大会も中盤に差し掛かり、日々盛り上がりを見せる東京オリンピック。そんななか、金メダリストとして知られるケイトリン・ジェンナーが、1976年のオリンピック出場時のエピソードを振り返った。
9歳から性同一性障害を抱えていた彼女は、世界一の栄光を手にしても、自身の問題と向き合えていなかったと明かし――。
陸上種目、十種競技の元世界記録保持者で、1976年に開催されたモントリオールオリンピックでは見事金メダルを勝ち取ったケイトリン(旧名:ブルース・ジェンナー)。当時はオリンピックメダリストとして世界中の人々から注目を集めていた彼女だけれど、その反面で自身のアイデンティティについて悩みを抱えていたという。
Netflixが公開した、新ドキュメンタリー番組『UNTOLD(原題)』の予告編動画に登場したケイトリンは、著名なアスリート達がテレビの向こう側で起こっていたドラマについて振り返る同番組で、当時の心境を告白。
「私は人生のすべてを隠していました。人々に自分のことを知ってもらいたくなかったし、本当の自分についても知られたくなかったんです」
「私はオリンピックチャンピオンで、 世界一のアスリートとなりましたが、昔と同じ人間で、昔と同じ問題を抱えていたのです」
幼い頃から自分の中の葛藤と戦っていたケイトリン。しかし、そんな思いが金メダル獲得の原動力だったと、以前<ウィメンズ・ヘルス アメリカ版>によるインタビューで語っていたことも。
「失読症とジェンダーに関する葛藤があったからこそ、オリンピックのチャンピオンになれたとも思っています。そういった葛藤を原動力にして、自分を後押ししていました」
カーダシアン&ジェンナー家の父親としてリアリティ番組で注目を集めた彼女は、2015年に性転換手術を受け、女性としての人生を歩むことを決意。今年にはカリフォルニア州知事選への出馬を表明したことも話題に。
「私が1976年のオリンピックで金メダルを獲得してから、アメリカ国内では様々な変化がありました。けれども、一つだけ変わってはならないものがあります。それは、私たちのこの国への愛。私は愛国者であり、カリフォルニア州のために戦います」
一人のトランスジェンダー女性として、大家族の父親として、そして金メダリストとして――自身の経験や想いを世の中に表現していくケイトリン。州知事に出馬した彼女が今度はどんなストーリーを見せてくれるのか、引き続き注目したい。