現代においては、主にビジネスシーンで使用されている「メール」。自分の会社以外の人との連絡や、記録に残したい内容を伝える上で重宝されている。

しかし先日、アメリカとイギリスで行われた調査では、メールが本来の仕事の妨げになっているとの回答もあるなど、コミュニケーションツールとして好まれていないことが明らかとなった。

メールはほとんど読まれていない?

SlackとOnePollは、アメリカとイギリスの中小企業の従業員8,000人を対象に、オフィスでのコミュニケーションに関する好みを調査。

同調査によると、回答者は1週間に平均112通のメールを作成しており、1通に対し5分半強を費やしているとのこと。そして週に丸1日以上をメールの作成に費やしているものの、受信者はほとんど読んでいないことが明らかとなった。

teenage girl logging into zoom class to study from home
Tom Werner//Getty Images

Slackのプロダクトマネジメント担当でシニア・バイスプレジデントのアリ・レイール氏は、「メールの作成に多くの時間を費やしているものの、ほとんどが読まれておらず、読まれたとしても読み飛ばされて誤解を招くこともある」と述べている。

「メールは、時代遅れで非効率なコミュニケーション形態であり、現代における仕事の進め方に追いついていません。従業員に対し、効率的なコミュニケーション方法を採用する企業は、より生産的で有意義な仕事に時間を割くことができるのです」

メールが仕事の妨げになる場合も

調査によると、従業員の50%がメールではなく、Microsoft TeamsやSlackのような他のサービスでコミュニケーションを取ることを望んでいるよう。また回答者の57%が、メールの対処は“つまらない仕事”と認識しており、本来の仕事の妨げになっているとも答えている。

実際に回答者の57%は、メールが“長すぎる(8文以上)”場合は、最後までしっかりと読む気にならないとも回答。さらに1日に8回は、件名だけを見てメールを削除(または読まない)している人も。そのため45%の人が、締め切りや会議などの重要な内容を見逃してしまっているそう。

メールを好まないのは、Z世代だけではない!?

メールでのコミュニケーションを好まない人は、「質問に答えてもらない」「宛名を間違えられる」「メールですでに答えている質問を直接聞される」といった不満を挙げている。

またメールでは、トーンを誤解しやすいため、回答者の半数が“フォーマルでなければならない”という意識が根底にあるとのこと。そういった意識が、Z世代の57%とミレニアル世代の46%の人たちにとってはハードルとなっているという。

portrait of a businesswoman holding digital tablet
andreswd//Getty Images

コンテンツクリエイターでスタートアップ・アドバイザーのナタリー・マーシャル氏は、<NEW YORK POST>にこのように説明している。

「Z世代のキャリアの多くは、自宅にいても誰もが常に対応する、バーチャルの世界から始まっています。そのため、いつでも誰とでも連絡をとれる環境に慣れていて、より迅速な対応が求められているのです」

けれど、メールではないコミュニケーションツールを求めているのは、決してデジタルネイティブ世代だけではないよう。現代においてほとんどの人が、手間がかかるメールに比べて、インスタントメッセージの即時性の高さや手軽さに慣れてきているとのこと。

「すべてが素早く進むため、誰もがスマホを手にしている現代においては、ダイレクトメッセージの方が効率的だと感じることが多いでしょう」

多くの人が仕事上の主なコミュニケーションツールとして、メールからインスタントメッセージに切り替えようとしているものの、素早い返信を求められたり、いつでも気軽に連絡が取れてしまうことから、仕事から離れて健全なワークライフバランスを管理するのが難しくなるかもしれないと指摘する人もいるよう。