あれから1年、人種差別に怒りと悲しみの声をあげたセレブ22人のその後
ジジ&ベラ・ハディッド姉妹からビリー・アイリッシュまで、BLM活動を調査!
2020年5月に、米ミネソタ州ミネアポリスで無抵抗だった黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官に殺害され、そのニュースがアメリカのみならず、世界中に人種差別の実態を知らしめた。これを機に、ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動が、世界的な社会問題として認識されたことは言うまでもない。
このあまりにも悲しい事件に心を痛め、やりきれない思いや憤りを露わにしたセレブたちは、あれから1年、どんな活動をしてきたのだろう? 多額の寄付で黒人のコミュニティをサポートしてきたビヨンセをはじめ、一貫性のあるメッセージでこの問題と真摯に向き合い続けるオプラ・ウィンフリー、コロナ禍で浮き彫りになったアジア・太平洋諸島系アメリカ人(AAPI)への差別にも言及したベラ・ハディッドなど、声をあげたセレブたちの活動をご紹介。
リアーナ
その後の活動
リアーナが手がけるランジェリーブランド、サヴェージ×フェンティは、BLM運動についての発信を続けている。
また、2021年4月には、NYのアジア人差別反対デモにお忍びで参加も!
2020年事件直後
「…精神的ショックと怒り、悲しみの大きさに、控えめに言っても打ちのめされています。来る日も来る日も、私たちの仲間が殺されたり、リンチを受けたりする様子を見せられることで、力を奪われる思いです」と、悲しみと繰り返される悲劇への落胆を素直に表現していたリアーナ。
2012年にリアーナが立ち上げたNPO団体のクララ・ライオネル基金は、2020年6月に、「不当な人種差別は、パンデミックによるアメリカ人のメンタルヘルスを悪化させている」という理由から、メンタルヘルス支援のサービス機関に1500万ドル(約16億4500万円)を寄付している。
ビヨンセ&ジェイ・Z
その後の活動
2020年9月、ビヨンセ39歳の誕生日には、アフリカ系アメリカ人が運営するビジネスに100万ドル(約1億970万円)を寄付したり、夫婦でBLM関連の支援活動を続けている。
2020年事件直後
ジョージ・フロイドの事件前から意欲的にBLM運動をサポートし続けているビヨンセ&ジェイ・Z夫妻。
2016年には、2012年に亡くなった黒人青年トレイボン・マーティンの(生きていれば)21歳を祝して、当時ジェイ・Zが経営していたサブスクベースの、音楽・ポッドキャスト・ビデオストリーミングサービス、タイダルが150万ドル(約1億6400万円)をBLM運動に寄付している。
また、ジョージ・フロイドが殺害された事件を受けて、ビヨンセは「…今もアメリカにある人種差別に、皆さんも絶望的になっているに違いありません…これ以上、目をそらしてたままではいられません」 とファンに語りかけた。
アリアナ・グランデ
その後の活動
アリアナ・グランデは、2020年5月、6月には、「Black Lives Matter」のTシャツ着用を禁じたことが理由で、大好きなスターバックスと決別したり、デモ行進に参加したりしていた。
2020年事件直後
「フォロワーの皆さんに、もう一度お願いします。どうか引き続き請願書に署名し、できるなら寄付し、そしてこれからもこの(人種差別)問題について、家族や友人と話し合い続けてください…。この国ではあまりにも頻繁に、無分別な殺人が起きています」と、ファンに語りかけた。
ジャスティン・ビーバー
その後の活動
ジャスティン・ビーバーは、2020年10月、自身のインスタグラムで、BLMについてSNSで投稿し続ける理由を「僕は(BLMのことを)片時も忘れたことがないということ、人種差別が悪であり、それが僕らの文化に根付いていることをこのプラットフォームを通して伝えたいんだ」と説明。
また、2021年5月には、国際オリンピック委員会(IOC)が五輪の競技会場や選手村での政治的、宗教的、人種的な宣伝活動を禁ずる五輪憲章第50条に基づいて、東京オリンピックの競技会場などで選手が人種差別などに言及することは認めないと発表。
これには、BLM関連のアイテムも含まれるということに対して、ジャスティンは「この決定を覆すべきだ」と苦言を呈している。
2020年事件直後
「“黒人の命が大切”になるまで、“すべての命が大切”とは言えない」とインスタグラムで訴えたジャスティン。
実は、2017年あたりから積極的にBLM運動について発信している。
ヘイリー・ビーバー
その後の活動
BLM活動に熱心な夫ジャスティン・ビーバーの影響もあってか、将来子どもを授かったときには、反人種差別主義に育てたいと語っているヘイリー・ビーバー。
2020年6月には、ジャスティンとともにアフリカ系アメリカ人の政治的声を強化を目的とするNPO団体カラー・オブ・チェンジに寄付したことを報告した。
2020年事件直後
2020年大統領選の予備選の投票日に先駆けて、「もし皆さんが本当の変化を望むなら、皆さんとは考えが異なる候補を、投票によって辞職させてください」と、政治によって人種差別に変革を起こそうと呼びかけた。
ジジ・ハディッド
その後の活動
2020年にコロナ禍で妊娠したジジ・ハディッドは、パンデミックやBLM運動が続く世界の現状を考えれば、自分が妊娠して喜んでいることを強調するのは適切ではないとの考えを示した。
さらに、 2020年に販売した自身のスタイルブック『Gigi Journal Part II』の売り上げの一部を、複数のBLM団体に寄付している。
2020年事件直後
政治的メッセージを発信することを臆さない、時代をけん引するハディッド姉妹。姉のジジ・ハディッドは、社会の在り方に疑問を呈した。
「激怒し、胸がむかつき、悲しみに打ちひしがれている。でも、決して驚きはしない。こうした事件は、あまりにも頻繁に起きている──拡散される(ジョージ・フロイドの)動画に収められたものだけではない」
「でも、偏見を持つ者たちと「殺人者」たちが捜査の対象となったり解雇されたりするのは、カメラに捉えられた場合だけのよう……」
ベラ・ハディッド
その後の活動
ベラ・ハディッドは、2020年8月、ファッション業界に染み付いている人種差別について考えをシェアし、全米黒人地位向上協会(NAACP)の法的擁護基金に寄付することを報告。
また、コロナ禍で広まるアジア人に対するヘイト犯罪にも怒りのメッセージを発信している。
2020年事件直後
「ジョージ・フロイド記念基金」への寄付を呼び掛けた。
レディー・ガガ
その後の活動
2020年9月、ビルボードの取材に、「すべての音楽はブラックミュージックです」「社会的正義は単なるリテラシーではなく、ライフスタイルです」と、一過性のものではないことを訴えた。
2020年事件直後
「ブラック・コミュニティ(黒人社会)はあまりにも長い間、沈黙させられてきました。そして、何度も繰り返し証明されてきたのは、その沈黙が命を奪っているということです」
「ですが、彼らが抗議のために何をしようと、彼らを守るはずのリーダーたちからはいまだに、彼らに対する思いやりが示されたことがありません」
「一般的なアメリカ人は、人種差別主義者、それが事実です」と、人種差別への意識の低さを批判した。
ビリー・アイリッシュ
その後の活動
2020年5、6月は、デモに参加したり、積極的に発信したりしていたビリー・アイリッシュ。
2021年6月にリリースされたばかりの新曲「Lost Cause」のミュージックビデオには、多人種の友人を出演させるなど、手の届く範囲で人種差別をなくすことに尽力している様子。
2020年事件直後
「あとひとりでも白人が“すべての命が重要だ”と言うのを聞いたら、私は正気を失う」
「…もしすべての命が重要なら、なぜ黒人は黒人であることを理由に殺されるの? なぜ移民は差別されるの? なぜ白人には、ほかの人種には与えられない機会が与えられるの?」と、無意識に根付いている白人至上主義について問いかけた。
キム・カーダシアン&カニエ・ウエスト
その後の活動
カニエ・ウエストは、2020年6月、白人によって殺されたジョージ・フロイド、アマド・オーブリー、ブリオナ・テイラーの遺族とその弁護団に、約2億円を寄付した。
また、ジョージ・フロイドが亡くなった当時6歳だった娘ジェンナが大学に通えるように、その費用を、貯蓄預金として開設したそう。
妻のキム・カーダシアンは、同じく2020年6月に、BLMのデモ中、警察官から至近距離で顔に向けてゴム弾を撃たれた少女に、医療費のサポートを申し出た。
さらに、2021年4月11日、ジョージ・フロイドが亡くなったミネソタ州で、1歳の娘を持つダンテ・ライトが、パートナーと車で走行中に交通違反の疑いで停車を求められ、その後警官に撃たれて死亡した事件に、SNSで「ダンテ・ライトさんのための正義を」と反応。
2020年事件直後
2億人超えのフォロワー数を誇るキムは、この社会問題を解決するために自身のプラットフォームを有効活用することをファンに伝えた。
「彼らが耐えてきた痛みや苦しみ、制度的な人種差別に悩まされる世界で生きていくのがどのようなことか、私が理解できることは決してないでしょう」
「ですが私は、あまりにも長い間、抑え込まれてきた声を大きくするのを助けるために、私自身の声を使えるということは知っています。」
ナオミ・キャンベル
その後の活動
2020年のパリ・ファッションウィークでは、「(人種差別による)不平等の問題について、ファッション業界全体の責任を問うべきときが来ました」と、多様性を呼びかけた。
また、2021年2月にUS版『i-D』誌の表紙を飾った彼女は、「ファッション業界で仕事をするようになって、有色人種のフォトグラファーに撮影してもらったのは今回が3回目」だと告白し、有色人種の活躍率の低さを指摘している。
2020年事件直後
第一線で活躍し続ける元祖スーパーモデルのナオミ・キャンベル。まだ駆け出しの頃に体験した、人種に基づいた偏見を率直に話してきた彼女は、「黒人男性は、あなたの敵ではない。#JusticeForFloyd(フロイドのための正義を)」と訴えた。
ファッション業界に変革を起こすのに、ナオミの存在は欠かせないと言えそう。
マイケル・ジョーダン
その後の活動
2020年6月、マイケル・ジョーダンはジョーダンブランドを通して、今後10年かけて約110憶円をBLM運動に寄付することを発表している。
2020年事件直後
「…私たち決して、無分別な残忍な行為に背を向けてはなりません。私たちは平和的に、不当な扱いに対する表現(行動)を続け、責任を追及していく必要があります」と、BLMを訴え続けることの重要性を説いた。
ゾーイ・クラヴィッツ
その後の活動
2020年6月にはロンドンのデモに参加し、8月には米Huluに対して有色人種の女性が主人公のドラマがほとんどないことを批判した女優のゾーイ・クラヴィッツ。
また、ヘアスタイリストは黒人女性を採用し、ブラック・コミュニティをサポートしている。
2020年事件直後
5月27日には、「ジョージ・フロイド あなたと、あなたの家族のために、胸を痛めています。警察の暴力は、なくさなければいけません。」とインスタにポスト。
しかし、すでに2016年には、警官による黒人の射殺事件が相次いで発生したことを受け、アリシア・キーズやビヨンセらとショートムービー『23 Ways You Could Be Killed If You Are Black in America(アメリカで黒人が殺される23の理由)』に出演するなど、以前からBLM運動に積極的に参加している。
カーディ・B
その後の活動
2021年2月、ブランドとのPR契約で白人よりギャラが少ないことが発覚したと、人種差別を暴露しているカーディ・B。
2020年事件直後
「もうたくさん! あと何が起きれば満足なの? 内戦? 新しい大統領? 激しい暴動? 疲れる! 私は疲れた! 国も疲れている!」と、歯に衣着せぬカーディ節で憤りをストレートに表現した。
オプラ・ウィンフリー
その後の活動
貧しい幼少期や性的虐待を乗り越えてきた過去から、人の気持ちに寄り添うテレビ進行で人気を博す大物司会者オプラ・ウィンフリー。
約35年にわたって、人権問題を訴えてきているが、2020年も『Spotlight: Where Do We Go From Here』、『Oprah & 100 Black Fathers』など多くの注目番組を制作。今なお、その一貫した人権擁護の価値観を発信し続けている。
2020年事件直後
「…私たちはあなたの名前を、ただのハッシュタグが付いた言葉にはさせません。あなたの魂は、あなたの名前で正義を求める私たちすべての叫びによって、高められました」とコメントを添えた。
バラク&ミシェル・オバマ
その後の活動
一家で運営する慈善団体、オバマ・ファウンデーション(オバマ財団)でBLMをはじめ、さまざまな慈善活動を実践しているオバマ元大統領夫妻。
ミシェルは2021年5月、報道番組『CBS This Morning』で、「人々がBLMの街頭抗議活動に参加するのは、そうしなければならないからだ」と語り、BLM運動のデモ行進を擁護している。
2020年事件直後
米国でアフリカ系アメリカ人が置かれている現状と、そこへの理解を求めたバラク・オバマ元大統領。
「…忘れてはならないのは、何百万ものアメリカ人にとって、人種を理由に異なる扱いを受けることは、悲しいことに、痛々しいほどに、そして腹立たしいほどに、“普通”なのだということです──医療制度においても、刑事司法制度においても、あるいはただ道でジョギングをしていても、公園で鳥を見ていても」
「2020年のアメリカで、これが“普通”であってはなりません。“普通”などではありえません。子どもたちに最も高い理想に見合った国で成長してほしいと願うなら、私たちはより良い方向に変わることができます。また、そう変わらなくてはなりません」
アレクサンドリア・オカシオ゠コルテス
その後の活動
SNSを駆使して、政治家の視点を織り交ぜながら積極的にフォロワーとのコミュニケーションを取り、2020年5月下旬、インスタライブでは、以下のような力強いメッセージも。
「今起きている(社会的な)不安に終止符を打ちたいと言いながら、その根本的な原因に目をつむるのなら、あなたは偽善者です」
「つまり、医療を受けることが与えられられるべき人権であると信じないのであれば、“ブラック・ライブズ・マター”と言うのを恐れているのなら、警察による暴行を指摘できないのなら、(一部の人種への)不当な扱いが続くことを望むのと同じです」
2020年事件直後
ジョージ・フロイドの死を受けて、次のようにコメントを残している。
「…多くの政治家たちは、警察の政治的権力を恐れているのです。だから、彼らに非道な殺人の責任を取らせるための変化が起こらないのです」
「このこと自体が、恐ろしい問題です。殺人者にその責任を問うことを、恐れるべきではありません」
オリヴィア・ワイルド
その後の活動
女優・映画監督のオリヴィア・ワイルドは、2021年2月、ハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)には20年以上にわたって黒人メンバーがいないことを受け、「#TimesUpGlobes」のハッシュタグを用いてツイッター上で反応した。
2020年事件直後
「これが、アメリカ💔」と、アメリカの現状に悲しみを表現した。
トレイシー・エリス・ロス
その後の活動
デモに参加したり、投票を促したり、2020年8月に起きたジェイコブ・ブレークへの銃撃事件に言及するなど、BLMを取り巻く政治活動に積極的に参加している大女優、トレイシー・エリス・ロス。
2020年事件直後
「ジョージ・フロイド。あなたは生きているべきです」と、ジョージの早すぎる死を悼んだ。