猫を飼ったことがある人なら、朝早くから起こされたら「おなかが減ったんだな」、毛を逆立ててしっぽを膨らませていたら「神経質になっているな」、と分かったりするかもしれません。でも、猫の気持ちは犬に比べてわかりにくいといわれています。

ミステリアスだからこそ良い、という猫好きの声も聞こえてきそうですが、猫の気持ちがわからなくて困るときや、もっと彼らの言葉を知りたいときもあるはず。

そこで、二人の獣医さんに聞いた「猫の気持ちの読み取り方」を、<ウーマンズ・デイ>からご紹介します。

のどをゴロゴロ鳴らす理由

満足や喜びのサインとして知られる、猫がのどを鳴らす行為。その意味はこれまでに研究されてきたものの、「まだ明らかとは言えません」とワイルドさん。「体の一部を使ったものではないことはわかっていて、のどの振動によって引き起こされるようです」。つまり、これは声というよりは、のどの振動による音と言えそう。

満足やリラックスと結びつけられてきたこの行為だけど、ワイルドさんによると「猫は自分を落ち着かせるためにものどを鳴らします。診察台の上で心底おびえている猫がのどを鳴らすのを見たことがありますし、病気の猫ものどを鳴らします」とのこと。

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C.Aranega

痛みを抱えている猫がのどを鳴らすことがあると語るのは、マコーミックさん。

「幸せホルモンとも呼ばれるエンドルフィンが分泌されると、自然とのどが鳴るので、幸せを感じているときにのどを鳴らしているように見えるのだと思います」
「心を落ち着かせたり、安心させたりする効果があるから、母猫が子猫に乳を飲ませたり、グルーミングしてあげたりするときにものどを鳴らすのです。痛みがあってのどを鳴らすのは、おそらく、それによって少しは自分の気分が良くなるからなのでしょう」

のどを鳴らす以外にもある!幸せな気持ちを表すサイン

ゴロゴロとのどを鳴らす他にも、猫が幸せな気持ちを表すサインが。それは「元気にはしゃいだり、人間と関わったりする動作です」とマコーミックさん。また、家具に体をこすりつけたり、食欲旺盛だったり、堂々と「家の中のあらゆる場所に出て行く」ことも、同じなのだとか。

ワイルドさんによると、体をこすりつけてくる動作は、あなたといて幸せだとか、あなたの関心が欲しいという、一番強いサイン。

「単に自分の匂いをつけるためにもしますが、人間や他の猫に頭突きをしたり、こすったりする動作は、その人間や猫と楽しく関わり合っているというサインなのです。実はうちの猫は、一緒に飼っているピット・ブル・テリアにこれをするんです。ものすごく可愛いですよ」

つまり、猫があなたや他のペットに頭突きをしているということは、あなたの飼い方がまちがっていないというサインですね。

鳴き声とボディランゲージにも注目

ドッグフード会社「Tails」の専属獣医であるショーン・マコーミックさんによると、古典的な猫の鳴き声である「ニャー」は、人間にしか出さない声なのだとか。「それは通常、猫がかまって欲しいときの鳴き声です」とマコーミックさん。いいかえると、「エサをちょうだい!」とか「なでて!」「見て!」といった意味だそう。

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Jaromir Chalabala / EyeEm

また、猫はよく人間に頭や首、顎などをこすりつけるけど、それは「仲良くなろうとしているか、相手が自分のものだとマーキングしているのです」とマコーミックさん。「猫は顎や首の分泌腺からフェロモンを分泌しますが、これが身の回りにあると心地よいと感じます。だから家具や人間も含め、周囲にこすりつけるのです」。

一方、猫の医療保険会社「Trupanion」の専属獣医であるキャロライン・ワイルドさんによると、猫のボディランゲージを読みとるには、体全体を見る必要があるそう。

「目や頭の位置などにばかり注目してはいけません。全体の姿勢を見るのです」とワイルドさん。

「猫が気を許しているときは、リラックスした姿勢をとります。怒っていたり、不安だったりすれば、うずくまったり、のけぞったりするものです」

猫の行動から読み取れるさまざまなサイン

目の動きにも意味がある⁉

「一般的に言って、猫がリラックスしているときに見られるのは、目を半分閉じて座っている状態です」とワイルドさん。一方で目を開いてアイコンタクトを取るのは、相手への関心を伝える行為。というのも、通常動物にとって長いアイコンタクトは、敵意のサインなのだとか。

「だから、猫がゆっくりまばたきするときは、攻撃する気はないと伝えているのです。敵意があると思われないように、凝視しないようにして下さいね」

また、マコーミックさんによると、「自分のテリトリーに入ってきたよそ者に向かって横長の目でじっと見ているときは“出て行け”というあからさまな挑戦です」。

「ゆっくりとした満足そうなまばたきは、猫がその場の人間や他の猫と一緒にいて快適だ、共存できそうだ、というサイン。その場合は、あなたの猫は「あなたがいるとリラックスするし、幸せだと伝えようとしているのです」とマコーミックさん。

「ふみふみ」は愛情の印

猫が前足で人ややわらかい物を踏んだり、揉んだりする動作は、「子猫の頃の母猫との結びつきに関係があります」とマコーミックさん。

「子猫は母猫のお腹を押すことで、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンやプロラクチンの分泌を刺激し、母乳の出を促しているのです」

この動作は大人になっても続き、気持ちを落ち着かせたり、愛情を確かめ合ったりするのに役立つそう。

不安や恐怖のサインには注意が必要

猫が不安や恐怖のサインを出すときは、病気や何か深刻なことの兆候かもしれないので、注意が必要。「気分が悪いときは、普段通りの行動をとらなくなるものです」とワイルドさん。

「普段グルーミングが好きな猫がグルーミングをしなくなったら、それは気分が悪い可能性が高いでしょう。いつも通りじゃないことはすべて、何かがうまくいっていないというサインになります」
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C.Aranega

「恐怖やストレスを感じているときに猫が最初にすることは、隠れることです」とマコーミックさん。環境に変化が起きたときや、慣れない場所に行ったときによく起こるそうで、背中やしっぽの毛を逆立てて自分を大きく見せるのも、脅威や恐怖を感じているときの動作。悲しげな声で鳴いたり、うなったり、シャーと声を上げたりすることも。

ワイルドさんによると、耳の位置にも注意が必要。横向きに寝かせたり、反らしたりしているときは、怖がっているか不安なときなのだとか。

「猫が怖がっているときは必ずそのことを伝えようとするので、よく注意しましょう。サインを見逃さなければ、ケガを回避することもできます」と語るワイルドさん。

恐怖のあまり、相手に飛びかかってケガをした猫を見てきたそうで、飼い主は猫がストレスや恐怖を感じる状況を改善するようにし、猫が隠れられる場所や安心できる場所を提供するべきだとのこと。

この翻訳は、抄訳です。

Translationmayuko akimoto

Woman's Day