冬の冷える朝、寒さに震えて全身の毛穴が縮こまるときや、ホラー映画を観て恐ろしさに毛が逆立つとき――まったく違う状況なのに、同じ現象が起きる鳥肌。

今回は<プリベンション>より、鳥肌が立つ理由をお届けします。この不思議な皮膚の現象が起こるメカニズムとは?

【INDEX】

  • 鳥肌とは
  • 鳥肌が立つ原因
  • 寒いときに以外に鳥肌が立つ理由

鳥肌とは

さまざまな要因によって、手足などの毛が逆立ったり、毛穴が縮こまったりすることで起きる鳥肌という症状。

ニュージャージー州を拠点とする家庭医療専門医のラレケ・アディベ医師によると、医学的には、鳥肌は英語で「Cutis Anserina」と言うそう。肌(Cutis)とガチョウ(Anser)を意味し、鳥類の肌との類似性が由来になっています。

また、鳥肌は「立毛筋反射」と呼ばれることも。これは立毛筋が収縮し、体毛を引っ張るため、毛が立ち、毛穴が盛り上がって見えるからだとシンシナティ大学医学部のディヤ・ムタシム教授は言います。

鳥肌が立つ原因

鳥肌はさまざまな刺激によって引き起こされるもので、寒さや、恐怖、驚き、他の強い感情がきっかけになる、とムタシム教授。また、鳥肌は交感神経の作用によって起こるため、自分の意思とは無関係に身体が動いてしまうそう。

ムシタム教授は、鳥肌は闘争・逃走反応の一種で、「人間になる以前の動物の頃の名残です」と解説。野生のほ乳類は寒いときに鳥肌を立てることで被毛を高くし、暖かさと断熱性を高め、体温の低下を防ぎ、寒さから身を守る習性があります。

マウスを使った研究で明らかになったのは、彼らは育毛を促進し、保温効果を高めることもできるということ。「人間には寒い気候から身を守れるほど長い毛はありませんが、そうした現象は残っているのです」とムタシム教授は言います。

cold water
microgen//Getty Images

寒いとき以外に鳥肌が立つ理由

多くのほ乳類は、おびえたり、不安になったりしたときに毛を立てて、自分を大きく見せ、威嚇します。恐がっているネコが体を風船のように膨らませるのもそのためで、人間が恐怖を感じたときに鳥肌を立てるのも同じ理由からだと言われています。

人間にはさまざまな感情があるので、畏怖の念や誇らしさを感じるような、感動的な場面でも鳥肌が立つそう。実際、2011年の<バイオロジカル・サイコロジー>誌に掲載されたある研究では、映画の中で2人の役者が会話をしているところなど、視覚に訴える社会的刺激の方が、音楽などの聴覚に訴える刺激よりも反応を引き起こしやすい、との結果が得られたとのこと。

ハーバード・ヘルス・パブリッシング>によると、鳥肌はやがて人類からなくなるのではないかと考える専門家も。今後、人類の進化によって鳥肌がどう変化していくのかが気になりますね。


※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation:mayuko akimoto
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