつ、筋肉を増やすことも重要です」

パワーヨガのように激しさをともなうヨガの場合は、より筋肉量を増やすために効果的です。一方で体重を減らすために毎日パワーヨガを2時間しなければならない、ということではありません。

リラックスしながら行う陰ヨガでも、体重を減らすことを目指すのに効果があるのだとか。

yoga for weight loss
Thomas Barwick

ヨガとマインドフルネス

体を使った動きに加えて、マインドフルネスにつながる精神的な要素も多いヨガ。 「ヨガの重要なメリットのひとつとして、自己認識を高めるというものがあります」とシャーロット・レイノルズさんは言います。

「ヨガを行うメリットには、自分の体とその動かし方について知るだけでなく、自分の思考や感情について知ることも含まれます。自分の思考プロセスを形作る傾向やパターンを理解することで、生活のあらゆる側面にメリットがもたらされることになるでしょう」

たとえば、難しい姿勢のときに現れる思考パターンに気づく、あるいはほとんどすべてのヨガのおわりに設けられる休息のポーズ「サヴァサーナ」で横になっているときにわきおこる感情に気づく、といったことがあるのだとか。

「こうした気づきは、自分をよりよく理解する機会になります。思考のパターンを探る中で、自分のためになっていないものがあったら変えていったり、それが自分の体重にまで影響を及ぼしていると考えられるパターンを見出す機会にもなり得ます」

減量におすすめなヨガ

ヨガにもたくさんの種類があり、中には体を大きく使ったり、激しい運動を伴うものも。それによって、回数を重ねるほど筋肉の育成に貢献したり、代謝が上がったりするという効果も。

「パワーヨガやアシュタンガ、ヴィンヤサヨガとよばれるものは、力強い動きが求められるダイナミックなヨガです。一定のポーズをキープしたり、ポーズを変えるときに体重移動をさせたり、体の重みを利用した動きも多く取り入れています(ウィルソン・レナードさん)」

心拍数を上げるのなら、ロケット・ヨガあるいはマンダラ・ヴィンヤサ・ヨガに取り組んでみるのがおすすめ。

「ロケット・ヨガはとてもエキサイティングで、難易度が高めのヨガです。クラスでは、腕でバランスを取ったり反転したりする、トリッキーな動きを学ぶでしょう」

それに対し、マンダラ・ヴィンヤサ・ヨガは「一般的なヴィンヤサ・ヨガよりもペースアップしたもので、呼吸に合わせてダンスのような動きを用いるものです」とウィルソン・レナードさん。

「それぞれのクラスで、後屈やひねりのような一連のポーズを集中的にとるので、かなり体ののびを体験できます」
yoga for weight loss
Thomas Barwick

ただし体重を減らすことを考えてヨガを行う場合、一般的にヨガはほかの運動形式などに比べると、集中的にエネルギーを消費するのに長けているものではないことを頭に置いておく必要もありそう。

「ヨガは身体を動かし、強化するうえではすばらしい手段ですが、大量にカロリーを燃焼することを期待してはいけません。強度の高い60分間のクラスでも、燃焼するカロリーの目安は約130カロリー。これはゆったりしたペースで1マイル(約1609m)走る場合のカロリー消費程度です」

ヨガはメンタル面を整えるのにも有効

ヨガでどれくらい体重を減らすことができるかどうかは、ヨガ以外の数多くの要素の影響も考慮するべき。たとえば、睡眠の質やストレスレベル、食事の内容と量、年齢、遺伝、アルコールの摂取量などによって体形は変化します。

つまり、多くのことを考慮したアプローチが必要になります。ヨガのクラスの中でも、ハードなものとゆるやかなものなど、バランスのとれた組み合わせを考えることも大切なのだとか。

「体重を減らすことを目標とするのならば、栄養管理を重視したほうが効果的でしょう。ヨガは、精神のバランスをとったり、メンタル面を晴れやかにする効果があります。それによりメンタルヘルスも含め、自身の健康に関してよりよい決断を下せるようにするなど、自分の体を思いやるための手段とするのがよいと思います(ウィルソン・レナードさん)」

ヨガの初心者が体重を減らすための5つの方法

体重を減らすためにヨガに取り組みたいけど、どうやってはじめたらよいのか戸惑っている方のために、5つの初心者向けのアドバイスをご紹介します。

1.実際のヨガのクラスに参加する

まずはヨガ仲間をオンラインで探してみるのを、ウィルソン・レナードさんはおすすめ。

「家でヨガをやってみてもいろいろ気が散ることも。集中してヨガを実践するなら、その場で励ましてくれたり、上達するために手を貸したりしてくれる先生がいるに越したことはありません」
「オンラインであっても、コミュニティに属しているという感覚を得たり、わくわくするような雰囲気を感じ取れるはず」

2.いいなと思うヨガの先生を探す

専門家の指導なしに、難しいポーズをマスターできる人はそうそういないでしょう。

「先生についての情報はネット上に多くあるので、クリックするだけで詳細がわかるし、自分に合いそうな先生を探すこともより簡単になっています。できれば、地元の先生とスタジオを見つけるのがいいでしょう(ウィルソン・レナードさん)」

3.スケジュールを抑える

ヨガをするための時間を確保することからはじめましょう。ヨガマットで過ごす時間が習慣化されるはずです、とウィルソン・レナードさん。

「ヨガの予定はその日または一週間の中で、“固定”された用事にするように。実際のスタジオにしても、オンデマンドにしても数多くのクラスがあるので、自分のスケジュールに合うヨガ教室をきっと見つけられるはずです」

4.支度を整える

必ずしも高価なレギンスやしゃれたブランケットなどはいらないものの、快適にヨガをするにはある程度の備品も必要。「品質のよいヨガ用グッズをそろえて自分の気持ちを高めてみて」とウィルソン・レナードさんは語ります。

5.リラックスして臨む

ヨガは決して、毎日何時間も取り組まなくてはいけないというわけではありません。

「まず短時間のレベルから始めていって、だんだん強度を上げていけばよいんです。始めたばかりの人にとっては60分も長く感じることが多いですから、最初は30分から45分くらいのクラスを選んで、上達してきたら上のクラスに進めばいいでしょう(ウィルソン・レナードさん)」

※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: 西山佑(Office Miyazaki Inc.)
NETDOCTOR