先月、「The Archives of Sexual Behavior」という学会誌に、「ポリアモリー」のカップルについての研究が掲載されました。

ポリアモリーとは、交際相手を一人だけに限定しない恋愛のスタイルです。単なる浮気との大きな違いは、お互いに自分の交際状況を隠さずオープンにしていること。アメリカの心理学会は、大体人口の5%程度がポリアモリーを実践していると推定しています。

今回の研究では、ポリアモリーのカップル達と、モノガミー(一般的とされている一対一)のカップル達を対象に、様々な要素を比較しました。メインのパートナーに関しては、どちらも同等の幸福度を示していた一方、コミュニケーションとオープンさに関しては、ポリアモリーのカップルの方が大幅に満足度が高いことが判明しました。

先月のバイリンガルニュースの特別編で、ちょうどポリアモリーを実践している友人のSaraをゲストに招いたのですが、彼女もまさに同じことを言っていました。彼女にはアメリカ在住の彼氏がいて、その人がメインのパートナーですが、そのほかにデートしたりセックスしたりする相手がいます。彼も同様に、ほかの女性と遊びに行ったりセックスしています。そして全てをオープンに報告しあい、相手がほかの人と遊びに行く時は「楽しんできてね!」と快く送り出す。

つまり、自分の彼氏や彼女以外の人に性的興味を抱いたときに、それを追求でき、追求したところでメインのパートナーと別れる必要もない。ポリアモリーとモノガミーでは、お互いのルールが根本的に全く異なるのです。

ポリアモリーを成立させるためには、お互いに対する絶対的な信頼が必要不可欠です。嘘はつかない、隠し事はしない。そもそも「浮気=悪」の概念がないので、隠し事をする理由もないのですが。ポリアモリーは、嫉妬や独占欲を越えた関係性であり、よく話し合って、お互いが傷つかず一緒に幸せになるためのルールを自分たちで決めていきます。その結果、モノガミーのカップルよりも、必然的に自分たちの感情や2人の立ち位置を話し合う機会が多くなるのではないかと思います。

私自身は、結婚したばかりで、自分にはポリアモリーは向いていないと思っていますが、それも単なるタイプのひとつで、世の中には様々なタイプの人がいます。ポリガミー(複数結婚)の権利を訴えている人々もいるし、ゲイの人もバイセクシャルの人もいるし、そういう既存のカテゴリーのいずれにもあてはまらない人もいるし、例えばエーセクシュアルの人々は、度合いは人それぞれですが、他人に対して恋愛感情や性的な感情を抱きません。

これまではテレビ・新聞・雑誌など、メインストリームのメディアが作り出す恋愛のイメージだけが「普通」とされてきました。しかしインターネットの普及で一般市民が声を得たことと、デジタルネイティブ世代の出現によって、「普通」という言葉でひとくくりにできるほど、人間の社会性が単純なものではないことがわかってきています。そしてミレニアル世代(1980年代〜2000年代始めに生まれた世代)においては上の世代に比べ人間の多様性への理解があり、他人への偏見も少ないという調査結果が多く出ています。

ポリアモリーに関しても、耳にする機会が増えてきました。恋愛にとどまらず全ての事柄において、多様性を認めるということは、「自分は普通じゃないんだ」「普通じゃないということは、自分は異常なんだ」と思い悩んでいる人々を一気に救うことにもなります。「他人に害を与えたり傷つけたりしない限りは、個人はなにをしても自由」と私は思っているので、少しずつではありますが、多様性を受け入れる社会にシフトしてきていることを嬉しく思うとともに、今後が楽しみです。

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