北アイルランドで行われた、性的暴行に関する裁判。そこでとある裁判官が、加害者に向けて発した言葉が物議を醸しています。

本記事では、事件の詳細や裁判官が発した言葉に対する世間の反応などについて、<コスモポリタン イギリス版>よりお届けします。

※本記事には、性暴力についての記述があります。

事件の詳細

北アイルランド・ベラ在住のカハル・パトリック・フィーニー被告は、2年前に女性に性的暴行を加えたとして逮捕されました。

「Plenty of Fish」というマッチングアプリを介して被害者と出会ったという、フィーニー被告。初回のデートは何事もなかったものの、2020年3月に2回目のデートに行ったところ、被害者はフィーニー被告の様子を不快に感じたと言います。

二人はディナーをしていたホテルを離れ、それぞれの家に帰宅。ところが、その数分後にはフィーニー被告が被害者女性の家の前に現れます。女性が「何もしないこと」を約束し部屋に入れることを許可したところ、フィーニー被告が性的暴行を加えたと言います。

close up of human hand against black background
Dina Issam / EyeEm//Getty Images

裁判で明らかになった事実

裁判でフィーニー被告は、母親や祖母を含む8人の女性から、すでに「接近禁止令」を受けていたことが発覚。暴行罪や裁判所命令の違反は67件に及び、その多くが酔った状態で起きたものであることがわかりました。

シェラード裁判官は、フィーニー被告を「攻撃的・凶悪・乱暴」と記録。懲役4年半と、7年間の保護観察処分の判決を下しました。

しかし、保護観察官が「被告人を危険人物だと見なすべき」と警告したにも関わらず、裁判官は被告人が「インターネット上で女性に連絡を取ることを禁止する案」を却下。

裁判官はその理由として被告人を“普通”の生活から排除させるべきでないと述べ、さらにこう続けました。

「ネット上で連絡を取ったことではなく、その後の行動が問題です」
「あなたはまだ若い男性です。仕事を探す、妻やパートナーを見つける、家族をつくるなどもっと生産的な方法で人生を歩みなさい」
rear view of woman looking at illuminated window
Dina Issam / EyeEm//Getty Images

物議をかもした裁判官の意見

しかしこの言葉は、ネット上で議論を呼ぶことに。

「保護観察官と警察は被告を危険な存在だと見なしているし、すでに8人の女性たちに対する接近禁止令が出されていて、実際にマッチングアプリで会った女性に性的暴行を加えた。それにも関わらず、彼が“普通”の生活から除外されないこと、彼のすべての問題を解決する相手をインターネット上で見つけるのが大事だって? 最悪だと思う」
「彼がいい妻を見つければ、苦しむ女性が一人で済むということ?」
「彼には女性と安定した関係性を築く力がない。それなのに裁判官は彼が一人の相手を見つけるべきだと思ってる? 家に閉じ込め虐待できるように? 他の人たちを助けるために?」
「接近禁止令は、そんなに簡単に科せられるものじゃない。何人もの女性たちが彼に対して接近禁止令が必要だと感じ、実際に禁止令が出ていることは危険である確かな証拠。それなのに、裁判官がその事実を無視するなんて。この事件は、何もかもがおかしい」

今もなお、この裁判官に対してさまざまな意見が集まっています。


相談窓口

性犯罪被害相談電話
Tel. #8103

男女共同参画局による公式サイト
※相談に関するQ&A、警察や病院に行く時に持って行った方がいいものなどが解説されています

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧


※この翻訳は抄訳です。
Translation: Haruka Thiel
COSMOPOLITAN UK