年齢やキャリア、将来のことを考えて「家のこと、どうしよう?」と漠然と考え始めるコスモポリタンの読者も多いはず。インターネットでいろいろと調べてみても、「買い時はいつ?」「物件は選びはどうすればいい?」と、大きな買い物だけに不安も大きくなるもの。そこで、そんなモヤモヤをプロにぶつけてみよう!と不動産相談サービス「住まいのミカタ」の不動産アドバイザー 川内野恵さんを直撃。
まず、最初に明確にしておくべきことはなんなのでしょう? 川内野さんによると「“なぜ買うのか/いつまでに買いたいのか/どんな暮らしがしたいのか”をはっきりさせることで、何を選ぶべきかが見えてきます」とのこと。
「みなさんおっしゃるのは、同じ金額を家賃(賃貸)で払うくらいなら資産として残したいということ。でもそれ以外にも現状の不満や将来の人生設計があるはずなんです。物件を見始めるといろいろな希望が出てきて翻弄されてしまうのですが、最初に物件購入の目的をはっきりしておけば、迷ったときに立ち返ることができます」
なるほど、目的を明確にしてから物件探しをスタートさせるのが良さそうですね。もっと知りたい不動産購入のアレコレを伺いました!
Q.一生に一度の大きな買い物、だから気になる「今は買い時?」
「市況感だけで言えば、ここ5年ほどマンションの価格はずっと右肩上がりで高くなっています。しかし、買い時ではないかと言えば、そうでもありません。今は金利がものすごく低いので、物件価格が高くても金利が低ければ買える物件の幅は広がりますよね。
ただ市況としての買い時と、個人的な買い時は異なると思います。このところ30代から40代前半でご購入される方が非常に増えていますが、35年ローンを組むことを考えると20代でも決して早すぎるとは思いません。35歳で35年ローンとなると仕事を退職した後の70歳まで支払いが続くことになりますし、現在は家賃を支払って生活しているけれども、ゆくゆくは自分の家を持ちたいと思うなら、安心という意味でも早く購入することもアリではないでしょうか」
Q.どの不動産屋さんに行けばいいのかわからないんです…。
「窓口にいらっしゃる方で多いのは『1から教えてください』という方と、『インターネットなどで物件は探したけれどピンとくるものがない』という方。あとは、『問い合わせた不動産屋さんが今一つ信頼できない』といった、マッチングの問題を感じたという方もいらっしゃいます。
まず、不動産屋さんには、新築を開発し売買しているマンションデベロッパーと中古物件を売買している不動産仲介業者の二つがあります。いわゆる『不動産屋』と言うと、この『不動産仲介業者』のイメージが多いですね。つまり新築と中古、どちらの物件が欲しいかによって、行く不動産屋さんは異なります。
大きな買い物ですし、信頼できる不動産屋さんをどう選べばいいか悩むところだと思いますので、『不動産会社紹介窓口サービス』などで、ニュートラルなアドバイスを受けつつ、安心の不動産屋選びへとつなげていただけたらと思います」
Q.新築と中古のメリット、デメリットってあるのでしょうか?
「新築物件は『他人の住んだ家に住みたくない』『ファーストオーナーになりたい』という人におすすめです。新築物件は、IoTなど最新の技術を使った設備を完備している物件が多いこともメリットです。金額的には、中古の場合に払う不動産仲介手数料(物件価格×3%+6万円)がなく、購入時の諸経費が安いこと。ちなみに中古物件の場合、6000万円なら186万円、3000万円なら96万円の仲介手数料がかかります。
ただ、新築物件は、そのマンションを分譲する不動産会社のモデルルームで買うことになります。営業マンも『自社物件を売ろう』という立場なので、ニュートラルな判断をしてくれない場合も物件を比較する時には、物件ごとのモデルルームに足を運ぶ必要があります。
中古物件のメリットは、物件が多く選択肢の幅があること。『イヤだな』と思えば『じゃあ次に』という具合で、賃貸のお部屋探しと似た感覚で比較することが容易です。また『場所はいいけど内装などが自分好みではない!』というときに、リフォームをして自分ならではのお部屋づくりを楽しめる余地が大きいのもメリットの1つです」
Q.【物件選びのポイント】 都内で資産価値が下がりにくい場所は?
「いつの時代にも一定の需要があるといわれているのは、都心5区(中央区、千代田区、港区、新宿区、渋谷区)に加えて文京区。近年は品川区と目黒区も人気です。もちろんそれらの区内でも、細かく見れば環境の良い悪いはありますから、どこでもいいというわけではありません。例えば、新宿区も高田馬場、神楽坂、市ヶ谷あたりは駅近3LDK中古マンションで築10年経っていても8000万円くらいしますが、繁華街である歌舞伎町だと住宅としての価値はもっと安くなるでしょうね。
リセール前提での購入であれば、『人気の立地』に加えて、『駅近』にこだわることが大事です。例えば築年数が50年でも表参道から1分なら購入希望者は殺到するでしょうし、逆に購入時は新築でピカピカの設備で100平米あっても、駅までバスに乗らなければいけない物件は、数年後の値崩れが気になります」
Q.【物件選びのポイント】 物件を実際に見に行った時、チェックしたいポイントは?
「晴れの日に日当たりをチェックするのはもちろんのこと、天気が悪い日と夜にも見に行くことをおすすめします。街灯の有無や人通りなど街の様子も、できる範囲でかまいませんからチェックしたほうがいいですね。建物の管理会社も大事なポイントなので、マンション内の掲示板にある管理のお知らせや、集合ポストにチラシが散乱していないかなどをチェックしましょう。現住民のマナーが出るのはゴミ置き場。分別されてない、においがするなど、目視でわかる範囲でチェックをしてみてください。
また私鉄沿線物件の場合は、実際の通勤時間に会社まで行ってみるのもおすすめです。朝の時間での乗り換えの接続、電車の遅延や混み具合などをチェックすることで、生活の実感が垣間見えますし、住み始めてから“思っていたより通勤に時間がかかる…”となることがありません」
Q.【金額シュミレーション】年収600万円で、手の届く物件価格の目安は?
「今は金利が低いので、例えば35歳で年収600万円以上であれば、融資としては35年ローンで6000万円近くまでは可能だと思います。ただ、上限いっぱいまで借りてしまうと、月々のローン返済だけで16~17万円は支払うことに。加えて管理費&修繕費で月に2~3万円は必要です。
逆に『月々の支払いは全部合わせて10万円まで』というところから逆算すると、3000万円くらいが限界でしょうか。都市銀行よりも低い金利のネット銀行を利用しても、3200万くらいが上限になると思います。
ちなみに修繕費は段階的に値上がりする性質のものなので、年額10万円弱くらいの固定資産税もかかってきます。
またローンを組むのに頭金は必ずしも必要ではありませんが、物件価格とは別にかかる諸経費(仲介手数料、登記費用など)は購入時に現金で支払いを行うことになります。それがだいたい物件価格の約7%。6000万円なら450万弱くらい、3000万円では200~250万円くらいになりますね」
お金のことを考えると、買うのがやっぱり怖くなってきますが…。
「賃貸だと『最悪、苦しくなれば家賃の安いところに引っ越せばいい』と思えるけれど、購入だとそうはいかない。逃げ道がないような気がして構えてしまいますよね。だからこそ『家を購入したい』という気持ちを、どうやってポジティブに実現していくかだと思います。
いい物件を選べば転売もできますし、固定資産税も月割りにすれば1万円弱。飲み会を1回パスすれば払えてしまう額です。家賃として払い捨てていたものが、資産になるわけですから、売却時にたとえ儲けが出なくてもローンの残債が残らなければいい、そう思ってあまり重くとらえないことですよね。
また、最近は住宅ローンに付帯されている『団体信用生命保険』という、返済途中で死亡したり高度機能障害で働けなくなった場合に、何らかの形で返済をカバーする保険の商品設計内容がとても充実しています。そうした商品の詳細は、融資元でお話を伺い検討していただくのがいいと思います」
なるほど! これで、自分が不動産購入するイメージができるようになってきたはず。本当に物件購入を考えているのであれば、まずは無料の相談窓口などに一度足を運んでみるのが良さそうですね。
住まいのミカタ 不動産アドバイザー 川内野恵さん
ITを活用し、エンドユーザーの後悔ない不動産購入を推進することをミッションに掲げる「株式会社フィルライフ」。マンション・戸建ての購入、売却、投資を検討している方向けに、面談形式での不動産相談の窓口事業を運営。多くの女性クライアントを担当する、マネージャーの川内野さんは、その人の1人ひとりの立場に立ったコンサルティングに定評あり!