映画化された人物も！歴史上のパワフルな「女性リーダー」12人

歴史上最も有名な支配者の一人が、古代エジプト・プトレマイオス朝の最後のファラオ（君主）だったクレオパトラ。正しくはクレオパトラ7世フィロパトル。

女王として類い稀なる知性や気品を備えていたと伝えられており、それを武器にエジプトの立場や経済を改善させたとされています。カエサルやマルクス・アントニウスらローマ帝国の有力者と親密な関係になったことでも知られており、現代でもたびたび映画化されるなど、神格化されているのはご存じのとおり。

15世紀フランスの国民的ヒロインとなったジャンヌ・ダルク。農家の娘でしたが“神の啓示”を受けてフランス軍に加わり、わずか17歳のときに英国との戦い（百年戦争）で将軍や兵士たちの士気を高めてオルレアンを解放。この戦いがターニングポイントとなり、結果的にフランスは救われたとされています。ですがその後捕虜となってしまい、“異端”の烙印を押されて19歳で火あぶりの刑を受けました。

英国の歴史上、最もパワフルな統治者の一人。「私はイギリスと結婚した」と語ったとおり、独身を貫いてその生涯を国政に捧げ、宗教改革や、自国の国際的な地位と経済力の向上を成功させるなど、イングランドの黄金時代を築きました。彼女の人生についてもっと詳しく知りたい人は、ケイト・ブランシェット主演の傑作映画『エリザベス』をチェックしてみて。

1762年から1796年に死去するまでロシアを治めたエカテリーナ2世は、18世紀における世界的な統治者の一人。ロシアの家系に生まれたわけではなく、生まれはプロイセン王国（現在のドイツ北部からポーランド西部あたり）ですが、権力志向と並々ならぬ努力を続けて統治者の地位に登りつめ、ロシアの地位向上に貢献したとされています。

また、アートに造詣が深く、世界有数の美術館となったエルミタージュ美術館の膨大なコレクションは、彼女の治世に築かれたといいます。

1821年、米マサチューセッツ州に生まれたクララ・バートン。同州で初の公立校（無料の学校）を創設したほか、ワシントンに移住後は米国特許局の職員となり、男性職員と同じ給料を得るなど、当時の男性優位の時代背景では考えられないほどの革新的な成果を残しました。

そして1861年に南北戦争が始まり、無数の負傷兵がワシントンに運び込まれるのを目の当たりにしたとき、政府の対応の悪さに気づいた彼女は、自ら医療品を前線に運ぶ行動をとり、“戦場の天使”と呼ばれるように。その後に渡ったスイスで「赤十字」の存在を知り、帰国後に「アメリカ赤十字」を設立しました。

1858年生まれ、イギリス婦人参政権の活動家グループ「サフラジェット（Suffragette）」のカリスマ的リーダーであったエメリン・パンクハースト。不当な状況に置かれていた女性の声を代弁し、社会を変えるべく、時に過激な手段で訴え、女性の参政権や男女同権獲得に大いに貢献しました。あの大女優メリル・ストリープがパンクハースト氏にふんしたパワフルな映画『未来を花束にして』は、必ずチェックしておきたい！

アメリカで「公民権運動の母」と呼ばれているローザ・パークス。1913年、黒人差別が激しかった南部アラバマ州に生まれました。1955年、彼女は乗っていたバス内で、白人に席を譲るようにとバスの運転手から命じられますが、それを拒否したため人種分離法違反で逮捕され有罪となってしまいます。この事件がきっかけとなり、あのキング牧師も巻き込んで次々とバスをボイコットし、大規模な公民権運動へと発展していきました。

1966 年、インドで初めての女性首相となったインディラ・ガンディー。彼女の名を冠した国際空港もあるので、聞き覚えのある人もいるはず。父ネールも1964年にこの世を去るまでインド首相を務めており、彼女はその後を継ぐかたちで首相となりました。はじめは“お飾り”と揶揄されることもありましたが、政治においてその才覚を披露し、指導力を発揮。インド政治史上最も強力な指導者の一人となりました。

1971年には東パキスタンの独立運動に武力介入。第三次印パ戦争を引き起こし、東パキスタンをバングラデシュとして独立させました。ちなみに、かの有名なマハトマ・ガンディーとは姓が同じだけで血縁関係はありません。

イギリス初の女性首相となった人物。1959年に政界でキャリアをスタートさせ、1979年から1990年まで、第2次大戦後最長となる11年間在任しました。その政治手腕には賛否両論があるものの、大胆かつ確固たる信念のもとリーダーシップをふるい、壊滅寸前だったイギリス経済を立て直したと評価する声も。

2011年の映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』では、メリル・ストリープが彼女を演じてアカデミー主演女優賞を獲得したことでも知られています。

ビルマ（現ミャンマー）の独立運動の父と呼ばれるアウン・サン将軍の長女。1980年代末から民主化運動のアイコンとして立ち上がり、長らくビルマを支配し国民に圧政を強いていた軍政権に抵抗しつづけました。政府により約15年にわたり自宅で軟禁状態下に置かれ、夫の最期をみとることもできないなど孤独な闘いを余儀なくされたましたが、現在は事実上の最高国家顧問に就任。国民の期待を背負っています。1991年にはノーベル平和賞を受賞。京都大学の客室研究員だった経験も。

選挙で選ばれたアフリカ初の女性大統領で、リベリア共和国の大統領を2期（12年）にわたって務めました。1961年に渡米、2つの大学で学んだ後にリベリアに帰国して財相を務めますが、1980年に軍事クーデターが起き、ケニアに逃亡。1985年に一時帰国した際、自宅軟禁となりやがて投獄されてしまいますが、その後解放され、内戦があった時代にはUNDP（国際連合開発計画）のアフリカ局長も務めました。内戦終了後の2005年には大統領に選ばれ、女性閣僚も数多く起用。2011年にはノーベル平和賞を受賞しました。

最も影響力をもつ女性リーダーの一人として知られ、2023年にドイツ首相経験者史上3人目となる、最高位の功労勲章「特装大十字賞」を受章。幼い頃から成績優秀で、物理学者の博士号も取得しています。ベルリンの壁崩壊後に出馬して初当選すると、目覚ましい活躍を見せ、2005年に女性にして初めてかつ最年少（51歳）でドイツ連邦首相に就任。4期（16年）に渡って務めあげました。

その合理的で強気とも言える態度から、サッチャー氏と対比して“鉄のお嬢さん”との呼び名も。かつて「国際女性デー」にロシアを訪問した際には、プーチン大統領に向かって「今朝はもちろん、あなたが奥さまの朝食を準備なさったんですよね？ 」と聞いたのだとか。