シーズンごとのファッショントレンドやデザインを紹介するだけでなく、いつも私たちに新たな視点を教えてくれるファッションウィーク。今回はファッションウィークが歴史を変えた、革新的な瞬間を振り返り。ファッションの持つ力や意味を再認識させられるはず!
全ての人が輝く瞬間
歌手リアーナは、彼女が手掛けるランジェリーブランド「サヴェージ X フェンティ」の2019年のコレクションで、どんな女性も大事な一員ということを、様々な体型、文化のモデルを起用して世界に示した。
「女性は地球上で最も強い人間」と『E!』に当時伝えたリアーナ。 「私たちの体は、いろんなことができるように作られていて、いろんなユニークな形にデザインされています。神の恵みによって、命を世界に産むことになったのなら、祝福されるべきだと思うんです」「『妊娠していたらランジェリーやメイクのモデルはできない』という理由で、仕事を一緒にやらないなんて、絶対言いません。どんな女性でも歓迎します」
言葉通り、リアーナは当時臨月だったモデル、スリック・ウッズを起用。なんとスリックはショー後、そのまま病院に運ばれ出産!
サンプルサイズの定義を変える
「Chromat」はファッションウィークを先進的に変えてきたブランド。2019年の春夏コレクションでは、ファッション業界のいわゆる“サンプルサイズ”ではないモデルが登場。
モデルを務めた、テス・ホリデーはこの機会を「私のキャリアの中でも最も記憶に残り、感慨深い瞬間」とInstagramで投稿。「私はキャリアの全てを、ファッション業界にもっと多様性が広がることに捧げてきました。同じミッションを持つ多くの人たちとランウェイをシェアできた、この気持ちは一生忘れません」
年齢はただの数字
デザイナーのブランドン・マックスウェルは2019年、ニューヨークファッションウィークでの春夏コレクションで、81歳の祖母ルイーズ・ジョンソンをステージに招待。赤のパンツスーツで素敵な登場をしたルイーズ♡ マックスウェルが彼女を迎えたのは、これが初めてではなく、実は2018年秋冬キャンペーンでも彼女を招待。
「私は今、自分が何者なのか、どこから来たのか、何が私を作ったのかとよく考える時期で、その核心は祖母だと思ったんです」と『Glamour』に話した彼。「彼女が今私がやっていることを後押しをしてくれました。そして彼女にあの空間を与えること以上に、最高のお礼はないと思ったんです」
トランスジェンダーは美しい
「Marco Marco」は歴史を変えたランジェリーブランドのひとつ。2018年ニューヨーク・ファッション・ウィークでの彼のショーには、トランスジェンダーとノンバイナリーモデルがランウェイへ。YouTuberのジジ・ゴージャスなどが参加した。
「私はいつもトランスジェンダーやノンバイナリーのモデルにショーへ出演してもらっていました。いつもゲイの男性やドラァグの男性の影に存在が隠れている気がしたんです」と『Mic』で語ったデザイナーのマルコ。
「トランスジェンダーの人々に注目が集まる場所を作りたいと思っていました。これは、トランスジェンダーの人々が存在していることを否定できなくし、美しいということをサポートする機会だったんです」
新しいノーマルを!
「Chromat」の2020年春夏コレクションでは、乳がん克服者のエリカ・ハートさんが登場。トップレスで乳房切除後の傷を堂々と披露する姿が見ている人をエンパワメント!
「Chromat」は以前にも、2019年12月に亡くなった義足モデルのママ・カックスを起用していた。
美しさを再定義
外胚葉異形成症(先天的に毛髪、歯、爪、汗腺などの外胚葉組織に形成異常を認める疾患の総称)のモデル、メラニー・ゲイドス が2015年ニューヨークファッションウィークで登場して話題に。
「私は自分の外見が嫌だったことは一度もありません。私自身の中身とは関係ないですから」「(ファッション業界は)毎年少しづつ、オープンマインドになっている気がします。私はファッションが理想を再定義していると信じていますし、それは私のような人々が変化を起こしているからだと思います」と2017年『Harper’s Bazaar』に話した。
カルチャーに変化を!
ハリマ・アデンはファッション業界に大きな変化をもたらした1人。彼女は2016年、アメリカのミネソタ州のミスコンテストで初めてヒジャブを着用したモデルとして有名になったのち、ニューヨークファッションウィークにカニエ・ウエストのブランド「Yeezy」のモデルとして登場。そして初めてヒジャブモデルとしてエージェンシーと契約!
2020年『Harper’s Bazaar』で彼女はこうコメント。「今まで自分がやるまで見たことがなかったんです、ヒジャブのモデルを。そして私が業界に入ってからたった3年で、ヒジャブモデルを見るようになったりと、変化を見ることができたのは最高でした」
マタニティモデルの力
ランウェイで妊娠したモデルを見る機会は増えてきている! ヴィクシーモデルのリリー・オルドリッジは2019年「ブランドン・マックスウェル」の春夏コレクションに、マタニティ姿で登場。当時は、第2子妊娠5ヶ月だったそう。
Instagramで「ブランドン・マックスウェルのランウェイを、妊娠中歩けたことを誇りに思う! 人生で何度かランウェイは歩いてきたけれど、このときのことはこれからも特別な想いで振り返るはず♡」とコメント。
プラスサイズをスタンダードに
プラスサイズモデルには、多くのブランドが力を入れている。中でも「クリスチャン・シリアーノ」は変化の最前線。
2018年秋冬コレクションで、様々なサイズや体型のモデルが登場。アシュリー・グラハム、キャンディス・ハフィンや、女優のダニエル・ブルックス、セルマ・ブレアがモデルとして起用された。
声を挙げる!
ニューヨークファッションウィークはいつも多くの問題提起をしてくれる。2018年は政治的なもの! デザイナーのジェレミー・スコットはショーで、当時、米最高裁判事候補であったブレット・カバノーにランウェイ上で反対デモ。「上院議員にカバノーはダメと伝えよう」と書かれたTシャツを着て登場した。
さらにクリスチャン・シリアーノはニューヨーク州知事選に立候補していた女優シンシア・ニクソンをサポートするため「シンシアに投票を」というTシャツをデザインし、ショーで披露。