健康のためにダイエットをしようと意気込んでも、「10キロの減量」となれば、ハードなエクササイズや劇的な食生活の改善などが頭をよぎり、始まる前に諦めてしまう人も多いはず。また、リバウンドの有無も気になるところ。

そこで本記事では、専門家たちのアドバイスをもとにした「健康的に10キロ痩せるダイエット方法」を<グッド・ハウスキーピング>からお届けします。これまでの生活習慣に問題がある場合には、改善点を知り、ゆるやかに続けていくことで健康的な減量につながるはず。


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まずは、考え方を変える

「減量を妨げる一番の問題は『きっと達成できない』『そんなに頑張れない』と思い込んでしまう、その考え方。そもそも体の代謝は、人によって違うもの。そのことを理解したうえで、劇的な効果を求めず、少しずつ減量を進めていきましょう」と語るのは、米国登録栄養士のジャクリーン・ロンドンさん。

ピッツバーグ大学准教授(運動生理学)のレニー・ロジャース博士も、ロンドンさんの意見に同意。

「まずは自分のルーティーンをよく観察しましょう。“ダイエットとはこうあるべき”という型にはめようとせず、小さなことから生活を変えていくことが大切です」

体に違和感を感じた際には、すぐに医療機関に相談することも忘れずに。

woman in various exercise poses
We Are//Getty Images

1週間の減量目標は500g~1kg以下に

減量を始めると「とにかく早く体重を落としたい!」と焦るもの。でも、冷静に考えてみれば、一気に減量を目指さず「少しずつ」が賢明なのは当然のこと。

ロジャース博士によれば、精神的にも肉体的にも安全で実現可能なのは、週に500グラム~1キロ程度の減量を目指すこと。このペースを続ければ、半年後には約10キロの減量が可能ということになります。

また、栄養士のロンドンさんは、短期間でのダイエットがリバウンドを引き起こすことも指摘。

「10キロの減量といっても、元の体重によるところもあるとは思います。ただ、現在の体重の 7~10% 以上をわずか3 ~6 カ月未満で減量しようとするのは、体に無理がありすぎます。短期間で減量した場合には、同じ体重をキープし続けるのは難しいでしょう」

つまり、体に負担がかかりすぎない、持続可能な方法で減量することが最適だということ。

3~4時間おきに何か食べる

食事制限をした結果、深夜にお腹がすいてスナックをつまんでしまう…なんて経験はありませんか?

「これは決まった時間に食べるべき食事を抜いてしまっているか、十分な量を食べていないことが原因です」と、栄養士のロンドンさんは解説。

「こうしたつまみ食いを防ぐには、3~4時間おきにヘルシーなものを適量食べましょう。タンパク質と食物繊維、そして脂肪を適度にミックスすることで、不要なつまみ食いを防げますよ」

朝食はしっかりと食べる

朝食は1日を乗り切るための燃料補給。1日の摂取カロリーを減らすために朝食を抜くのはおすすめできません。

ロンドンさんによれば、「朝食を食べることが直接的に減量につながるわけではない」ものの、逆に「朝食を食べることが体重増加に大きく影響することもない」とのこと。

「朝食を食べる習慣がすでにある人は、野菜の量を2倍にしたり、タンパク質をもう少し加えるなど、朝食の増量を検討してみてください。私は、朝食を1日のメインの食事にし、栄養価の高い内容にしています。夕食での暴食や深夜のつまみ食いの防止にも繋がります」
breakfast
masahiro Makino//Getty Images

野菜や果物を常備する

「野菜や果物はしっかり摂りましょう。体に良いものをしっかり食べる方が、減量に繋がります」と、ロンドンさんは提案。

ロンドンさんおすすめの食事ルールは「お皿の半分を野菜で埋める」というもの。オムレツやサンドイッチには野菜をたっぷり使用し、すべての食事に山盛りのサラダを添えるなど、工夫次第で野菜はたくさん摂取できるもの。

また、おやつの選択肢として野菜やフルーツを取り入れるのもおすすめ。

「フライドポテトをつまみたいと思ったときには、野菜スティックをまずは食べてみてください。甘いものが欲しくなったら、リンゴなどの果物を食べるようにしましょう。チョコレートやスナックを開封するまえに、野菜チップや果物などをおやつの選択肢として取り入れることが大切です」

加工されていないものを選ぶ

「食物繊維が豊富な果物や野菜を食べる際には、ホールフード (できるだけ加工せずに丸ごと食べること)を心がけましょう」と、ロンドンさん。

「市販のフルーツジュースを飲む代わりに、果物をそのまま食べる。ポテトチップスを食べる代わりに焼きいもを食べる…など、置き換えを意識してみてください。そうすることで、添加物の摂取を減らせたり、栄養を十分にとることができるでしょう」

また、「炭水化物や糖質をすべて排除する」という考え方には、ロンドンさんは反対なのだとか。

砂糖が入った飲みものを避ける

甘味のあるコーヒーや紅茶、エナジードリンク、炭酸飲料、カクテル類、そして一見ヘルシーそうな果汁100% のジュースなどは、すべて糖分をたっぷり含んだドリンク。残念ながら、飲んでもお腹はいっぱいにならないのにカロリーは高め。

不要な糖分を抑えるには、まずは水を選ぶこと。それ以外では、無糖コーヒーや無糖の紅茶、無糖のソーダなどに置き換えましょう。

「減量中でもお酒が飲みたい場合は、蒸留酒をロックで飲めば糖分の摂取が抑えられます」と、ロンドンさん。

water being poured in a glass of water that cast a beautiful shadow on a white kitchen countertop
Stefania Pelfini, La Waziya Photography//Getty Images

短時間でできる運動から始める

Physical Activity Guidelines for Americans(アメリカ人のための運動ガイドライン)』によると、成人には毎週少なくとも150~300分、中レベル程度の有酸素運動が必要とされるそう。

体をアクティブに動かすことは「不安感の軽減」や「睡眠の質の向上」などに効果的なだけでなく、健康維持にとって欠かせないもの。

ロジャース博士も、食生活の見直しと共に軽い運動を取り入れることを推奨。

「運動をするのであれば、ルーティンをつくると習慣化されやすくなります。たとえば最初の週は、毎日10分ほど運動をする。そしてその次の週には15分に増やす…といったように」
「もちろん長く運動すればそれだけ消費カロリーが増え、減量にも効果があります。でも、いきなりは難しいですよね。私は患者さんに『まずは5日間だけ試してみて』と言うんです。運動時間を少しずつ増やし、体を慣らしていくことをおすすめします」

よりアクティブに体を動かすためには、1日に合計30分ほどの運動ができているのが良いそう。

「一度に30分の時間がとれなければ、1日に数回、短い運動をスケジュールに組み込みましょう。たとえば朝、出勤前に10分、ランチタイムに10分、仕事が終わった後に10分など、予定をきめて運動すると習慣になりますよ」

楽しめる有酸素運動を続ける

ロジャース博士は、健康的な減量を目指すためのワークアウトとしては、有酸素運動(汗をかき、心拍数を上げる運動)を推奨。ウェイトトレーニングなども筋力増強や骨の健康をサポートするために役立つものの、有酸素運動ほどのカロリー消費には繋がらないと考えているそう。

「ランニングまでいかずとも、中程度の運動でも効果が見込めます。たとえば、体を動かすことに慣れていない人には、早歩きでのウォーキングもおすすめ。“頑張らないと効果がない”という考え方はやめましょう」

「毎日30分運動する」「このメニューを必ずこなす」などと、量や強度にこだわりすぎず、まずは好きなときに気持ちよく体を動かすのがベスト。

毎日やっても苦ではない運動を選んでください。楽しめないことを無理やり頑張るより、その方がずっと効果的です。ダンスが好きなら、ジムやトレッドミルは忘れてダンスをしましょう。結局のところは、情熱をもってやり続けることが減量に繋がるんです」
couple having fun working out at home together
Willie B. Thomas//Getty Images

Translation: 宮田華子

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