他人から見たら不健全なことが明らかな恋愛でも、自分のこととなると気づけない、あるいは気づいていても別れられないという人もいるかもしれません。

本記事では、不健全な恋愛に憧れてしまう理由や危険性を専門家が解説。心当たりがある人は、自分の恋愛を振り返ってみて。


【INDEX】


不健全な恋愛に憧れる危険性

心理学者でカウンセラー、『Never Again: Moving On from Narcissistic Abuse and Other Toxic Relationships』の作者でもあるサラ・デイヴィス先生は不健全な恋愛に憧れることの危険性についてこう説明。

「不健全な恋愛に憧れると、中毒性や刺激があることが“普通”だと考え、自分の恋愛のモデルにしてしまう危険性があります」
「中毒性のある恋愛はたいてい刺激的。しかし、その刺激=親密さだと誤解されやすいのです」

しかし、刺激と親密さは全く違うもの。この誤解によって、恋愛そのものへのイメージが歪んでしまったり、刺激を求めてしまったりするそう。

また危険な恋愛に憧れてしまう理由には、メディアやSNSなどでシェアされる「セレブの交際」も関係しているとデイヴィス先生は言います。

「愛は苦しいもの」という考え

不健全だとわかっていても、中毒性のある恋愛に魅力を感じてしまう理由をセラピストのキャロリーナ・ストローソンさんは下記のように解説。

「昔から“愛は苦しいもの”で、真の愛には痛みが必要だと教えられてきました」
「“愛は苦しいもの”というのは古い考えです。もともとは宗教的概念やイメージからきています」

しかしこれは健康的な恋愛とは真逆の考え方。 健全な恋愛では、安心できるだけでなく、お互いを受け入れ、許し合え、支え合えうことが大切です。

本記事では、専門家が解説する、不健全な恋愛に憧れてしまう理由や危険性をご紹介します。他人から見たら不健全なことが明らかな恋愛でも、自分のこととなると気づけない、あるいは気づいていても別れられないと感じている人もいるかもしれません。
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子どもの頃の環境も影響

さらにキャロリーナさんは、子どもの頃の環境が大きく影響している可能性もあると話します。

「多くの人が、子どもの頃の人間関係を大人になってからも実現しようと無意識にしています」
「安定した健康的なものであればいいですが、不健全な家族関係の中で育つと中毒性のある関係性を求めてしまう可能性が高いです」

たとえ不健全な環境であっても、人は慣れているものには安心感を感じることが多いそう。また、似たような経験をしている人とトラウマの絆を育む場合もあるとのこと。

「中毒性のあるトラウマの絆は、“ソウルメイト”だと勘違いしてしまうこともあります。それによって、うまくいっていない恋愛関係を続けてしまうこともあるのです」
「中毒性のある関係性から感じられる高揚と低迷は脳にも影響があり、それは薬物のようなものです」

健康的な恋愛を知る大切さ

近年マッチングアプリが流行し、相手に対してのあらゆる危険フラグを発見しやすくなった反面、デイヴィス先生はこんな問題もあると指摘。

「健康的な恋愛にフォーカスした情報源がもっとあるべきです。健康的な恋愛は、ドラマチックなものではないのでテレビや映画でもなかなか描かれていないのが実情。若い世代にとっていいモデルとなるように、学校で教えるのが理想ではあります」

そしてデイヴィス先生は、「健康的な恋愛とは何か」を考えてみることも必要だと言います。

「どんなにおとぎ話のようにロマンチックで刺激的な恋愛の始まりにも、現実は訪れます。そのときに関係性をチェックすることが重要です。恋愛はつまらないこともあり、浮き沈みもあり、愛している人に苛立つことだってあります。でも、それは“普通のこと”なのです」
「恋人と交際することで痛みやメンタルヘルスにネガティブな影響があるようならば、自分にとって健康的な恋愛とは何かを考えてみることが大切です」

健康的な恋愛とは、相手を尊重し、適切なバウンダリーを保ちながらも自分らしくいられること。そういった恋愛関係を構築するのには時間がかかるものの、人は安心でき、サポートされていると感じられて輝けるのだそう。

最後にデイヴィスさんは、「まずは健康的な関係性を自分自身と築くのが大切です」と強調しました。

※この翻訳は抄訳です。
Translation: Haruka Thiel
COSMOPOLITAN UK