もしあなたが猫を飼っているなら、「ふみふみ」についてはよく知っているはず。「ふみふみ」とは、猫が数秒から数分、繰り返し何かを踏むしぐさで、毛布や洋服、または人間の上ですることが多いそう。生地をこねる動作に似ていることから、英語では「ビスケット作り」とも呼ばれています。
この動作は猫が見せる最も可愛いしぐさの一つだけど、なぜそんなことをするのでしょうか? 今回は<ウーマンズデイ>から、獣医師に聞いた「猫がふみふみする理由」を解説します。
【INDEX】
猫が「ふみふみ」しているときの気持ち
「猫がふみふみするときは、前脚を伸ばし、毛布や何かの表面、あるいは飼い主のひざの辺りをやさしく踏むことが多いです」と語るのは、獣医師で猫に関するメディアのライターでもあるイラム・シャーマさん。
「ふみふみ」は、猫のポジティブな気持ちを表しているのだとか。
「ネコがふみふみをしていたら、幸せで満足しているということです。その後にゴロゴロと言っていたら、特にそう言えます」
猫が「ふみふみ」するメカニズム
獣医師のチノンエレム・ウクウェニさんは、「ふみふみ」するメカニズムについてこう説明します。
「猫は前脚に汗腺があるので、踏むことでなわばりをマーキングし、フェロモンをまき散らします。それとともに、爪をといできれいにし、愛情やくつろぎ、満足を示しているのです」
「毛布やクッション、家具を踏むのは、野生動物だったころからの名残。巣を快適にし、狩の後で爪をといだり、きれいにしたりするためです」
まれではあるものの、猫のなかには、防衛メカニズムの一つとして激しく「ふみふみ」する場合も。ただ猫が防衛的になっていなければ、ゴロゴロという声と伸びの姿勢でリラックスし、そのうちに寝てしまうとのこと。
専門家によると、「ふみふみ」にはいくつかの理由が考えられるそう。とくに多い理由は、以下のとおりです。
- リラックスしている、幸せ、満足している
- なわばりをマーキングし、前肢の汗腺を通してフェロモンを発するため
- 寝る前の準備のため
- 四肢を伸ばす、あるいは運動するため
- 自分を安心させるため
- 交尾する準備があると知らせるため(避妊手術をしていない雌猫の場合)
猫が「ふみふみ」するのは正常なこと
飼い猫が「ふみふみ」しているのを見ても、心配する必要はありません。専門家によると、これはまったく正常なことでほぼすべての猫に見られる行動なのだそう。
このしぐさは、生まれたばかりの子猫の頃に由来すると話すのはシャーマ医師。
「ふみふみは子猫が生き延びるための行動です。子猫が生き延びるには、必要な栄養を母乳からもらわなくてはなりません。だから、生まれたばかりの子猫は母猫をふみ、オキシトシンと呼ばれる『幸せホルモン』を出すようにしむけます。このホルモンが、母乳の分泌と哺乳を促すのです」
ウクウェニ医師によると、猫が育ってきた環境や避妊・去勢手術の年齢によっても「ふみふみ」の頻度は変わってくるそう。
猫が「ふみふみ」する理由
飼い主にする場合
猫はときに、母親や父親にふみふみして愛情や好意を示します。だからもし猫があなたに「ふみふみ」したら、満足した気分で安心していて、特別な存在だと認識しているということ。
シャーマさんは、猫が甘えたいという気持ちを伝えるためでもあると言います。
「あなたにふみふみをするもう一つの理由は、愛情を欲していて、関心を示し、抱きしめてほしいというメッセージかもしれません」
寝る前にする場合
猫は「ふみふみ」することによって自分を落ち着かせています。なかには、寝る前に「ふみふみ」することでストレスや不安を緩和する猫もいるとシャーマさんは解説。
人間が深呼吸することで眠くなるように、「ふみふみ」は猫の安眠に効果があるよう。
猫が「ふみふみ」しないとき
もし飼い猫がまったく「ふみふみ」しなくても、心配はいりません。シャーマさんによると、その理由はさまざまだそう。
考えられるのは、その猫が「ふみふみ」のやり方を教わったことがないということ。生まれてすぐに母親から遠ざけられた場合や、母親が亡くなった場合などに起こることが多く、そうした行動をする機会があまりなかったと考えられます。
また、単にその猫がふみふみする気分ではないということもありうるそう。他にも考えられる理由としては下記が挙げられます。
- ルーティーンの変化によって、ストレスを感じている
- 引き離された不安に苦しんでいる
- 何らかの健康問題による痛みがある
猫が「ふみふみ」しないのが心配で、とくに他にも心配な兆候がある場合は、獣医師に相談してみましょう。
※この翻訳は、抄訳です。
Translation:mayuko akimoto
WOMAN’S DAY