幼稚園から小学3年生までの間に性的指向や性自認に関する議論を禁止する法案(通称「Don't Say Gay Bill:ゲイと言ってはいけない法案」)がフロリダ州で可決され、多くの批判が寄せられている。

セレブやアスリートたちをはじめ、同法案に対する反対姿勢を表明する人が続出するなか、 フロリダ州オーランドでウォルト・ディズニー・ワールドを運営する米ウォルト・ディズニー社の従業員たちも抗議デモを敢行。

「性的指向の議論禁止法案」とは

「教育における親の権利」に追加される形でフロリダ州で新たに可決された、「性的指向の議論禁止」法案。

この法案により、学校内でセクシャリティやジェンダーアイデンティティについて話すことが禁止されるだけでなく、言及した教師やカウンセラーなどの学校関係者を保護者が訴えることができるようになるという。また、年齢制限についても基本的には3年生までが対象としながらも、「ふさわしい年齢でない場合や発達状態にふさわしくない場合」も禁止できる。

この法案によって「親の権利を後押しする」と話す賛成派の中には、性的指向などのトピックは学校ではなく家庭で教育するべきだと主張する人も。一方で、同法案に反対する人々は、LGBTQ+の若者の心身の安全や権利を脅かすものであると抗議の声を上げている。

バイデン大統領が声明を発表

同法案の可決に対し、バイデン大統領も声明を発表。

「すべてのLGBTQI+コミュニティの人、特にこの憎しみに満ちた法案により影響を受ける子供たちに知ってほしいことがあります。あなたたちは、ありのままで愛され、受け入れられるべき存在ですし、私はあなたたちの味方です。また、我々の政権はあなたたちの保護と安全のために戦い続けます」

米ウォルト・ディズニー社の対応

フロリダ州オーランドでウォルト・ディズニー・ワールドを運営し、多くの従業員を抱えている米ウォルト・ディズニー社は、同法案についてしばらく明言を避け、沈黙を貫いていた。さらに<バラエティ誌>によると、今回の法案に賛成した議員に寄付をしていたことも判明。

これらの対応が不誠実だと社内で抗議の声が高まり、CEOのボブ・チャペック氏は従業員向けのメールで「政治的な寄付は停止する」ことを明かし、法案に対する立場を明示しなかったことについても謝罪。

「平等の権利を求める戦いで、もっと強い同盟でいることを必要とされていたにもかかわらず、私は皆さんを失望させてしまいました」
「我が社はLGBTQ+コミュニティのおかげでより良い、より強い企業になっていると確信しています。今回は過ちをおかしが、どうか私を同志として頼ってください。私は皆さんが持つ権利にもとづいた保護、認知、そして機会を求めて、積極的に発言する支持者となります」

従業員たちが大規模デモを敢行

これらの事態を受けて、ディズニーの従業員たちは22日(現地時間)にオーランドやニューヨーク、アナハイム、そしてバーバンクでデモを敢行。

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SNSでは、ウォルト・ディズニー社に関わりのあるアニメーターなどの制作陣も、それぞれの想いを綴っている。

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「私はディズニーのライターです。今回のデモに参加します。制作も完全にストップしているのですが、これは一大事です。クィアな人、主にトランスジェンダーがアメリカでターゲットにされています。私たちは存在しない、受け入れられない、人間じゃない、そのようなメッセージを送られているようです」

また、ディズニーの子会社であるHuluなども声明を発表。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
「Huluは、LGBTQIA+コミュニティの基本的人権を侵害する法案に団結して反対します。LGBTQIA+のアイデンティや命を除外し過小評価をする法律にターゲットにされた同僚や語り手、家族や友人にファンを我々はサポートします。これからも、人々を融合しLGBTQIA+コミュニティを祝福する物語を伝え続けることに全力で取り組みます」
これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
「Disney+はLGBTQIA+の従業員、同僚、家族、語り手、そしてファンと共に立ち、LGBTQIA+コミュニティの基本的人権を侵害する法案を強く批判します。若い人やその家族を傷つけるような法案であるときは尚更です」

同法案が署名され、法律として成立した場合には、7月1日より施行されるという。