さまざまな人種や年齢、サイズのモデルが起用されるようになった昨今。アシュリー・グラハムやテス・ホリデーなどの女性のプラスサイズモデルと同じように、男性のプラスサイズモデルも多く活躍している。

そこで今回は、根深い男性の美の基準を打ち破るプラスサイズモデルのザック・ミコについてご紹介。

ファッション業界を変えるプラスサイズモデル

PAPER>によると、モデルマネージメント会社 「IMG Models」は、プラスサイズのメンズ部門を立ち上げ、同社初の男性のプラスサイズモデルとしてザック・ミコと契約。彼の最初の仕事は、米大手ディスカウントストアチェーン「Target」のモッシモ・コレクションのモデルで、この仕事がきっかけで話題に。

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Debra L Rothenberg//Getty Images

2016年3月に掲載された<VOGUE>のインタビューでは、自身を「ごく普通の男」と説明し、当時はバーテンダーとフリーランスで大工仕事もしていたそう。また、自身が広告塔になることに対しては、このようにコメント。

「これをきっかけに、サイズの大きい男性たちがカタログやウェブサイトを開いて、共感できる誰かを目にするようになればいいなと思っています。 モデルを見て、『この人は自分に似ている…』と思ってほしいんです」

ボディイメージに苦しんだ過去

モデルとしてはもちろんのこと、SNSでもボディ・ポジティブ(外見や体型に対するコンプレックスを肯定し、ありのままの自分を愛すること)について積極的に発信しているザック。

けれど、過去には自尊心やボディ・イメージ(自身の外見や体についてもつ気持ち)の問題と闘ってきたと<People>のインタビューで明かしている。

「私はこれまでずっと、自尊心やセルフイメージの問題と闘ってきました。自分が魅力的な人間だなんて思ってもいなかった。男らしさやたくましさがないとみなされるから、自分がボディ・イメージに問題を抱えていると認めたくないんだと思います。でもみんな闘っているのです」
「今は、このままの姿、このままの自分でいいんだと感じています。でも妻がいなかったら、モデルになる自信も、何かをする自信もなかったでしょう。彼女は私に初めて魅力を感じさせてくれた人。そして私は今のままでいいんだと感じさせてくれた人なのです」
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zachmiko//Instagram

また<HuffPost>によると、モデルを始める前は服を購入するのが恥ずかしく、同じ服を10年以上着ていたという。

「買い物はしませんでした。着れなくなるまで、10年以上同じ服を着続けていたんです。服を買うのは怖かったし、恥ずかしかった。それに“はやり”のお店に入ると気分が悪くなっていたんです。自分のサイズに合うものがないという事実を知っていたから」

ステレオタイプな“男らしさ”がもたらす影響

HuffPost>に対し、「アメリカ人の男性として、たくましさが男らしさだと教え込まれて育ってきました」と語ったザック。 そしてステレオタイプな“男らしさ”が個人にもたらす影響についての自論をこのように語った。

「(アメリカの社会的に)男性にとってもっとも重要だとされているのは、自信があることです。自信があるというのは素晴らしいことであるものの、“男性特有の自信”というものが強調されると、多くの人は自信がないことや不安を抱えていることが“弱さ”であると信じこまれて育ちます」
「そして、自分自身をどう思っているのかということを恥じるようになり、それを隠して決して口にしない。これは自分自身にとっても、女性にとってもフェアではありません。なぜなら、こうした不安が深く内面化されると、男性はそうした考えを女性に投影してしまう可能性があるから」

SNS上の「男性の美の基準」を打ち破るため

現在ザックは、ポジティブな考えを広めることを目的として、ボディ・ポジティブでボディ・ニュートラル(自分の外見や体型に対する感じ方をそのまま受け入れること)なコンテンツを制作し、SNSで発信中。

IN THE KNOW>によると、「ボディ・ポジティブなコンテンツを作るようになったきっかけ」について聞かれたザックは、このように話している。

「ひとつは、ポジティブなセルフイメージをもつことが許されていると知らなかったからです。私のような見た目でもいいとは言われたことがなかったから、若い男性たちに『自分はこのままで大丈夫なんだ』と思ってもらえる存在になりたかったんです」
「体のサイズや体型に関係なく、多様な考えや感情、経験や価値観を持った立派な人間です。それは体型によって決まることではありません」

SNSでの発信にも力を入れているザックは、2021年に9XLまで豊富なサイズ展開の男性用水着ライン「Meekos」をローンチ。プラスサイズモデルとしてポジティブなアクションやメッセージを発信し続ける彼に、今後も注目していきたい!