かつてバージンだったアナタにも、いま現在バージンのアナタにも観てほしい! ひと味違う珠玉の「ロスト・バージン映画」8本を、コスモ編集部が厳選紹介。笑えて、泣けて、考えさせられる。そんな映画をお探しなら…♡

第3弾では、思春期の"性に対する好奇心の危うさ"を感じられる、ティーンエイジャーの処女にまつわる映画を2本紹介。じゃあ童貞たちは、どうやって性に向き合っているの? 第4弾では、童貞が主人公のコメディ映画『卒業白書』と『40歳の童貞男』をピックアップ! 笑っているうちに、いつの間にか童貞男が愛おしく感じてくるはず。童貞守るは男の恥…? →そのほかの「ロスト・バージン映画図鑑」はこちら。

セックスがなくても愛は深められる?/『40歳の童貞男』

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STORY

40歳になるアンディの部屋にはフィギュアとポスターとテレビゲームがズラリと並び、女性とは無縁の生活。だがひょんな事から悪友3人に童貞がバレ、彼らによる"童貞喪失大作戦"が企てられる。そんな時、アンディは店にやってきた女性トリシュに一目ぼれし…。

■セックスとは無縁でも"満たされていた"生活

アンディの日常は、仕事場の家電量販店とフィギュアやゲームで埋め尽くされた家を往復するだけ。普段は同僚との付き合いも浅いのだが、ある日、アンディは人数合わせで参加したポーカーで発した軽口のせいで、童貞であることがバレてしまう。あっという間に噂は広まり、会社に顔を出せば上司や同僚からバカにされる始末…。趣味で満たされていたアンディにとっても、童貞は恥ずべき、隠すべきことだったようだ。

とうとう、アンディは「仕事を辞める!」とまで言い出して、同僚でもある悪友3人は事態の深刻さに気付く。そしてそれぞれの経験をもとに、必死にアンディへアドバイスをするように。だが、この同僚たちもまた、ただ女性経験があるだけでイイ男というわけでもなく…。真面目にアドバイスを実践するも、散々な目にあってしまう。

そんな時、職場を訪れた女性トリシュにひとめ惚れをしたアンディ。なんだかんだ経験を積んでいくことでちょっとだけ女性に慣れたのか、無事に連絡先をゲット! 相変わらず同僚たちからムチャクチャなアドバイスも受けながらも、とうとうアンディはトリシュとベッドイン…♡ しかしその時、寝室のドアが開いて…。

■セックスのない恋愛って?

まるで女性を扱うプロかのように、自身の経験を糧にアンディへアドバイスしている同僚3人。だが、実は元カノが忘れられずストーカー化していたり、浮気性のせいで彼女にフラれそうになっていたり…、正直言ってこちらもあんまりイケてないのだ。

そんな同僚たちよりは、童貞ながらもトリシュのことを真剣に想って、純粋な恋を貫いているアンディのほうがずいぶんと充実した恋愛のように思える。実際、物語中盤では「やっぱりセックスがすべてなんだ」と自暴自棄になるアンディに、同僚らが「セックスより大切なものがある」なんて言い出すシーンも。気づけば彼らは、セックス未経験のアンディの恋愛を尊重するようになっていた。童貞男の存在を通して、セックスの本当の意味が浮かび上がってきたようだ。

本作が監督デビューとなったジャド・アパトーは、童貞がよっぽど愛おしいのか2007年にも「スーパーバッド 童貞ウォーズ」の製作を手掛けている。また、本作のヒットを受けて「41歳の童貞男」というパロディも別監督により発表された。監督たちに次々に映画を作らせるほど、童貞はやっぱり気になる存在なのだ。

ただ童貞を捨てたかっただけなのに大騒動ヘ!?/『卒業白書』

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STORY

主人公のジョエルは高校3年生。大学で経営学を学び一流企業で働きたいという夢を持ちつつも、頭の中はセックスへの興味でいっぱい。そんなある日、父母が休暇旅行で家を空けることになり、ハメを外したジョエルは父のポルシェを乗り回して娼婦を家に呼ぼうとする。

■受験生といえども健全な男子は悶々

冒頭いきなり美女のシャワーシーンから始まる本作。「背中流して♡」なんて言われて喜んでしまう若い男子だが、湯気で肝心なところは見えず…。そう、これはジョエルがみた夢の話。名門大学を狙うも成績はイマイチで、ロスト・バージンどころじゃないはずのジョエル。しかしそこは思春期の男子! 性への好奇心はいつだって別腹なのだ。イケメンだろうが、ヤンチャだろうが、健全な男子ならあたりまえなのかもしれない。

ある日、両親が旅行に出かけるためジョエルは家でひとり留守番を頼まれることに。それを知った悪友が、強引にジョエルの家をラブホ代わりにしてしまったから、たまったモンじゃない! さらに調子にのった悪友は、ジョエルに初体験をさせようと勝手に娼婦を呼んでしまう

その夜。「勝手なことをしやがって!」と思いながらも、チャイムが鳴りソワソワとドアを開けるジョエル。そこにいたのは、なんと女装した黒人男性!? さすがにお引き取りいただこうとすると、女装男は「ラナを呼んでごらんなさい」と、とある番号を渡す。悶々とさせられつつも肩透かしを食らい続けたジョエルは、とうとうラナに電話してしまう…。それがすべてのはじまり。

■童貞男子は小悪魔女子に翻弄されっぱなし

ラナはジョエルに気がある素振りをしつつも、ジョエルの母が大切にしているクリスタルの置物を持ち去ったり、ジョエルの家に勝手に娼婦仲間を呼んでくつろいだりと、とんでもない小悪魔ぶり! そんなラナにジョエルは振り回されっぱなし…。とうとう、彼女のせいで父親のポルシェが壊れ、莫大な修理費が必要になってしまったジョエル。そこで2人が組んで仕掛けたのは…?

騒動の原因をつくったラナと、なんだかんだで組んでしまうジョエル。惚れた弱みか、はじめての女を無下にできないのか…。だが、彼女と出会ったことで、ジョエルが大胆な行動に踏み切れるようになったのもまた事実。特別な経験は、やはり男を変えてしまうのだ。

実は本作がトム・クルーズの初主演作で、トムがブリーフ姿で踊るシーンなどが当時話題となった。このシーン、童貞男子が性欲をこじらせて突飛な行動に出てしまう様子を、できるだけピュアに描いた結果だとは思うのだが…。そして、本作でのトムのコミカルで瑞々しい演技が評価され、彼は一躍若手スターに仲間入り! その後の活躍はご存知の通り。

ある意味、トムにとっての"主演童貞"を捨てた本作。いつの時代も変わらないであろう童貞男子の生態を観察するにはぴったりの名作だ。


「きっと優しくしてあげたくなる」

「卒業白書」のジョエルも、「40歳の童貞男」のアンディも、女によって世界が広がり、女のために行動的になった。いつの時代も、女は男を変える。そう思ったら、きっと優しく接してあげたくなるはず。だって童貞男子ってこんなにデリケートなんだから、ね。