しとしとジメジメ、蒸し暑いし、濡れるし、髪は乱れるし…と、「爽やか」とは言い難い雨の季節。外出するのがツラい時期だけど、でもそんなときこそお家生活を充実させるのも手! 外が雨なら、家の中で映画に描かれる雨シーンを堪能するのはいかが? 雨降る日々さえも楽しめる、「雨の中の名シーン」がステキな映画を集めました。
『きみに読む物語』
認知症を患う老女と一緒に療養施設で暮らすデュークは、ノートに書かれた物語を彼女に読み聞かせる――1940年代、アメリカ・ノースカロライナ州シーブルック。別荘に遊びにきた良家の子女アリー(レイチェル・マクアダムス)に一目ぼれした、地元の青年ノア(ライアン・ゴスリング)は強引に彼女をデートに誘う。恋人同士になったものの、アリーの両親は2人の交際に反対し、夏の終わりと共に引き離されてしまう。その後戦争が勃発。ノアは徴兵され、アリーは裕福な弁護士と結婚することに。 ノアへの想いに"けじめ"をつけるため、アリーはノアに会いにいく。再会した2人はお互いの気持ちを抑えきれず、激しく求め合う…。
雨の中のキスシーンは恋愛映画の金字塔と言われる"超"名シーン! どこまでもロマンチストなノアにちょっと突っ込みを入れたくなるものの(笑)、誰もが憧れる"運命の恋"を見せつけてくれる作品。ちなみに今をときめくライアン・ゴスリングの出世作。ライアンにとっても運命の作品だったと言えるかも?
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『オーストラリア』
第2次世界大戦直前のオーストラリア。イギリス貴族のサラ(ニコール・キットマン)は1年もロンドンに戻らない夫を追いかけ、オーストラリアにやってくる。夫が所有する牧場を目指す彼女を迎えに来たのは粗野なカウボーイ(牛追い)ドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)だった。牧場に到着すると夫は殺害されており、残されたのはアボリジニの少年ナラと1,500頭の牛。ナラと使用人の生活を守るため、サラは牛を北部の街ダーウィンに連れていき軍に販売することを決意する。サラとドローヴァーとナラ、オーストラリア大陸を舞台に3人の壮大な旅が始まる…。
『ロミオ+ジュリエット』のバス・ラーマン監督作品ならではの美しい衣装とカラフルな色彩、そしてちょっとコミカルな演出が秀逸。雨のパーティシーンでは、ニコール・キットマンの"水もしたたるイイ女"ぶりにうっとり。オーストラリアの雄大な自然の中で繰り広げられる大河ロマン、こんなスケールの大きな恋愛を1度はしてみたい!?
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『雨に歌えば』
舞台は、サイレント映画全盛期のハリウッド。ドン(ジーン・ケリー)とリナは映画会社のドル箱スター・カップルとして人気を博していたが、実はドンは駆け出し女優のキャシーと相思相愛の仲。時代はトーキー(音声付の映画)へと移り変わり、ドンとリナ出演作もトーキーでの公開が決定する。しかしここで問題が浮上。リナは致命的な悪声の持ち主なのだった。ドンの俳優人生を守るため、友人のコズモ(ドナルド・オコナ―)とキャシーが協力し、リタの声をキャシーが吹き替えてミュージカル映画に作り替えることを思いつく。
この映画を見たことがない人でも「雨の映画は?」と聞かれればこの作品名が頭をよぎり、「Singing in the rain~♪」と歌いだせる人も多いはず。どしゃぶりの雨の中、ジーン・ケリーがタップを踏みつつ名曲『雨に歌えば』を歌うシーン(この場面は『ラ・ラ・ランド』でオマージュされている)に加え、『グッドモーニング』にのせて主演3人が息もぴったりに歌いあげるシーンなど、歌と踊りのコンビネーションの楽しさに圧倒されるはず! 歴代ベストミュージカルの呼び声が高いのも納得。
『ティファニーで朝食を』
誰もいない早朝のNY。ティファニー宝石店の前でクロワッサンとコーヒーの朝食を食べるコールガールのホリー(オードリー・ヘップバーン)。彼女は贅沢な暮らしを夢見ながら、パトロンやデート相手とパーティに明け暮れる毎日を送っている。そんな彼女が住むアパートの上の階に売れない小説家ポール(ジョージ・ペパード)が引っ越してくる。次第にポールはホリーに興味をいだくようになるが、彼女には誰にも言えない秘密があった…。
『ジバンシー』がデザインした衣装を着こなすホリーは一見華奢で愛らしいけれど、自由を愛し「誰のものにもなりたくない」と強い意思を持つ女性。強く芯のある彼女の言動は、50年以上も前に作られた作品とは思えないほどリアルな共感として今の私たちに胸に突き刺さるはず。どしゃぶりの雨のシーン、ロマンチックなだけでなくおしゃれにトレンチコートを着こなすオードリーにもぜひ注目!
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『ショーシャンクの空に』
1947年のアメリカ。若くして銀行の副頭取を務めるアンディ(ティム・ロビンス)は、妻とその愛人を殺した罪で逮捕され、終身刑を言い渡される。しかし彼は2人を殺しておらず、冤罪だった…。ショーシャンク刑務所に収監されたアンディには厳しい刑務所生活が待ち受けていたが、趣味の鉱物収集をきっかけに受刑者仲間のレッド(モーガン・フリーマン)と友情を育む。そしてアンディは刑務所生活で「自分ができること」を探し始めるのだった。
地味なテーマの作品なので公開当時は興行的にあまり成功しなかったものの、米アカデミー賞7部門にノミネートされ、現在に至るまで高い評価を受けている作品。よくある「刑務所更生もの」とは異なり、最後にあっと驚く痛快な顛末が待っている! 原題は『ショーシャンクの贖い』。どしゃぶりの雨を一心に受けるアンディの"贖い"とは? 苦しいとき、先が見えないときに"希望"の存在を教えてくれる一作。
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『ピアノ・レッスン』
1852年、口のきけない女性エイダ(ホリー・ハンター)は父が決めた相手アリステア(サム・ニール)と結婚するため、娘のフローラ(アナ・パキン)と共にスコットランドからニュージーランドに到着する。花嫁道具のグランドピアノも船から下ろされるが、アリステアは山道を持って移動することは不可能と考え、そのまま浜に置き去りに。しかしピアノはエイダにとって、声の代わりでありかけがえのないものだった。彼女はアリステアの友人ジョージ(ハーヴェイ・カイテル)に「もう1度浜辺に連れていってほしい」と頼みこむ。根負けしたジョージはエイダと娘を浜に連れていくが、浜辺でピアノを弾く姿を目にし、彼女に恋心を抱いてしまう。
開拓時代のニュージーランドを舞台に、圧倒的に美しい音楽と共に綴られる、静かで激しい愛の物語。「ニュージーランドってこんなに雨が多いの?」と思うほど雨のシーンが登場するが、水を含んだ重い空気やぬかるんだ泥水がほのかにエロティシズムを漂わせ、主要なシーンを彩っている。愛の深さと怖さについて考えずにはいられない…そんな作品。
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『フォー・ウエディング』
舞台はイギリス・ロンドン。チャールズ(ヒュー・グラント)は友人のスカーレットとハウスシェアをして暮らしている。友人たちが次々に結婚しはじめ、毎週末結婚式に招待されているものの自分には恋人もいない。そんな中、花婿介添え人を務めたある式でアメリカ人女性キャリー(アンディ・マクダウェル)に出会う。魅力的な女性だが、評判は"アバズレ"。しかしどうしても彼女が気になり、アタックしてしまう。
1994年製作のイギリス映画。当時国際的なヒットは予想していなかったものの、結果世界的大ヒットとなりヒュー・グラントをスターダムに押し上げた。原題『4つの結婚式と1つのお葬式(Four Weddings and a Funeral)』どおり結婚式とお葬式を中心に描かれているが、友情や恋愛、家族の絆などがほどよくまぶされ、軽過ぎずでも重すぎない小気味良いロマコメに仕上がっている。雨の多いロンドンだけど案外"長雨"は少ないもの。そんなイギリス的エッセンスも垣間見える、素敵なラストにも期待して!
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