多様な働き方が推進されている一方、世界経済フォーラムが発表した2023年の日本のジェンダーギャップ指数は、世界146カ国中125位と、過去最低の順位となりました。実際に、キャリアを積み重ねていく上でジェンダーギャップを感じる人も少なくないはず。

今回はジェンダー平等を宣言していて、誰もが働きやすい制度や環境が整っている企業をピックアップ。性別を問わずに自分らしく仕事ができて、均等な機会を得られる働き方に注目してみて。

【INDEX】

  • 株式会社ツムラ
  • ポーラ
  • PwC Japan
  • ソニー・インタラクティブエンタテインメント
  • キンドリルジャパン
  • 株式会社コーセー
  • ユニリーバ・ジャパン
  • 株式会社エムティーアイ
  • 株式会社サニーサイドアップ
  • Airbnb Japan株式会社

  • 株式会社ツムラ

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    ツムラ


    「自然と健康を科学する」を経営理念に掲げる株式会社ツムラでは、漢方製剤の製造と販売を行っています。女性サポートやジェンダー平等に関しては、『“Tsumura Diversity&Inclusion Culture”の醸成で未来を拓く』と打ち出し、女性管理職比率や育児休業取得率、育休平均取得期間にそれぞれジェンダー別に目標値を設定。

    社内の女性管理職比率は2023年時点で8.4%であり、26年には12.5%への引き上げを目標に設定。そのほかにも、男性の育児休業取得率も23年の65%から25年には100%にすることなどを掲げます。女性社員がより活躍できる環境を整備し、多様な人財の能力発揮につなげたいと考えます。

    漢方を扱うツムラだからこそ、女性特有の健康課題に対する知識向上のための全管理職対象にe-learningを実施することも。2023年には、35歳未満を対象とした子宮頸がんの原因となるHPV検査も、無料での受診を可能にしました(5年に一回の実施)。

    創業130年の歴史をもつツムラが行っている活動や制度、福利厚生をご紹介します。

    • #OneMoreChoice プロジェクト
      “不調に、我慢に代わる選択肢を。”をステートメントに掲げ、誰もが不調を無理に我慢することなく、心地よく生きられる健やかな社会を目指したツムラの中長期にわたる活動。

      #OneMoreChoice プロジェクトの一環として、従業員が不調を「隠れ我慢」しない企業を目指し、社内に#OneMoreChoice ワーキンググループ (以下、WG)を発足。WGでは不調を感じたときに、休むなどの我慢に代わる選択肢をとれる環境やサポート体制づくりに取り組み、#OneMoreChoice アクション施行に至りました。

    #OneMoreChoice アクションとは…

    1. 婦人科検診は、希望する全従業員が費用負担なしで受診可能
    2. 生理休暇の社内名称を「Female ケア」へ変更
    3. 従業員の休暇制度の拡充 –誰もが不調でも休みやすい制度へ–
    • #OneMoreChoice 研修
      #OneMoreChoice プロジェクトでオリジナル開発したライフステージと起こり得る不調、その対処法への知見を深め、ワークを通して自分なりの#OneMoreChoice を考えるオリジナル研修。

      社内をこえて、他企業や団体、大学などでも同研修を実施。2022年9月から企業/団体向けに無償提供を開始しました。ツムラ社員が講師として企業・団体や大学等へ出向き、これまでに18回実施しています。

    社内からスタートした「#OneMoreChoice 研修」を社外向けにも展開しているツムラですが、若年層に特化した取り組みも強化しています。

    • Carellege Action
      2023年4月から、大学生が隠れ我慢をしない環境づくりを目指した取り組みである「Carellege Action」を芝浦工業大学、上智大学、東京経済大学、東洋大学、青山学院大学、東京都市大学北見研究室で展開。無料で専門家に健康相談できる「ヘルスサポート」の提供も始めています。
      ※Carellege は、CareとCollegeを合わせた造語です。
    • エンゼルライン(相談窓口)の設置
      妊娠、出産、育児と仕事の両立、及び次世代支援対策推進法行動計画に関する疑問点や要望などに関する社内の相談窓口を設置。
    HPV検査導入に際しての反応:
    検診受診意欲が大幅に向上し、検査実施者の95%が子宮頸がん検診も受診したいと回答特に、これまで受診経験が無かった層の15%が「必ず」、81%が「なるべく」受診したいと回答
    「女性リーダー養成プログラム」参加者の声(1on1より):
    「他社で管理職として活躍している人の話を聞けてよかった。育児と両立しながら、リーダーとして活躍している人の経験が参考になり、色々なリーダー像を学んだ。自分の強みを理解し、自分のリーダーシップスタイルが明確になった。社外交流を通じて、刺激を受け、視野が広がった」

    ポーラ

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    POLA
    ポーラと朝日新聞社がともに手がける「おしごと年鑑 特別付録 10代のためのジェンダーの授業」冊子

    ポーラは2029年に創業100周年を迎えるにあたり、「We Care More. 世界を変える、心づかいを。」というビジョンを掲げ、サステナビリティゴールを定めています。

    ゴールの一つに『ジェンダー、年齢、地域格差など様々な「壁」の解消』と設け、さまざまな取り組みを推進します。たとえば、女性管理職比率を総合職従業員の男女比率と同等にすることや、育休取得率を男性・女性ともに、100%取得にすること、⽉商500万円以上のポーラのショップオーナー(ショップの経営者)を1,200人まで増やし、組織⼒が⾼い組織を拡大することなど。地域で活躍する女性ロールモデルを増やすことにも意欲的です。

    従業員の7割以上を女性が占める、ポーラ。2022年から朝日新聞社とともに、冊子「10代のためのジェンダーの授業」を作成して全国の公立小中学校に配布するほか、「おしごと年鑑 特別付録 10代のためのジェンダーの授業」冊子では、若い世代が日本社会にはびこるアンコンシャスバイアスを認知、また「はたらく」ことや「家庭内の役割」について性別に左右されない自由な選択がイメージできるようなコンテンツを提供しています。

    歴史あるビューティ企業ポーラの社内での取り組みはこのとおり。

    1. 月経・更年期症状等の課題サポートのためのフェムテックサービスの導入
    2. 女性の婦人科産業医の配置
    3. 不妊治療・卵子凍結の費用補助
    4. 社内での生理用ナプキンの無料提供
    • 「Dialog Café~地域女性活躍応援PJ~」
      全国各地で働く女性社員を対象にした、社内コミュニティを2021年に開設。メンター(役員・部門長)や仲間との対話を通して、キャリアを見つめ直し自己理解を深める内省の機会、仲間とのつながりの場を提供しています。

      プロジェクト卒業生からは、女性リーダーの輩出や他部署との新しい取り組みなどの主体的な活動が生まれています。
    • ダイバーシティ&インクルージョン研修
      外部講師を招きLGBTQ+をテーマとしたマネジメント研修を実施。基礎知識から、カミングアウトを受けた際やハラスメントを見聞きした際の対応などを学びました。全社向けの研修では男性育休をテーマにロールプレイングを含めたジェンダーバイアス研修やコンプライアンス・人権理解促進の為のe-ラーニングを実施しています。
    • 産育応援プロジェクト/育業復帰サポート手当
      産育休や子育てなどを考え、産育休中であっても社員の能力をさらに伸ばしやすい環境を作るための社内有志メンバーによる「産育応援プロジェクト」というワーキンググループがあり、全社員を対象に発信やウェビナーを実施しています。

      また、育業復帰サポート手当という制度を2023年に導入しています。性差に関わらず、育児休業から復帰後、仕事と子育てを両立して働く従業員を金銭面でサポートする制度です。産育休などの休職者の評価制度・昇格制度の運用についても見直し、休職期間に関わらず働いた期間についてしっかり評価を行うことで、頑張りに見合った定期昇給、昇格の大幅な遅れの解消を図りました。

    PwC Japan

    a group of people in a room
    PwC
    PwCがI&Dの取り組みの一環で実施した、Privilege walk体験会のイベントの様子。体験会では、15問の社会的特権の質問への答えによって一歩前進・後進するアクティビティを実施。自身の特権を可視化し他者と比較することで、意識してこなかった特権を認識することを狙いとしたものです

    PwC Japanグループでは、ジェンダー、LGBT、障がい、人種、ワークスタイル(多様・柔軟な働き方の実現や男性の育休取得100%推進など)の5つを重点領域としてInclusion & Diversityに取り組んでいます。

    中でも、女性活躍の推進に関してPwC Japanグループでは全ての女性が十分に力を発揮できるよう、働きがいのある職場環境を目指して継続的な取り組みを進めています。

    シニアアソシエイトからパートナーまでの各職階における“昇進の比率(Proportionality of promotions:昇進者の女性比率と昇進前の女性比率を比較する指標)”を、ジェンダー差がない公平な状態(100%)にすることを目指しているほか、2030年までのできるだけ早い段階で、女性管理職比率を30%に引き上げることを目標にしています。

    PwC Japanグループでのジェンダー平等への取り組みの始まりは、2009年。性別等に関わらず、全てのメンバーが持っている能力を最大に発揮できるよう、仕組みとカルチャ―の両輪で環境の整備を整え、キャリアの支援を行っています。

    育成プログラムや意識変革のための取り組みの一部は、このとおり。

    • Female Leadership Program
      PwC Japanグループの各法人共通のプログラムで、女性のリーダーシップ開発を目的に2016年度から展開。

      シニアアソシエイト、マネージャー、シニアマネージャーの3つの階層を対象に、キャリアに合わせてプログラムを提供。職場の上司やリーダーもプログラム参加することにより、リーダーシップ開発を支援。ノミネート制での参加者募集から、2024年現在は公募制となり、より多くの職員が参加できるようになりました。
    • 包括性向上のためのさまざまな取り組み

      PwCではインクルーシブなマインドを醸成するためのe-Learningプログラムを2022年からスタート。“Inclusive Mindset Badge(インクルーシブ・マインドセット・バッジ)”と名付けた研修の第一弾では、全社員を対象に、計11時間の講義と、その後に1対1の対話やグループディスカッションを開催しました。

      この他、「Inclusion Network」というコミュニティ活動も。テーマ別に関心をもつメンバーが自由に集まり、対話と交流を通じてインクルーシブなカルチャーの推進を図る取り組みがあります。

      Inclusion Networkの一つである、「Working Parents Network」は、家庭・家族を大切にしながらも、自身らしいライフとキャリアを実現したい人が、子どもの有無にかかわらず参加できます。月1回の小人数でのオンラインランチ会開催に加え、「小1の壁」「中学受験」「障がいと子育て」などさまざまな働く親が抱えるテーマに即したイベントを開催し、毎回100名程度が参加。

      また、男性同士で育児と仕事の両立の悩みを共有する「パパ会」も開催されました。男性が当たり前に育休を取得できるファームを目指し、制度の周知やトップからの育休取得推進のメッセージ発信で、心理的安全性を高めながら、誰もが育休を取得しやすいカルチャーの醸成に取り組んでいます。
    Working Parents Networkに参加した男性社員の声:
    「子育ての先輩や同じような状況の家庭の情報は有益な一方で、聞きづらかったり、時間を取りにくいので、話を聞く/話す機会があるのは有難いです」
    「子育てに限らずキャリアの考え方や男性も同じように悩む人が増えてきたことなど、気付きが多い場です」
    • Design Your Workstyle制度
      多様で柔軟な働き方を実現し、職員の誰もが最高のパフォーマンスを発揮できるようにするための働き方制度「Design Your Workstyle」を2022年から推進。育児・介護に関する法定の短時間勤務制度、休職制度に加えて以下3つの制度を新たに導入しました。

      さまざまなライフステージのニーズに併せて、フルリモートワーク・短時間勤務・休職など複数の選択肢から最適な働き方を自分で選択・組み合わせ、ウェルビーイングを実現する自分に合った働き方をデザインできるようサポートします。

    1. フルリモートワーク制度の導入

    介護や配偶者の赴任帯同など一定の理由があれば、「出社義務のないフルリモートワーク」や「居住地を限定しない遠隔地リモートワーク(ただし国内に限る)」が可能

    2. フレキシブル・ワーク・アレンジメント(短時間勤務制度)の導入

    育児・介護に加えて、通学やボランティア活動など一定の理由があれば短時間勤務が可能。「週3日勤務」(短日勤務)や「1日5時間勤務」(時短勤務)などもできます

    3. フレキシブル・ライフ・デザイン休職の導入

    育児・介護に加えて、海外留学や配偶者の海外赴任への帯同など、一定の理由があれば一定期間の休職が可能

    • 産休・育児休職者向けの復職準備セミナー
      2015年から毎年、産休・育休中の全職員を対象に、スムーズな職場復帰をサポートするための「復職準備セミナー」を実施しています。

      セミナーでは、育休期間中の組織の動きや復職後に利用ができる柔軟な働き方を支援する制度についての説明や、職場で働く先輩からの体験談などを通して、復職前に働き方のイメージをもてるように支援。復職前に会社や同じような境遇の同僚とつながることで、安心して復職してもらえる機会としています(現在は主にオンラインで実施)。
    • Design Your Future
      PwCではデジタル・テクノロジー領域におけるジェンダーギャップという課題に対して、社内でのテクノロジー領域における女性活躍の推進に加え、社外における次世代のリーダーたちの教育にも力を入れています。

      2019年からは一般社団法人スカイラボ との協働による女子中高校生向けのサマープログラム「Design Your Future」を開催し、自由に学問や職業を選ぶことを後押ししながら、未来の女性STEMリーダーの育成に向けて取り組んでいます。

    ソニー・インタラクティブエンタテインメント

    a poster with a cartoon of a person and a cat
    Sony Interactive Entertainment

    ソニーグループ傘下の、ゲーム/デジタル・エンタテインメント企業のソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)。家庭用ゲーム機のPlayStation製品で世界中のゲーマーによく知られているブランドです。

    SIEはあらゆる個性が尊重され、安心して働ける「最高の職場」であることを目指しています。ゲーム業界の女性管理職比率は他業界より大きく下回っている中、SIEは2025年度末までに女性管理職比率15%以上、育休取得率100%、取得日数10日以上を目標値として掲げ、グローバルを含めた会社全体では女性社員26.5%、Sr. Director 26.5%以上を目標としています。

    • 女性リーダーシップ研修、スポンサーシップ研修
      SIEでは意思決定層の多様化と育成機会の提供を目的に、女性リーダーシッププログラムを実施しています。研修では女性受講者とそれぞれの部署責任者がペアになって一緒に取り組みます。それは、構造的な問題に対して効果的に取り組むには、女性のみに焦点をあてるのではなく、伴走するマネージャー陣を巻き込む必要があると考えているからです。

      また、受講者がキャリアのなかで目指す方向を見失わないよう、自身のビジョン(自分の強みを生かす、やりがいを持つ、会社に貢献したいことなど)を見つめ直し、共有できるような内容を含んでいます。
    女性リーダーシッププログラムに参加した受講者の声:
    「ずっと漠然としか考えていなかった自分のキャリアプランをしっかり見つめ直し、納得するまで言語化するプロセスを経たことで、SIEというグローバル組織で成し遂げたいことを明確に主張できるようになったと感じています」
    「これまでのビジョンは、自分が傷つかないでできる最大限のことをまとめた表面的で魂が入っていない省エネなビジョンだと気付き、常に物事を問い続け周囲との対話を通じて解を導くことで、道標となるビジョンにたどり着くことができました」
    女性リーダーシッププログラムに参加した部署責任者の声:
    「最初は女性向けの人材プログラムだと思っていましたが、むしろマネジメント側のためのプログラムだということを実感しました。組織の変革/アップスケールのためには、マネジメントの変化こそが重要なのだと気付きました」
    「研修で共に学んで、いろいろな視点があることに気付きましたが、次の世代への恩送りという言葉が最大の気付きとなりました。多様性に富んだグローバルチームの環境を当たり前に捉えて、社員や取引先と良好な関係を築いて協力する部下を今後も支え、チーム全体のダイバーシティの促進も一層意識していきたいと思います」
    • WIPS(Workers / Women in PlayStation)
      SIEには女性の活躍や誰もが働きやすい職場を目指して2016年に発足した、社員が自発的に運営する社内ネットワークグループ「WIPS」があります。2024年現在は女性社員に限らず、参加する社員それぞれが違いを認め、尊重し、受け入れ合い、一人ひとりが輝くことのできる風土を醸成するグループとして活動しています。

      育休復帰後の働き方や父親育休について語るオンラインお茶会、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)セミナー、異文化理解力セミナー、国際女性デーのイベントなど、数々のイベントをWIPSで企画し実施しています。
    • 両立支援制度 ~Symphony Plan~
      ライフステージにおけるさまざまな状況の中でも、社員がキャリアを継続しながら力を発揮しやすい環境をさらに充実させることを目的に、不妊治療、育児、介護、がん予防・治療に関する両立支援制度をSymphony Planと名付け導入しています。

      不妊治療やお子さんの看護、介護などを目的としたライフ休暇や、20日間の育児休暇の付与する内容となっています。
    • 育休取得推進キャンペーン
      子育てと仕事を両立しやすい職場文化の醸成のため、育休取得者へPlayStationグッズ(オリジナルバスタオルとエプロン)を贈呈しています。

    さらに社外では、ゲーム業界おけるジェンダーギャップを埋めるための活動も行っているSIE。このような取り組みも。

    • Girls Make Games… ワークショップやゲーム制作イベントを通して、ゲーム業界に興味をもつ女の子に学びの機会やツールを提供。女性もゲーム業界で活躍できることや、女の子たちのキャリア形成を応援する活動を実施。
    • InnovateHer Girls Who Code… コンピュータサイエンスの分野で活躍する女性を支援することを目的としたNPOと提携。

    キンドリルジャパン

    a group of women posing for a photo
    Kyndryl Japan
    キンドリルジャパンのID&Eコミッティメンバー。 前列、左から:伊奈恵美子(取締役 常務執行役員人事担当)、松本紗代子(専務執行役員 プラクティス事業本部長兼ID&E担当)、秋吉香織(理事 デジタルワークプレース担当)。  後列、左から:松山亜紀(CSR担当)、中村祐加子(パフォーマンスマーケティング担当)、岡本彩子(社外広報)

    世界60カ国以上で事業展開をする、約9万人の社員を抱えるインフラストラクチャー・サービス・プロバイダーであり、“世界最大のスタートアップ”のキンドリル。2021年11月に誕生し、ITシステムの設計・構築・管理を通して、人々の生活に欠かせない社会インフラを支える存在です。

    キンドリルジャパンでは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第8条」に基づき、行動計画を策定しています。2024年2月1日時点で女性役員の割合が26.3%に達し、同年3月末までの20.0%目標を前倒しで超えました。

    キンドリルジャパンは創業2年目で、2023年版「女性が活躍する会社ベスト100」に、85位でランクイン。設立と同時にワールドワイドで雇用機会均等ポリシーを掲げ、機会均等を進めるとともに誰もが働きやすい会社環境の構築を促進してきました。その取り組みの一部をご紹介します。

    • Kyndryl Inclusion Networks
      日本では会社設立と同時に世界に先駆けてID&E(インクルージョン、ダイバーシティ&エクイティ)推進のためのチームを発足。役員がリーダーを務めることで活動を強く推し進めてきました。

      プロフェッショナルサービスカンパニーとして、ひとりひとりが自分らしく働き、それぞれの実力を最大限発揮することができる環境を整えることが、結果として組織の力を最大化できるとの考えのもと、ID&Eを重要な経営戦略と位置付けています。

      そのID&Eの取組みとして、Kyndryl Inclusion Networks(以下KINs)という従業員リソースグループがグローバルで展開。日本では2024年現在、3つのグループがあります:KINs Women、KINS LGBTQ+ KINs PwD / Neurodiversity(People with Disabilities=障がい者の方々、Neurodiversity=脳の多様性)

      KINs Womenでは女性社員のキャリア相談イベントや、グローバルリーダーとのラウンドテーブルを企画し、女性社員のキャリア育成の支援を実施しています。また2023年10月のピンクリボン月間(乳がん啓発月間)には、外部から専門家や、治療経験者の方をお迎えし全社員向けにセミナーを実施しました。

      3つめのPwD/Neurodiversityは、社内では「True Ability」と呼んでいます。これら3つのすべてのKINsには、執行役員や理事のエグゼクティブスポンサーがつき、経営事項としての判断や、活動ができるよう支援しています。
    • 女性役員候補者を対象とした育成プログラム「PROGRESS」

      2023年8月に、キリンドルでは女性役員候補者20名を対象とした育成プログラム「PROGRESS」を発足。スポンサーシップ制度を中核に置き、プログラムや参加者のキャリアディベロップメントを強力にサポートし2024年中に受講者全員が一つ上のジョブランク、受講者の1/3は同プログラム終了後3年以内にはエグゼクティブになることを目指しています。
    • 海外の大学が提供するオンラインコースの受講料の負担
      一定以上の職歴にいる女性社員を対象に、海外の大学が提供するリーダーシップスキル育成のオンラインコースを無料で受講する機会を提供しています。
    • 国際女性デーに合わせた社内向けイベントの実施

      3月8日の国際女性デーに向けて、KINs WomenではInternational Women’s Day 2024のテーマとして#InspireInclusionを設定し、他社もお招きする形でいくつかイベントを企画しています。社員を巻き起こんだ企画にはこのような取り組みも。

      キンドリルがインクルーシブな職場だと感じることを60文字程社員から募集。キンドリルジャパンの公式アカウント(LinkedIn、X)にて#InspireInclusionで発信予定
    • 1歳未満の子を養育することを目的に取得できる特別休暇

      出産・子育てとの両立を促進するため、法定の育児休業に加えて、1歳未満の子を養育することを目的に取得できる特別休暇があります。男女問わず活用でき、出産時や健診時など柔軟に使えます。女性社員の育児休業後の復帰率は100%、男性社員も50%の社員が育児休業を取得しています。

    株式会社コーセー

    ジェンダー平等企業
    KOSE

    コーセー サステナビリティプラン」で掲げるテーマのひとつ、「ジェンダーにとらわれずに活躍できる社会への貢献」を実現するために、社内の女性活躍の推進はもちろん、社会に対しても、女性活躍の支援の輪を広げる取り組みを行っているコーセー。

    2030年までに10万人に対して、日本そして世界のジェンダーギャップが解消されるための取り組みと、啓発活動を行っていくことを目標に、社内・社外での取り組みを実施中です。また、社内のダイバーシティ&インクルージョンを今まで以上に推進するための方策の1つとして、女性活躍推進に向けた3つのステップ(両立支援・活躍支援・登用支援)を策定しました。

    多様なライフプラン・キャリアプランの両立を支援する取り組みがあるなかで、印象的なものをいくつかご紹介します。

    • 「コーセー イクパパサポート制度」&「パパママラウンジ」
      2020年度から男性社員の育児休業取得をサポートする「コーセー イクパパサポート制度」を導入。支援金の給付に加え、上司や職場に理解を促す啓発活動など、男性育休取得の支援体制を整えたことにより、制度導入前までは一桁台だった男性育休取得率が、現在は90%超えにまで達しています。

      また、育児中のパパママ社員のためのコミュニティ「パパママラウンジ」を立ち上げ、子育てと仕事の両立のための情報交換会などを実施しています。社内の先輩パパママにアンケートを実施し、リアルな子育てとキャリア両立のライフハックを集めた事例集を作成。それを新米パパママに提供しています。育休復帰予定者や復帰直後など、子育てとキャリアの両立に不安を感じる社員へのサポートが充実。
    • 「KoCo Being」
      コーセーグループで働く人のWell-Being(ウェルビーイング)を高めるための社内情報発信プラットフォーム「KoCo Being」を創設し、プライベートとキャリアの両立、働きやすさの向上などを目指し、様々な情報やイベントのお知らせを発信しています。

      実際に、女性リーダーによる社内向けキャリアマインド啓発セミナーも盛んに実施されていて、第一弾では、社外取締役の菊間千乃弁護士(元フジテレビアナウンサー)が、女性をはじめとする多様な個性をもった人々が活躍する重要性や、キャリアプラン構築に向けたマインドセットについて講演。第二弾では、2名の女性執行役員から、仕事へのポリシーや、子育てなどのライフイベントとキャリアを両立させてきたコツを中心に講演しました。これには、対面とオンラインで合わせて1000人を超える社員が参加しています。
    • 「コスメバンクプロジェクト」への参画
      経済的理由などの様々な事情で化粧品を手にできない方に、賛同企業から寄贈された化粧品・日用品をお届けする「コスメバンクプロジェクト」(運営:社団法人バンク・フォー・スマイルズ)に、アドバイザリーボード企業として試験運用の段階から参画。相対的貧困下にある一人親世帯の女性などに化粧品を寄贈し、心も肌も明るくする活動を実施しています。
    制度を利用した男性社員の声:
    「イクパパサポート制度を利用して、第二子のために1カ月間育児休業を取得しました。第一子は妻が里帰り出産をしたので、新生児をお世話するのは初めて。育児で全く自分の時間が取れないまま一日が過ぎていくなか、『育休中に社会から取り残されたように感じてキャリアに対して焦る』と言っていた女性の同僚の言葉に共感しました。
    だからこそ、私ができることはなるべく全てやりました。その結果、業務復帰後も家事育児は夫婦で分担することが当たり前となり、とても良い夫婦関係を築け、業務にも良い影響が出ていると思います。上司と同僚に支えられた分、復帰後は、責任感をもって仕事で結果を残していきたいと強く考えています。」

    ユニリーバ・ジャパン

    多様な働き方が推進されている一方、日本の男女格差は世界144カ国中121位と主要7カ国の中でも最下位であり、仕事をする上でジェンダーギャップを感じる人も少なくないはず。今回は男女の平等を宣言していて、誰もが働きやすい制度や環境が整っている5つの企業をピックアップ。
    ユニリーバ
    ▲LUX Social Damage Care Project

    ユニリーバは、エクイティ、ダイバーシティ&インクルージョンを重要なビジネス戦略の一つとし、社員一人ひとりが「Be Yourself(自分らしく)」あることを大切にしています。なかでも、女性の機会を広げ、ジェンダー平等を推進することは、優先課題の一つだと考えています。

    そのため、2010年に「2020年までに世界全体で管理職のジェンダーバランスを改善する」ことを目標に掲げ、世界全体で女性管理職比率が51%に、日本でも役員における女性比率が50%(社長を含む)、管理職における女性比率が44.8%となっています。

    しかし、女性を優遇するアファーマティブアクションは一切行っておらず、「女性を」サポートするのではなく、「誰もが」自分らしくいきいきと働き、自分らしくキャリアを築き、幸せな人生を送れるようサポートすることが、ユニリーバの基本方針です。ここでは、誰もが働きやすい制度・環境をいくつかピックアップ。

    • 「WAA」(Work from Anywhere and Anytime
      働く場所・時間を社員が自由に選べる新しい働き方を2017年6月より導入。この制度の特徴は、上司に申請すれば、理由を問わず会社以外の場所(自宅、カフェ、図書館など)で勤務できる、平日5時から22時の間で自由に勤務時間や休憩時間を決められる、全社員が対象で期間や日数の制限がないのが特徴。

      育児中の社員を含め、性別・ジェンダーを問わず、多くの社員が活用。ダイバーシティを尊重する組織文化があり、柔軟な働き方を可能にする制度が活用されていることで、ほぼ100%の女性が産休・育児休業後も仕事に復帰しています。
    制度を利用した社員の声:
    「時間の使い方を主体的に選べるようになり、人生が変わった」
    「子どもの学校の用事や通院のために有給休暇を使う必要がなくなり、楽しい予定に使えるようになってうれしい」
    「学校から帰ってくる子どもを家で迎えたり、バイオリンの練習を見てあげたりと、成長を見守れるのがうれしい」
    「料理などの家事をする時間も増えた(育児中の男性社員)」
    • LUX BRAVE VISION 2030(日本) 

      ラックスは、2030年までに、すべての女性がなりたい自分への一歩を踏み出す勇気に溢れた社会の実現を目指します。その第一歩として、2020年には採用で無意識に生じる性別への先入観に着目。ユニリーバ・ジャパンのすべての採用選考の履歴書から、性別欄、顔写真、ファーストネームをなくしました。その動きを社会にも広めています。

      さらに、2023年春からは、人々が本来の自分を表現した髪型・髪色を楽しみながら社会生活が送れるように、髪に関する偏見に気づきをあたえ、ヘアオートノミー<髪の自己決定権>を促進するブランドスローガン「#BeHairself私の髪は、私が決める。」を掲げることを発表しました。今後さまざまな活動を行っていきます。

    • #UNSTEREOTYPE
      ステレオタイプや社会規範は、人々が自分らしく生きることを阻む、目に見えない壁になりえることから、2016年以降、あらゆるステレオタイプをなくしていく「#UNSTEREOTYPE」を開始。

      例として、パーソナルケアブランドの「ダヴ」では、日本を含む全世界で、広告で一切画像加工をせず、ありのままの女性の美しさを伝えています。また、無意識のステレオタイプやバイアスに気づき、無くしていくためのワークショップなどを、社内外に提供しています。

    株式会社エムティーアイ

    多様な働き方が推進されている一方、日本の男女格差は世界144カ国中121位と主要7カ国の中でも最下位であり、仕事をする上でジェンダーギャップを感じる人も少なくないはず。今回は男女の平等を宣言していて、誰もが働きやすい制度や環境が整っている5つの企業をピックアップ。
    エムティーアイ

    『music.jp』『ルナルナ』などを提供するモバイル・コンテンツ企業のエムティーアイの女性社員比率は35%程度。一般平均よりも比較的女性比率が高いこともあり、採用、教育、配置、評価等すべてのシーンで男女が平等なのが特徴。性別に限らず、仕事と家庭が両立できる制度が充実しています。

    すべての従業員が仕事と家庭を両立し、安心して働くこと、活躍を支援する環境を提供するための制度の中から、特徴的なものをピックアップ。

    • 不妊治療休職
      入社1年以上で、不妊治療を行う従業員(男女問わず)、不妊治療を目的とした休職取得が最大2年間可能な制度。

    • ファミリーサポート休暇
      男女問わず働きながら不妊治療を進めたい従業員に対しては、不妊治療の通院のために月2回取得できる休暇制度(無給)
    • オンライン診療を活用したピルの服薬支援プログラム
      2020年10月から、女性向けの福利厚生制度として、「『ルナルナ オンライン診療』を活用した 婦人科受診と低用量ピル服薬を支援する独自の福利厚生制度」の本格導入を開始。希望する社員に、オンライン診療での婦人科受診とピルの服薬費用を全額負担。

      一見女性向けの制度のようですが、開始前に婦人科医による「女性のカラダの知識講座」を開催し、男女ともに女性特有のカラダの症状への理解と意識を向上させる取り組みを行うことで、女性だけでなく男女ともに働きやすい職場づくりを実施しています。
    制度を利用した女性社員の声:
    「今まで、月経がスケジュール通りこない症状に悩まされていたのですが、規則通りにくることになったので、『そろそろ生理だからあまり無理をしないようにしよう』など、気を付けることができるようになりました。また、PMSといった月経前に起こる気分の落ち込みや腹痛もやわらぎ、仕事への影響が少なくなったことだけではなく、私生活でも過ごしやすくなったと感じています」
    セミナーに参加した男性社員の声:
    「婦人科医によるセミナーに参加し、講義後に男性社員同士が『知らないことが非常に多かったよね』『女性の身体の仕組みについて少しでも理解が進んだことで、今後のマネジメントに生かせると思う』という会話がありました。男女関係なく、社員が相互に理解し合うことが、企業全体の生産性向上につながると思いますし、その理解のきっかけになったことは素晴らしいことだと思います」
    「業務に支障が出るほど悩んでいる方もいると思う。男性社員側の理解が得られたり、女性社員の負担が軽減されることで少しでもストレスがなくなれば、不必要な衝突を避けられると思う」

    株式会社サニーサイドアップ

    ジェンダー平等企業
    sunnysideup corp
    ▲国際女性デーの様子

    PRを中心とし、様々な事業を手掛けるサニーサイドアップは、現在の女性社長が17歳のときに母親と設立した会社で、メンバーの半数以上が女性。そのため社内の福利厚生だけでなく、PRの面からも女性のエンパワーメントに関するサポートを積極的に行っています。

    近年では男女問わず若者のマネジメント層を増やすことにも注力していて、2019年に31.25%であったリーダー以上の女性マネジメント層の割合は、2022年には37.5%になるなど、年々増加傾向に。

    サニーサイドアップグループでは、独自の福利厚生である「32の制度」を中心に女性のライフイベントとキャリアの両立のための取り組みを進めており、そのなかでも多くの女性社員に寄り添う制度をピックアップ。

    • 「Dear WOMAN」制度
      2015年7月に、女性の生き方や働き方の選択肢を増やすために、日本企業としていち早く「卵子凍結から保存までの費用助成」をスタート。働き方だけではなく、生き方の選択肢を増やすことでより安心して自分らしい生き方ができるよう、メンバーをバックアップしたいと考え制度を導入することに。

      2022年4月には、不妊治療の保険適用拡大に伴う助成金ルールの変更に合わせ、女性メンバーを対象とした「AMH検査」※の費用補助も追加しました。約2カ月で対象者の15%が制度を利用しているという反響の高さから、対象者を女性メンバーのみならず男性メンバーの家族やパートナーにまで拡大。さらに2022年7月には「精液検査」の費用補助も追加導入し、誰もが自身の身体や将来に向き合う機会を作っています。
      他にも、婦人科系の病気や女性の体のこと、男性不妊や更年期などについての勉強会(不定期)を行うなど、メンバーに働き方や生き方について考えるきっかけづくりの場を提供。

      ※ AMH検査:(抗ミュラー管ホルモン検査:卵巣の予備能【卵巣の中に残っている卵胞の数の目安】を反映する血液検査)
    制度を利用した女性社員からの声:
    「卵子凍結やAMH検査、精液検査の費用補助が福利厚生に入ったことで、プレコンセプションケアやSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)について社内でもだんだんとオープンに語られる空気ができました」
    制度を利用した男性社員からの声:
    「女性の身体のことは女性だけの問題ではなく、男性も含めて取り組むべき問題だと知るきっかけになりました。知ると知らないとでは大きな違いだなと実感しています」

    Airbnb Japan株式会社

    多様な働き方が推進されている一方、日本の男女格差は世界144カ国中121位と主要7カ国の中でも最下位であり、仕事をする上でジェンダーギャップを感じる人も少なくないはず。今回は男女の平等を宣言していて、誰もが働きやすい制度や環境が整っている5つの企業をピックアップ。
    Airbnb

    誰もが仲間と感じられる世界の実現にはダイバーシティが欠かせないを信念のもと、差別をなくし、もっとインクルーシブな企業にする取り組みを推進。Airbnbの多様性を高めるために、2025年末までにすべてのレベルで、グローバル従業員の50%を女性が占めることを目指しています。
    社員同志のコミュニティやホストコミュニティ、関連団体とともにワークショップやイベントを開催し、女性のエンパワメントや多様性のある組織づくり、外部講師を招いたバイアストレーニングなど積極的に取り組んでいます。たくさんある制度のなかから、印象的なものをピックアップ。

    • 「Airfinity」という社内サークルの存在
      従業員が中心となって運営を行い、ライフイベントやキャリアの両立のための意見交換やイベントなどが活発に行われています。「Airfinity」は「Affinity(似た者同士の仲間)」をもじった造語で、同族の社員が集まって運営するグループの総称。
      メンバーが重視する問題への認識と支持を広め、採用、昇進、プロダクト開発、コミュニティ活動の各分野で会社のダイバーシティの取り組みの方向性を決めるサポートを行っています。
      その他にも、男女問わず産休、育児休暇の取得はもちろんのこと、オフィスには授乳室などもあり、子育てしながらも働きやすい環境が整えられています。
    制度を利用した社員の声:
    アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)トレーニングでは、日頃誰もが抱えている無意識の偏見に気づくことができるようになり、異なるバックグラウンド、環境、立場など、多様性のある考えを学ぶことができたなど、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する上で役に立ったなどという声がありました」

    今回紹介したのは、それぞれのライフスタイルに合わせ、誰もが自分らしく快適に働けるような環境づくりに取り組む企業ら。ぜひ、就職や転職活動など今後の会社選びの参考にしてみて!

    ※本記事は、2023年5月10日に「LUX BRAVE VISION 2023」を「LUX BRAVE VISION 2030」に変更いたしました。

    2024年3月8日に株式会社ツムラ、ポーラ、PwC Japan、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、キンドリルジャパンの5社を追記しました