新しい美容液を使いはじめたら、なんだか奇跡が起きたみたいにお肌がツヤツヤに! すっかりうれしくなって、毎日欠かさず数カ月ほど使い続けた結果--どうも以前ほどのツヤが得られず、効き目が弱まったような…? こんな経験、一度はありませんか?

気のせいなのか、それとも肌がそのスキンケアに“慣れてしまった”状態なのか。この「肌が慣れる」現象について、<マリ・クレール>が専門家に話を聞きました。


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「肌が慣れる」は本当?

皮膚科医のマーニー・ヌスバウム医学博士によると、長い時間をかけて使い続けることで、スキンケア製品中の成分の効き目が弱まってくることはあり得るとのこと。これは、薬物に耐性ができてしまう現象(=タキフィラキシー)が引き起こすもの。

「タキフィラキシーが起きると、体は分子レベルで信号を送る経路を変えてしまうため、製品の効き目が弱まってしまうのです」

ただ、ここで手持ちのスキンケア用品を全部捨ててしまうのはまだ早い! 博士によれば、「タキフィラキシーは一般的なスキンケアで起こることは非常にまれで、起こるとすれば、通常は乾癬や皮膚炎のための局所ステロイドが配合されている外用薬の場合です」とのこと。

「スキンケア製品の効果が感じられなくなったときには、さまざまな要素が原因として考えられます」

「効果が弱まった」と感じる理由

ヌスバウム博士いわく、スキンケア製品はその製品をはじめてつけたときに、もっとも大きな反応が出るものなのだとか。時間が経つとその効果が持続しているにも関わらず、目に見える効果は減ってくる。つまり、気づきにくくなることもあるということ。

使い合わせが悪い成分も

さらに、頻繁にスキンケアを替えるタイプの人だと、一緒に使うべきではない成分を混ぜて使っている恐れもあるそう。

「たとえば、ニキビの治療に使われる過酸化ベンゾイルは、ビタミンCを酸化させてしまいます。なので、このふたつの成分は一緒に使うべきではありません。ビタミンCとレチノイド(同じくニキビ治療に用いられる)もそう。いっしょにするとお肌に刺激を与えてしまうので、片方を朝、もうひとつを夜など別々に使うべきでしょう」

環境の変化も影響

「季節がめぐり変わり肌が乾燥するにつれ、美容液やローションが肌細胞の奥深くまで浸透しづらくなってきます」とヌスバウム博士は解説。

「周囲の環境の変化、たとえば近くでタバコを吸う人が増えたり、室内の化学物質や太陽光などは、フリーラジカルを増やしてお肌にダメージをあたえる可能性があります。すると、スキンケア製品も今まで以上にその働きが必要となることに。これが、あまり効果がなくなったように見える理由です」

実はちゃんと効いている場合も!

一方で、特殊な例も。たとえば、ビタミンAの一種でエイジングケア化粧品などに配合されるレチノール。

肌に刺激を感じたり、乾燥などの副作用が出る場合もある成分ですが、「(レチノールとその誘導体の総称でもある)レチノイドは、使っていくうちに徐々に効果がうすれてくると思われがち。ですが、これはお肌がこの成分に耐えられるようになってきただけ。スキンケアとしてはちゃんと効いていて、ただその副作用が出なくなったというだけなのです」とヌスバウム博士は説明。

スキンケアを変えるべきタイミング

ニューヨークとロサンゼルスにある「ジョアンナ・ヴァルガス・サロン」の創立者で、セレブのフェイシャリストでもあるジョアンナ・ヴァルガスさんは次のように説明。

「スキンケア製品の効果に大きな変化はありませんが、お肌の状態は変わります。その人の肌に“必要なもの”は、時や状況によって少しずつ変化していくものなんですよ」

季節ごとに変えてみる

たとえば、肌が乾燥する冬には美容液やセラムをローションに替えてみたり、ローションをクリームにしてみるなど、季節ごとにスキンケアを変えることをヴァルガスさんはおすすめ。

ただし、「新しい成分を加えるときには、他のスキンケア製品との組合せに気をつけてほしい」とヌスバウム博士は強調。

一日の中で使い分けをする

ヌスバウム博士によると、一日の間でスキンケアの使い分けをすることも一つの手とのこと。

「朝と夜に分けて違うスキンケアを使うのも賢い方法。こうすれば、効能のある成分の効き目を体感しながら、それらがお互いの効き目を消してしまったり、あるいはいろいろつけすぎたせいで、スキンケア製品がちゃんと肌につかなくなってしまう現象も心配しなくてよいでしょう」

スキンケア製品を効果的に長く使う方法

定期的な角質ケアを!

ヌスバウム博士によると、週に1~2回は、角質(死んだ皮膚細胞の層)を除去して、有効成分がより深く浸透するようにするにケアすると効果的だそう。最高の結果を得るために、必ずメイクを落とし、きれいにクレンジングしてからスキンケア製品をつけること!

「それから、フリーラジカルを防ぐようにつとめることも大事です。これは皮膚細胞のターンオーバー(皮膚細胞の生まれ変わりの過程)を遅くらせてしまい、ドライでくすんだ肌にして、小じわやしわを増やしかねないので」

UVケアも忘れずに!

また、広域スペクトラム(海外の基準で、広範囲の波長の紫外線を防ぐもの)あるいはSPF30以上の日焼け止めを、年間通して使用したほうがいいのだとか。

保管場所にも気をつけて!

原料によっては、使い続ける(製品のフタを開け閉めする)うちに不安定になり、効果がだんだんと薄れていくものも。特に、湿度の高いお風呂場近くなどにボトルを置きっぱなしにするのはNG。

「時間が経過したものや保存方法によっては、有効成分が分離したり化学変化してしまいます。スキンケア製品は常に涼しい乾燥した場所に保存して、使ったらすぐにフタを閉めてください」と博士。

自分のスキンケアに疑問があるときは、まずは皮膚科医に相談するのがおすすめ。あなたの肌に最も合ったスキンケア方法をアドバイスしてくれるでしょう。

この翻訳は、抄訳です。

Translation:Sasaki Noriko(Office Miyazaki Inc.)

MARIE CLAIRE