黒肌ギャルユニット「ブラックダイヤモンド」のリーダーで、ABEMAの報道番組『ABEMA Prime(以下アベプラ)』のコメンテーターとして注目を集めるあおちゃんぺさん。若者にもわかりやすい言葉での率直な質問や的確なコメントは、SNS世代から多くの共感を呼ぶことに。

今回は、“令和最強のギャル”との声も上がる彼女に、ギャルになったきっかけから社会問題に向き合うなかで得た気づきまで、いろいろとお聞きしてみました。

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日本を代表するギャル文化を守りたい

――まずはギャルになったきっかけを教えてください。

小学校6年生くらいから100均でコスメを買って、お化粧を始めました。昔から自分がかわいくないことを自覚していたので、かわいくなろうと思って。ものすごく勉強して、好きなものをどんどん取り入れていったら、ギャルと呼ばれるようになった感じですね。

高校生のときはすごく黒くて、地元の山梨ではまわりにギャルがいないなか、ひとり取り残されながら貫いていました。金髪にしたり、日サロに行ったりしていた時期もありましたが、私が思う“かわいい”が派手なだけじゃなく、もっと幅広くなってきたので、最近はちょっと路線が変わってきてはいるかな。

でも心はブレず、“山梨のラストサムライ”という、ふざけた異名を名乗っています。ギャルは日本を代表する文化だと私たちギャルサーは捉えているので、それを守っているという意味で(笑)。

――あおちゃんぺさんはユニットのリーダーということですが、どんな活動をしているんですか?

コロナ禍前は、年に1回全国から集まって、ミーティングをしていました。それを私たちは「ミーツ」と呼んでいるんですけど、全国的にギャルが減って、みんなちょっと孤独を感じながら貫いているので、たまには仲間同士でわいわいしようよみたいな感じで。1日クラブを貸切って、親睦を深めようというレクみたいなものです。

あとはパラパラのライブをしたり、ファンの人たちとオフ会みたいなことをしたり。ギャルを復興させるというか、文化的にも人数的にも広めたいというのが私たちの目標でもあるので、外部の人たちともふれあって、ギャルについて知って、好きになってもらいたいなという想いをベースに活動しています。

私の気持ち的にはもうOGというか、メンタルはもちろんギャルを大切にする初心のままですが、若い子たちに世代交代して、見守り役という気持ちでいますね。

ギャル代表として報道番組のレギュラーに

――『アベプラ』に出演することになったのはどういう経緯ですか?

もともと芸能に興味があって、音楽系をやりたくて事務所に入ったんですけど、まずはタレント活動をということで、エキストラの仕事から始めたんです。これを少しずつものにしていけば、きっとひとりの仕事がくるだろうと作戦を立てて。

エキストラの中で悪目立ちせず、でも自分を知ってもらえるように頑張っていった結果、だんだん自分の仕事をもらえるようになりました。『アベプラ』も初めはギャルのひとりとしてのゲスト出演だったんですよ。そこからいろいろな曜日に呼んでもらえるようになって、今はレギュラーという感じになりましたね。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
【男らしさ】昭和の“男性像“はもう古い?令和時代の価値観は“押しつけないこと” 時代が求める“男らしさ“って何?|#アベプラ《アベマで放送中》
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――そもそもニュースや社会問題に関心がありましたか?

親は「ニュースを見ろ」「新聞を読め」という人でしたが、私はほとんど興味がなくて、番組に出演するようになってからです。平和な中で生きている私が知っていることなんて、すごくちっぽけで、世の中には知っておくべきがいっぱいあるんだなと気づいて。「私が知らないところでヤバいことがいっぱい起きている」「自分にできることは何だろう」と考えるようになりました。

私は動物が大好きで、猫を飼っているので、動物虐待や野良猫ちゃんの問題に心を痛めていますが、「かわいそうだと思っているだけじゃ何も変わらない」と思うようになって。動物のための募金をしたり、署名に参加したり、自分から行動を起こすようになりました。

社会と若者の架け橋のような存在になりたい

――ギャル代表として報道番組に出演することの意義をどう感じていますか?

私みたいな無知な人間が番組に出て、素直な質問や意見を言うことによって、“視聴者を置いていかない番組作り”に貢献できているのかなと思いますね。私が社会と若者のつなぎ目というか、架け橋みたいな存在になれればいいなと思っているので、私にとっても私のまわりの子にとっても、プラスになってくれたらという気持ちです。

――実際、まわりにもいい影響があるなと感じたことはありますか?

隣に後輩が住んでいて、よく私の家でご飯を一緒に食べるんですけど、そのときに議論っぽくなるんですよ。「『アベプラ』で出た議題についてどう思う?」と聞くと、それぞれ意見をくれたり、ギャル同士でも違う考えがあったりして。

みんなもともとはそういう問題に興味がなかったと言うので、考えるようになったこと自体が変化だと思います。それに彼女たちの意見を聞いて、そういう考えもあるなと認められるようになったことは私にとっての変化かもしれないです。自分が全部正しいと思っているタイプだったので。

それは自分なりの正義や経験に基づいて出した答えで、自分の中ではベストだと思っているからなのですが、知らない人から「これはこうだ」と言われるより、友達から言われて、「なんでそう思ったの?」と理由や考えを聞くほうが受け入れやすいじゃないですか。

――最近、盛り上がった話題はありますか?

一番、激論化したのは選挙ですかね。私とV系アイドルをやっている友達とギャルの後輩と3人で話しているときに、友達は選挙に行っていて、私と後輩は行っていなくて。

行かない派としては、「別に行っても変わらなくない?」という主張でしたが、行く派としては「自分の一票で当確が決まるわけではないけれど、私たちが選挙に行くことで、若者を視野に入れた政策をするようになるから、とにかく行ったほうがいい」という考えだったんですね。

このままだと古くさい日本はずっと変わらないから、名前がかわいいとか、顔が好みとかでもいいから票を入れるべきだと言われて、「え?そんなに危機的状況なの?」と気づいて、選挙は大切なんだなと思いました。ちなみにその激論は選挙のあとだったので、次から行かなきゃと思っています。

――同世代の若者にも、社会に関心を持ってほしいという気持ちはありますか?

これは悪い意味ではなく、そういう気持ちがまったくないんですよね。私自身は番組に出演するようになって、興味を持ったからいろいろ学んだり、調べたりするようになりました。けれどやっぱり人から言われて、興味がないことを見ていても、何も習得できないと思うんですよ。

同世代の人が興味を持ってくれるきっかけになれたら、もちろんうれしいですが、みんなにそうしてほしいという押しつけがましい気持ちはまったくないです。無理強いされると、むしろ嫌いになって遠ざける結果になると思うので。

ギャルも多様化する時代に

――今のギャル界隈はどういう状況ですか?

ギャルも時代に沿って多様化していますね。たとえば昔は黒くなきゃ、派手髪じゃなきゃ、パラパラが踊れなきゃ、ギャルじゃないみたいな定義があったと思いますが、今は自分が思っていることを貫いていれば、ギャルと言っていいというか。見た目に関しても自分の好きを貫いていれば、ロリータだろうが、V系だろうが、ギャルと呼べるのではないかというふうに解釈の幅が広がってきていると思います。

そういう意味でギャル人口はちょっと増えたと思いますし、ギャルとして生きやすくなったというのもあるかもしれない。以前は、ロリータはロリータ、V系はV系みたいな感じでジャンル分けされていたので、少しライバル意識もありましたが、今はバチバチ感が薄れて、“みんな仲間”という雰囲気がありますね。

どんな人でも自分がギャルと思ったら、ギャルだとレペゼンしていいじゃないか、それでギャル文化が広がれば結果OKみたいな風潮かなと。にわかというと言葉が悪いですけど、ギャル初心者も歓迎ムードにあります。

――ギャルを見る、まわりの目にも変化はありますか?

大人を変えるのって難しいと思うんですよね。ずっとそうやって生きてきて、急に考え方を変えられないと思うので、私たちとしては、認められない人もいるのが多様性だなって。「他人にどう思われるかに左右されず、誰かに認められるためじゃなく、自分たちのために生きていこうぜ」というのが、ギャルの根底にはあるというか、それがギャルなんですよね。

だから大人に限らず、他人にわかってもらえなくても大丈夫。他人の考えを変えるより、「そういう人もいるよね」と自分たちの考え方を変えるほうがよほどラクなので、「自分を強く持って、このスタイルをブレずに貫いてハッピーに生きていこうぜ」という感じです(笑)。

それに世代交代していくじゃないですか。今の大人たちの考え方を変えるのは無理でも、私たちがこのマインドのまま30代、40代になっていけば、10年、20年かかるとしても、もっといい世の中になっていくのかなと思います。

――“令和最強のギャル”と呼ばれていますが、どういうお気持ちですか?

(大笑い)それは言い過ぎかなと。そもそも私は平成の人間なので(笑)令和感はないですし、自分では全然そんな感じはしないです。令和最強というと新しい考え方を持っている印象ですが、私はむしろ古い人間。根底は変わっていないというか、みんなが忘れていっちゃったものを持ったまま好きに生きているから、逆に新しいと思われがちなだけじゃないかな。

ただ、「自分が楽しければ」というのから「みんなも楽しければ」というのにちょっとずつ移行しているかもしれないですね。

――あおちゃんぺさんにとって、ギャルとはズバリなんですか?

一言で表すと、仮面みたいな感じですかね。ギャルになる動機にもいろいろとあって、人見知りで弱い自分が嫌いだから、強く見せたくてギャルメイクをしている子もいます。みんな“ギャルという仮面”をかぶることによって、メンタル面が支えられて、生きやすくなったり、強くなったりしてるのかな。

ギャルになることで、いつも殻の中に閉じこもって隠れている自分を引き出せるのかもしれないですね。

――ギャルはいつまで続けられるものでしょうか?

私も全盛期ギャル時代は、「一生ギャル」と言っていましたが、見た目に関していえば飽きたらやめますね。中身でいえば、一度でもギャルをしていた人は、マインド的にギャルから完全に足を洗うことはたぶんないと思います。

まわりの先輩方も見た目はギャルを卒業しても、ギャルマインドは維持していて、「この人は絶対ギャルだったな」って話すとわかるんですよ! メンタルが強靭というか、すごく強気ですね。仕事や人生の話を聞いても「なるようになるさ」という感じですし、自分を幸せにするように生きろよ感がものすごく強いです。

私のまわりだけかもしれないですけど、元ギャルの先輩には経営者や企業の幹部などになっている方もいて、ギャルメンタルはキャリアの面でも成功する秘訣のひとつなのかなと思います。

一人ひとり心の中に強めなギャルを飼ってほしい

――これからのギャルについて、ギャルの将来像をどう考えていますか?

私は今のギャルの状態は理想に近いと思っていますね。どんな人でもギャルを名乗れるようになったのは、かなり大きな違い。ちょっと前まで覚悟がないと続けていけなかったんですよ。心の中にすごく強めのギャルを飼っていたとしても、外見がそうじゃないと、「私はギャル」とは言えなかったので。

今はファッションがどうであれ、メンタルがギャルならギャルだと自負できるようになったし、逆に覚悟もなく気軽にファッションの一部としてギャルになれるようになったとも思います。

あと、ギャルの子たちは好きなファッションをしているだけで、別に悪いことをしていないのに、見た目で「あの人すごくない?やばくない?」みたいに言われていたのが、前より改善されてきた感じはしていますね。

世の中が多様性というようになって、“見た目に口を出すのは最低だぞ感”が、ギャルにも適用されたのかなと。みんな自分がギャルと思えばギャルだし、自分が思ったことを好きに発言して、誰も責めないみたいな状態がこれからも続いていけばいいなと思います。

――社会問題に目を向け、現代を生きるギャルとして、これからの日本をこうしていこうよと同世代に呼びかけるとしたら?

日本も今、“多様性”という言葉が浸透して、歩み寄る感じになってきたと思うんですけど、とりあえず同調するムードでただみんなに合わせているという人も結構いると思うんですね。

だから私は、「みんなもっと喧嘩しようぜ」って思います。一人の大声が通る世の中じゃなくて、みんなで話し合って物事を決めたほうがいい。でもそのときに必要な喧嘩ってあると思うんですよ。みんなが本当に思っていることを口に出して、みんなで議論したらもっとよくなるんじゃないかな。

イエスマンになって、なんとなく世の中の風潮に合わせるんじゃなくて、「もっとわがままに生きようぜ」って思います。

――では最後に、ご自身のこれからの目標を教えてください。

何歳になっても強く、自分らしくある女性になりたいです。誰かと結婚して、お母さんになったとしても、ひとりの人間でありたいですね。キャリアの面では、起業して、すごいお金持ちになりたいかな(笑)。

もし見た目が落ち着いたとしても、いつまでもメンタル的にはギャルであり続けると思うので、「いつでもぶっとばしてやるぞ」くらいのマッチョな女子を心の中に飼って、自分本位な生き方をしていきたいと思います。

みんなにも心の中にひとり、強めなギャルを飼ってほしいですね!