美容製品におけるジメチコン(シリコンの一種)の使用は、人により意見がわかれるもの。シリコンベースの化粧下地に信頼を置いて愛用している人がいる一方で、シリコンが含まれたスキン・ヘアケア製品、そして化粧品を避ける人もいます。

では実際のところ、ジメチコンは安全な成分なの? その疑問を解消するべく、皮膚科医や毛髪学の専門家に取材を実施! シリコン派もノンシリコン派もぜひチェックてみて。


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何に使われているの?

シリコンの一種で高分子のジメチコンは、美容製品に配合すると「すべすべ、つるつる」といったなめらかな質感が出る成分。

また、一時的にしわをのばしてくれたり、皮膚軟化剤(整肌剤)として機能したりする上、肌に皮膜のバリアをつくって水分の蒸発を防ぐ(閉塞性)性能もあるため、ファンデーション、化粧下地、ヘアケア、保湿液などに含まれています。「ノンシリコン」という表示がない多くの製品に配合されています。

肌に安全なものなの?

化粧品成分の安全性を科学的に評価するCosmetic Ingredient Reviewの専門委員会によれば、「美容製品におけるジメチコンの使用は安全」とのこと。ジメチコンの分子量は大きいため、大量に肌に吸収される可能性は低いのだそう。

「人は単純な判断で“これは安全、あれはダメ”と決めつけがちですが、ジメチコンがスキンケア製品に含まれていることに関して、業界で問題視をしている人は少ないのが実情です」と、皮膚科医のダーバル・G・バヌサリ博士も説明しています。

毛穴の詰まりの原因になる?

ジメチコンが「肌に皮膜のバリアをつくる」と聞くと、毛穴詰まりの原因になるのでは? と思った人もいるかもしれません。

バヌサリ博士によると、他の閉塞性のある物質と比べるとジメチコンはあまり重さのあるものではないため、オイリー肌の人の多くは、ジメチコンが含まれているコスメやスキンケア製品を「つけ心地がいい」と感じやすいとのこと。

「ジメチコンが毛穴の詰まりの原因になると考える皮膚科医はいないでしょう。(むしろ)その軽い質感の特性により、ニキビに悩んでいる人にとってメリットがある場合もあります」※心配な場合は、使用については皮膚科などで相談をしましょう

また、ジメチコンの落とし方については「市販のクレンジング剤でも、しっかりと落とすことができるでしょう」と、バヌサリ博士。

a wooden dressing table in sun with various beauty products, including a hairdryer and diffuser
Catherine Falls Commercial//Getty Images

ジメチコンは髪にはよくない?

ジメチコンが含まれる製品を肌に使う分には問題なさそう。けれど、髪に使うときには少し注意が必要。

毛髪学者のケリー・E・イェーツさんによれば、「髪がコーティング」されて重くなってしまうため、くせ毛や細い髪質の人には向いていないのだとか。

「髪が乾燥により傷んで絡まりがちな場合は、ジメチコンを使うとつやつや、さらさらになり、もつれた髪がほぐしやすくなり見た目も良くなります。ジメチコンは多くのヘアスタイリング剤に含まれています。キューティクルに付着してコーティングし、輝くなめらかな髪を演出してくれるものです」

けれど、このコーティング作用が長期的に見ると“問題”になることも。実はジメチコンは蓄積しやすく、キューティクルの内部に水分が行きわたるのを阻んでしまうため、髪がやせ細り乾燥し、傷んでしまうこともあるんだそう。

ただし、シリコンは硫酸塩が含まれているノンシリコンシャンプーで洗えば、簡単に落とすことができるので、合わせて使うようにすることがおすすめ。洗浄力が強く髪がパサつくというデメリットもあるけれど、同時に髪をリセットしてくれるので、シリコンが大量に配合された製品を使用している場合は、2、3週間に一度の頻度で使用し、洗い流して蓄積を防ぐといいそう。

ジメチコンの使用が抜け毛に繋がるのではないかという不安に関しては、「特に心配する必要はない」とバヌサリ博士。イェーツさんも「ヘアケア製品におけるジメチコンの使用で問題になるのは、むしろ毛髪自体の健康や質に対する影響」と説明しています。

ジメチコンは髪に蓄積するの?

前述のとおり、ジメチコンは髪に蓄積します。ジメチコン入りの製品を使うと髪が乾燥してしまうことがあるのは、蓄積したジメチコンが適切な水分バランスを整えるのを阻むから。さらに、過剰に使用すると毛先がパサついて弱々しくなり、切れ毛になりやすくなることも。

このような理由から、「シリコン製品の使用をおすすめできない髪質もある」とイェーツさん。

「たとえば、細い髪はコシがなく油っぽい見た目になったり、強いくせ毛や巻き毛は乾燥した弱々しい質感になったりすることがあります。強いくせ毛や巻き毛の人は髪が傷みやすいので、ジメチコンが入っている製品を使うのは避けた方が良いでしょう。乾燥が悪化し、切れ毛が起きてしまうかもしれません」

※この翻訳は、抄訳です。
Translation:平田美桜(Office Miyazaki Inc.)
COSMOPOLITAN US