2021年6月、大規模なリブランディングを発表したランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(以下ヴィクシー)」。以降、多様性を重視したキャスティングを行ってきたけど、モデルを務めた経験もあるベラ・ハディッド(25歳)が、2021年のホリデーキャンペーンにカムバック。
同ブランドの変革前を知る彼女は、出演することに対し「とても複雑だった」と胸の内を明かした。
2015年の「PINKホリデーキャンペーン」で初めて同ブランドと仕事をし、2016年~2018年にはファッションショーにも3年連続で出演。
しかし、昨年<ニューヨークタイムズ紙>が報じた元チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)のエド・ラゼックのセクハラ被害者の中には、彼女の名前もあったという。
そういった過去があるなか、今年のホリデーキャンペーンへ参加を決めたベラ。<マリ・クレール誌>では、同ブランドと再び仕事をすると決めた理由は、プリヤンカー・チョープラーなどの多くのスポークスウーマンを起用したからだと明らかに。
「私が再び参加しようと思ったのは、彼らが私のところに来て、舞台裏でヴィクトリアズ・シークレットが大きく変わったことを証明してくれたからです。かつてヴィクシーで働いていた女性の多くは、常に違和感を覚えていました。けれど今では、ヴィクトリアズ・シークレットの役員7名のうち6名が女性です」
「そして、撮影時には新しいルールができたりと、本当にたくさんの変化がありました。私は、世界にはヴィクシーのようなブランドが必要で、またヴィクシーにしか表現できないものがあると感じています」
また同ブランドとの打ち合わせには、約1年半かかったようで、過去にセクハラ被害を受けたことから複雑な気持ちを抱えていたけど、前向きになれた経緯について次のようにコメント。
「過去にある出来事があったので、その会話をすることさえとても複雑でした。でも彼らは自分たちが変えたことや、体型への多様性だけでなく女性全体に対する多様性を推進する方法について、大々的にプレゼンテーションをしてくれました」
さらに、新たな撮影は本当の意味で変化があったとも明らかに。
「基本的に、やりたくないと思うことは何もしなくていいんです。私たちは、見せたくない体の一部を見せる必要はもうありません。これは私たち女性にとってとても重要なことです。というのも、こうした撮影現場に行くと、私たちは自分の境界線を失ってしまうことが多いから。境界線を引いたとしても、実際には受け入れてもらえない場合もあるんです」
今は撮影現場に行くと、雰囲気が変わっているのを感じるというベラ。また、新アンバサダー「VSコレクティブ」となった人たちによって、自分の体に再び力を感じられたともいう。
「かつて“男性が男性のために”運営していたランジェリー企業だった頃に撮影現場で感じていた気持ちが、今は『サポートされている』という気持ちに変化しました」
「今では撮影現場で周りを見渡すと、力が湧いてきます。自分の体がある種の“お金を稼ぐもの”のように感じるのではなく、ランジェリーを身に着けているとパワーがあふれてくるのです」
「しっくりこないと感じる会社とは仕事をすることはない」とも断言したベラは、今ではセラピーのおかげで本来の自分の体を取り戻したと感じているとのこと。また、「ショーのために体重を減らさなきゃ」と、悩む必要のない生活を送っているそう。
「毎朝起きたときは、みんなが見ている“ベラ”でいる気分にはなれないんです。だから私は毎朝、努力をしています。もちろん、時にはそう思えない場合もあります。でも本当に大切なのは、地に足をつけて自分を愛すること。自分の価値は、他の誰かに決められるものではない。自分自身でしか見出せないと理解するのが重要なのです」
2019年のリアーナが手掛けるブランド「Savage X Fenty」のショーで歩くまで、自分のことをランウェイで「本当にセクシーでパワフルだと感じたことはなかった」と明らかにしたベラ。
ヴィクシーのショーで歩いた経験については、「自分の価値をたった3人の男性に決められ、彼らに良い・悪いを判断されるのは、女性として本当につらかった」とも語り、「それが全体の問題点だった」とも指摘。
多様性を重視し、ジェンダー平等を目指しているという新生ヴィクシー。今後どのようなブランドになっていくのか、引き続き注目したいですね。