デビューシングル「ドライバーズ・ライセンス」が大ヒットし、俳優だけでなく歌手としても成功を収めるオリヴィア・ロドリゴ(21歳)。先日、人工妊娠中絶が禁止されているアメリカ・ミズーリ州で行われたライブ会場で、緊急避妊薬(モーニングアフターピル)とコンドームが配布され、注目を集めた。
自身のライブで避妊具を配布
2024年2月に、ワールドツアー「GUTS」をスタートさせたオリヴィア・ロドリゴ。<TODAY>によると、同ツアーは「全国中絶基金ネットワーク」とパートナー関係を結んでいるという。
3月13日(現地時間)にミズーリ州セントルイスで開催されたライブでは、同州の若者の妊娠や中絶をサポートするホットライン「Right by You」を招待。
中絶を禁止しているミズーリ州※でのライブで、緊急避妊薬「Julie」2箱と中絶へのアクセス情報源やミズーリ州中絶基金につながるQRコードが記載されたカードが配布されていたと<Variety>が報じている。
※アメリカでは24年1月時点で、50週のうち、14の州では全面的に中絶が禁止されている。そのうち5州では、性的暴行や近親相姦による妊娠の場合は中絶を例外としているが、ミズーリ州ではこの例外が適用されない。妊娠している人の生命を脅かす緊急事態の場合のみ許可されている
緊急避妊薬とは、妊娠をしたかもしれない性行為があった72時間以内に服用することで、8割ほどの妊娠阻止率をもつ飲み薬のこと。
英語ではプランBとよばれており、毎日決まった時間に飲んで避妊や生理痛緩和などの効果を示す経口避妊薬(低用量ピル)や妊娠の進行を止める経口中絶薬とは異なるもの。処方箋なしに、アメリカでは薬局などで取り扱いがされている。
会場ではコンドームやステッカーも無料で配り、ミズーリ州中絶基金はXに「中絶へのアクセスとプランBの配布のために<Right by You>と共にこの場所にいます」と投稿している。
ミズーリ州上院議員であるビル・エイゲル氏は、自身のXで「娘をもつ父親として、私はこの件に恐怖を感じている」と綴り、オリヴィアに対し“恥を知るべきだ”ともコメント。このツイートに対しX上では、エイゲル氏への批判の声が上がっている。
緊急避妊薬の配布を中止することに
女子の教育やリプロダクティブ・ライツ(自分の身体に関することを自分で決める権利)の支援、ジェンダーに基づく暴力の防止などを推進するNPOを直接支援するために、ワールドツアー開始とともにチャリティ基金「Fund 4 Good」を立ち上げたオリヴィア。
オリヴィアはツアーの初日に設立を発表し、「この基金はリプロダクティブヘルスの自由を求めるすべての女性、少女、人々を支援するために活動する」と説明。チケットの売上の一部を「Fund 4 Good」と「全国中絶基金ネットワーク」に寄付することも明らかにしている。
13日に行なったライブで避妊具が配布されたことはメディアの注目を集めたものの、次の日には緊急避妊薬の配布を中止すると発表している。
地元の中絶基金の関係者によるとこの決定はロドリゴのチームから下されたものであり、ツアーのパートナーである「全国中絶基金ネットワーク」から子どももライブにきているから、という理由で中止になったと伝えられたと話した。
また避妊具の配布についてはオリヴィアの決定ではないと、ミズーリ州中絶基金のコミュニティ・エンゲージメント・ディレクター、ロビン・フリセラ氏が<Variety>に寄せた声明の中で述べているとのこと。
「ミズーリ州中絶基金とRight by Youは、セントルイスで開催されたオリヴィア・ロドリゴのイベントに招待されましたが、配布したのは私たちの判断です」
避妊具の配布は行われないとされているものの、オリヴィアはこれまでもリプロダクティブ・ライツについて発信し続けていた。これからの活動にも注目したい。