※本記事には、性暴力についての記述があります。心身への影響を懸念される方は、閲覧にご注意ください。

13歳の少女を繰り返しレイプしたとして有罪判決を受けていたスコットランドの21歳の男が、釈放されたことが明らかになった。これは、2022年に新たに導入された「量刑ガイドライン」に従った判断とのこと。被告が初犯だったことに加え、事件当時17歳だったことが考慮されたという。

ショーン・ホッグ元被告は2018年3~6月、スコットランドのミッドロージアンにあるダルキース・カントリー・パークで、当時13歳だった少女に複数回にわたり、性的暴行を加えるなどしていた。

裁判記録によると、元被告は少女を脅し、手首をつかんで捕らえ、性的行為を強要し、レイプしていたという。裁判で判事は、元被告に有罪の判断を示した。だが、その後に行われた量刑審理で元被告に言い渡されたのは、「270時間の社会奉仕活動(無償労働)」。

これは、スコットランドの裁判所が2022年1月に新たに導入した、25歳未満の被告を対象とする量刑ガイドラインに沿った判断だという。刑罰を科すよりことよりも、主に更生させることに重点を置き、刑の量定を行うこととされている。また、判事には被告のそれまでの人生経験も考慮することが推奨されている。

ホッグ元被告に量刑を言い渡す際、判事はレイプについて、「最も重大な犯罪のひとつ」であると指摘していた。ただ、新たなガイドラインに従えば、拘禁刑を科すことは適切ではないと判断したと説明。元被告の「法的責任」や「年齢の要素」を考慮した結果であるとして、次のように述べている。

「この犯罪が25歳以上の成人によるものであれば、禁錮4~5年に相当するものと考えます」

「被告は初犯であり、過去に収監されたことがありません――現在21歳で、(犯行)当時は17歳でした」「刑務所に収監されることが、被告の更生につながると考えることはできません」

ホッグ元被告は270時間の社会奉仕活動に加え、釈放後も監視下に置かれるほか、「性犯罪者登録簿」に3年間、氏名が載せられることになる。

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Choochart Choochaikupt / EyeEm//Getty Images

イギリスでは、レイプの加害者に有罪判決が下される確率が、統計を取り始めて以来、最低の水準となっている。性暴力・虐待をなくすための活動を行う慈善団体「レイプ・クライシス(Rape Crisis)」によると、2021年に加害者が起訴された件数は、警察に届け出があった100件のうちわずか1件にとどまる。

ホッグ元被告に拘禁刑が科されなかったことは、否定的に受け止められている。「レイプ・クライシス」の最高執行責任者、サンディ・ブリンドリー氏は、「ショックを受けている」として、UK版『コスモポリタン』に、次のように述べている。

「この犯罪の重大さ、そして裁判が行われたのが刑事上級裁判所であることから考えれば…不安になるほど“緩い”判決です」

「どのような性的暴力であれ、被害者にとって、有罪の判断を示された加害者が量刑審理で自由の身となり、裁判所から出てきたことを報道で知るのは、とても受け入れがたいことでしょう」「この事件の被害者のことを思い、心を痛めています」

スコットランド検察庁の広報担当者は『BBC』に対し、「検察庁はこの判決についても、その他すべての裁判の場合と同じように、不当に寛容であるのかどうか、検討します」と述べている。

From COSMOPOLITAN UK