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2012年の創設以来、約10年の間に映画業界で欠かすことのできない存在となった映画製作・配給会社の「A24」。
これまでの映画にない演出やストーリー展開が持ち味の作品や、批評家や大衆が認める圧倒的クオリティーを誇る作品たちを揃え、芸術性や作家性を兼ね備えた新進気鋭のクリエイターたちを発掘してきました。
本記事では、アカデミー賞を始めとする数々の映画賞の常連となったA24の作品のなかでも、押さえておきたい20作品を厳選してご紹介!
『レディ・バード』(2017)
- みどころ
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)』 や2023年公開予定の実写映画『バービー』を手掛けるグレタ・ガーウィグ監督を、ハリウッドを代表するクリエイターにしたのが『レディ・バード』。
誰もが味わったことのある思春期の憂鬱や、胸を締め付けられるほどの甘酸っぱさが詰まった青春映画です。
なんといっても主人公を演じるシアーシャ・ローナンや、ティモシー・シャラメなどの若手俳優たちが輝く作品で、2018年にはアカデミー賞の5部門にノミネートされるなど、高い評価を得ました。
- あらすじ
舞台は2002年、カリフォルニア州の田舎町サクラメント。
カトリック系の高校に通うクリスティン、自称“レディ・バード”は17歳。平凡な生活から抜け出すため、地元を離れ都会の大学への進学を考えますが、母親や周りと対立し――。
『ミッドサマー』(2019)
- みどころ
作品の美しさと恐ろしさのコントラストがトラウマになった人が続出した『ミッドサマー』。太陽が沈むことのない白夜の中で行われる祝祭を描く「フェスティバル・スリラー」 という新しいジャンルとして大きな話題となりました。
監督のアリ・アスターは、同作は自身の恋人との別れの経験を題材にしたと語っています。主演のフローレンス・ピューは圧巻の演技力を見せ、映画界からのラブコールが絶えない人気女優へと駆け上がりました。
- あらすじ
家族を失い精神的に不安定な主人公・ダニーは、彼氏とその友達の旅行に同行することに。夜でも明るく、夏至の祝祭が開かれるなか、現地を訪れたダニーたちが惨劇に見舞われることに――。
『ヘレディタリー/継承』(2018)
- みどころ
『ミッドサマー(2019)』の前にアリ・アスター監督の名を世界に知らしめた作品が『ヘレディタリー/継承』。「21世紀で最も怖いホラー映画」と評されるほど、複雑なストーリーと不気味な映像で観客を震撼させました。
『ミッドサマー』と同様に、アリ・アスター監督自身の家族観やパーソナルな体験から着想を得て、ホラーへと転換させた作品。
- あらすじ
グラハム家の祖母エレンが亡くなったことを境に、家の中で怪奇現象が発生するように。その後エレンになついていた一家の長女・チャーリーが奇行をみせるようになり、更なる衝撃的な事件が一家を襲います――。
『ムーンライト』(2016年)
- みどころ
黒人コミュニティの中での「性的マイノリティ」という切り口で、 自分の生き方やアイデンティティを探っていく主人公の成長を描いた作品。
本作のタイトルは、原案となった戯曲「In Moonlight Black Boys Look Blue(訳:月明かりの中でブラックの男の子たちは青く輝いて見える)」からきており、青を基調とした映像の色彩美が印象的です。
アカデミー賞の「作品賞」や「助演男優賞」、「脚色賞」を獲得し、白人至上主義が根強いハリウッドに新しい風を吹かせた傑作。
- あらすじ
舞台はフロリダ州マイアミの貧困地帯。
薬物中毒のシングルマザーのもとで育つシャロンは、孤独を抱えながら生きていました。彼を気にかけてくれる麻薬ディーラーのフアンと、同級生のケヴィンだけには心を許せたシャロンは、やがてケヴィンを友達以上の存在として意識し始めます――。
『エクス・マキナ』(2015年)
- みどころ
AI(人工知能)と人間の禁断の恋を描いたSF大作『エクス・マキナ』。
スリラー要素あふれるストーリーに手に汗握る作品。それに加えて「機械は心を持つことができないのか」、「人間とは何なのか」という哲学的な問いを突き付けられる展開に目が離せません。
視覚効果を使った映像美と近未来的なガジェットのデザインの秀逸さから、2016年のアカデミー賞では「視覚効果賞」を受賞しています。
- あらすじ
プログラマーであるケイレブは、世界最大手の検索エンジンを提供する「ブルーブック」社の社長ネイサンの別荘に招かれます。AIロボット「エヴァ」の実証実験に協力してほしいと依頼されたケイレブは、人間らしい振る舞いをする美しいエヴァに惹かれていきますが…。
『ミナリ』(2020年)
- みどころ
アメリカという異国の地で奮闘する韓国人家族を、どんな地でもたくましく根を張る野菜「ミナリ(セリ)」に例えたヒューマンドラマ。
米アーカンソー州の田舎町で育った韓国系アメリカ人監督であるリー・アイザック・チョンの自伝的作品と言われています。監督の幼少期を投影させたデイビッド役のアラン・キムの演技力とその可愛さが話題となりました。
様々な映画賞を受賞し、2021年のアカデミー賞には6部門にノミネート。祖母のスンジャ役を演じた韓国を代表する女優ユン・ヨジョンは「助演女優賞」を受賞しました。
- あらすじ
舞台は1980年代、アーカンソー州。
農業で成功することを夢みてアメリカの田舎町に越してきたジェイコブ率いる韓国系移民家族が、慣れない土地や文化、人々のなかで生活を築いていきます。農業での失敗や末っ子デイビッドの持病、そして祖母の病など、様々な試練に直面して――。
『ルーム 』(2015)
- みどころ
長い年月の間、子どもと共に監禁された女性の実話をもとにして作られた『ルーム 』。
今作で圧巻の演技を見せた女優ブリ―・ラーソンは、1カ月間家の外に出ずに人と会わない生活を送ったり、主人公ジョイが監禁される前に書いたであろう日記を想像で書いたりするなど、入念な役作りを行ったことで有名です。
- あらすじ
ニックと名乗る男により狭い部屋に監禁されることとなった19歳のジョイは、ニックから受けた性暴力によって妊娠し、ジャックを出産することになります。監禁から7年、ジャックが5歳になったある日、ジョイは脱出を決意し――。
『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』(2018)
- みどころ
アメリカのミドルスクールにおける最終学年である「8年生」がタイトルとなった『エイス・グレード』。日本では中学2年生にあたる13歳の少女を主人公に、自意識の芽生えやSNS時代における承認欲求に苛まれる、鬱屈とした青春を描きます。
2018年の公開時には弱冠27歳であったボー・バーナム監督は、十代の頃からYouTuberとして活躍してきたクリエイター。世界最大の映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では、99%と異例の超高評価を獲得しています。
- あらすじ
8年生(エイス・グレード)のケイラは、まもなくミドルスクールを卒業を迎える13歳。「クラスで最も無口な子」というレッテルを貼られ、不器用な自分を変えようとSNSや動画投稿に励むけれど、空回りばかり。そんななかプール・パーティーに誘われ、心を奮い立たせて参加しますが…。
『グッド・タイム』(2017)
- みどころ
行き当たりばったりの無計画な逃走劇が滑稽でありながら、テンポの速い音楽や演出で、ドキドキハラハラが止まらないスリリングなクライムムービー『グッド・タイム』。
『トワイライト』シリーズや『ハリーポッター』シリーズで定着した「クリーンで紳士的」というイメージを払拭し、社会的最下層で生きる不良役を演じたロバート・パティンソンの演技力が輝く作品です。
- あらすじ
知的障害をもつニックを弟にもつコニーは、二人で暮らす牧場を買う資金を貯めるため、犯罪に手を染めトラブルに巻き込まれてしまい――。
『アンカット・ダイヤモンド』(2019)
- みどころ
トラブルと賭けが重なり取り返しのつかない破滅に向かっていくクライムムービー『アンカット・ダイヤモンド』。『グッド・タイム(2017)』を手掛けたサフディ兄弟が監督を務めており、前作と同様、展開の緊張感と勢いがすさまじく、見ごたえのある作品です。
コメディ作品で知られるアダム・サンドラーが、借金まみれの宝石商を演じ、その狂気に満ちた演技が話題となりました。
- あらすじ
ギャンブル依存症の宝石商ハワードは、多額の借金を抱え窮地に立たされます。激しい取り立てにより命も危ないと感じた彼は、一攫千金の賭けに出ますが…。
『20センチュリー・ウーマン』(2016)
- みどころ
70年代の音楽やカルチャーなどの描写で、どこかノスタルジックな雰囲気を感じることができる『20センチュリー・ウーマン』。
個性的な登場人物たちが織り成す会話はどこか“粋”でユーモアにあふれ、2017年の アカデミー賞では「脚本賞」にノミネートされています。『レディ・バード』を手掛けたグレタ・ガーウィグ監督が演じる写真家のアビー役にも注目。
- あらすじ
舞台は1979年、南カリフォルニアに位置する街サンタバーバラ。
思春期の息子・ジェイミーの育て方に悩んでいたシングルマザーのドロシアは、二人の家に下宿しているアビー と、幼馴染みのジュリー にジェイミーの教育を頼むことに――。
『カモン・カモン』(2021)
- みどころ
『20センチュリー・ウーマン(2016)』のマイク・ミルズが監督を務め、『ジョーカー(2019)』にて圧巻の演技で世界を震撼させたホアキン・フェニックスが主演を務めた『カモン・カモン』。
ホアキン・フェニックスは、ジョーカーのような狂気に支配されていく役柄の演技が印象的ですが、今作ではどこにでもいそうな中年男性を演じ、繊細な演技にギャップを感じます。全編モノクロで叔父と甥の会話がメインの今作は、大人であること、人と対話をするということについて考えさせられる作品です。
- あらすじ
ラジオジャーナリストとして働くジョニーは、突如9歳になる妹の息子を預かることに。子育ての経験がないジョニーは甥ジェシーとの生活に戸惑いが隠せません。さらに好奇心旺盛で性格に一癖あるジェシーは、様々な疑問を投げかけたり突拍子もない行動でジョニーを困らせてしまい――。
『X エックス』(2022)
- みどころ
『シャイニング(1980)』や『悪魔のいけにえ(1974)』をはじめ、『悪魔の沼(1976)』など、映画史に残る伝説のホラー作品の要素を取り入れた絶叫系ホラー『X エックス』。
音楽や特殊効果、美術、画面の色調などで、70年代~80年代ホラー作品たちを再現していて、ホラーファンは大興奮間違いなし!
作中の悪役殺人鬼である老婆・パールの若い頃を描いた『Pearl(原題)』も要チェック。
- あらすじ
舞台は1979年、テキサス。3組のカップルは映画「農場の娘たち」の撮影のため、舞台となる農場へ向かいます。この映画で一攫千金を狙う6人を待ち受けていたのは殺人鬼の顔をもつ老夫婦で…。
『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)
- みどころ
各都市で問題となっている「ジェントリフィケーション」※を題材とした『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』。
幼い頃から親友同士である主演のジミー・フェイルズ(本人役)とジョー・タルボット監督の実際の体験を映画にしたもので、舞台となるサンフランシスコへのラブレターと言っても過言ではないほど、街の情景や人々を「地元」という視点で映し出しています。
インディペンデント映画を対象とした第37回サンダンス映画祭では「監督賞」などを受賞しており、バラク・オバマ前大統領は、本作を2019年におけるベスト映画として選びました。
※ジェントリフィケーション(都市開発や都市の富裕化などにより、元々住んでいた低所得者層が追い出される現象)
- あらすじ
サンフランシスコで生まれ育ったジミーとモント。
自分の祖父が建てたとされる美しいヴィクトリアン様式の家に再び住むことを夢見るジミーを、親友のモントは静かに見守っていました。家は白人夫婦によって所有されていたものの、ある日その家が売りに出されることに。ジミーとモントはどうにかこの家を取り戻そうとしますが…。
『フェアウェル』(2019)
- みどころ
中国系家族を焦点に、西洋と東洋の文化や家族観における葛藤を描いた『フェアウェル』。アメリカに住む移民家族が中国に帰郷し、価値観の違いのみならず世代間のギャップに翻弄されながら、自分の居場所を見つけていくストーリー。
中国系の女性監督であるルル・ワンが手掛け、数々の映画祭で賞を受賞、アジア系の制作陣とキャストがメインの作品としてその名を轟かせました。
『シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021)』や『クレイジー・リッチ!(2018)』、『ジュマンジ ネクスト・レベル(2019)』などに出演しハリウッドに欠かせない女優・コメディエンヌとなったオークワフィナ。彼女は本作で主演に抜擢され、2020年にはゴールデングローブ賞の「主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)」を受賞しました。
- あらすじ
ニューヨークで暮らすビリーは、中国にいる祖母が末期がんで余命数週間と宣告されたことをキッカケに家族と共に中国へ向かいます。家族は病のことを祖母に打ち明けないことを選択しますが、ビリーはその決断に納得することができず思い詰めてしまい…。
『LAMB/ラム』(2021)
- みどころ
アイスランドの広大な自然を舞台にした美しい映像の先に感じる、不穏な雰囲気とストーリー展開が特徴のネイチャー・スリラー『LAMB/ラム』。
元々は特殊効果や映像技術を専門としていたヴァルディマル・ヨハンソンが、北欧出身の新進気鋭監督として長編映画デビューを果たした作品です。
第74回カンヌ国際映画祭では「ある視点部門」を受賞しています。
- あらすじ
羊飼いの夫婦イングヴァルとマリアは、我が子を亡くしてから心の傷が癒えない日々を過ごしていました。そんなときに、羊ではない「何か」が産まれてくるのを目の当たりにし、"アダ"と名付け育てることに。しかし、それから奇妙な出来事が続き…。
『mid90s ミッドナインティーズ』(2018)
- みどころ
90年代のロサンゼルスを舞台に、スケートボードとともにストリートで成長していく少年たちを描いた『mid90s ミッドナインティーズ』。
スケートボーダーのライフスタイルやファッション、音楽など、90年代カルチャーが作品の核。思春期を迎える主人公が、ロサンゼルスという多様的でユニークな環境で、年上の少年たちと共に居場所を探る物語です。
監督と脚本は『ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013)』や『マネーボール(2011)』などに出演するジョナ・ヒルが務め、本作は彼の半自伝的作品となっています。
- あらすじ
シングルマザーの母と年の離れた兄・イアンと暮らす13歳のスティーヴィーは、兄を恐れながら孤独な日々を送っていました。そんななか、スケートボード・ショップにたむろする少年たちと出会います。そして彼らの自由でカッコいい姿に魅せられスケートボードに励むことに――。
『WAVES/ウェイブス』(2019)
- みどころ
前半と後半で、兄と妹の物語を別々に描く『WAVES/ウェイブス』。10代の挫折と転落、家族の崩壊と再生のストーリーを、音楽と共に感情に訴えかける作品となっています。
『ユーフォリア/EUPHORIA(2019)』のマディ役を演じるアレクサ・デミーが、主人公の恋人役を演じる姿に注目。
- あらすじ
レスリング部のエリート選手で成績優秀、美しい恋人もいる高校生・タイラーは順風満帆な生活を送っていました。しかし、肩の負傷によって選手生命の危機に直面し、さらに恋人の妊娠が発覚するなど歯車が狂いだします。その1年後、家族に起こった悲劇でふさぎ込む妹エミリーの前に、事情を知りながらも優しくアプローチしてくれる少年が現れ…。
『いま、輝くときに』(2013)
- みどころ
「パーティー三昧で今を生きることを優先する男子」と「控えめで現実的な女子」が出会い、将来への希望と不安に向き合っていく青春映画『いま、輝くときに』。
10代で経験する混乱や葛藤を、感傷的ではなくリアルに描き、観客から多くの共感を得ました。
サンダンス映画祭では審査員特別賞を受賞するなど高い評価を受け、『トップガン マーヴェリック(2022)』のマイルズ・テラーや、『ダイバージェント(2014)』シリーズのシャイリーン・ウッドリーが若手役者として注目されるきっかけになりました。
- あらすじ
将来の目標もなくパーティーに明け暮れるサッター。酔い潰れたサッターをエイミーが介抱することから2人は出会います。サッターは自分とは間逆のタイプの彼女に興味を持ち、次第にお互いの悩みや不安に向き合うようになり――。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022年)
- みどころ
アメリカでは2022年に公開され、前代未聞のストーリー展開と演出で一世を風靡した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。中国系移民家族がマルチバース(平行世界)を飛び回りながら、「全宇宙を脅かす悪」に立ち向かう様子を描きます。
アクション、SF、ヒューマンドラマの要素を織り交ぜたまさにカオスな世界観のなかで、「家族の愛」というテーマが核となりストーリーが展開されていきます。
主人公・エブリン役にはトップアジア系女優ミシェル・ヨー、そしてその夫のウェイモンド役には、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984)』や『グーニーズ(1985)』の子役として80年代に人気を博したキー・ホイ・クァンがカムバック!
※日本では2023年3月3日公開予定
- あらすじ
コインランドリーを営む中国系アメリカ人のエブリンは、経済的にも家族との関係においても窮地に陥っていました。そんなとき、夫・ウェイモンドに「全宇宙を脅かす悪を止められるのは君しかいない」と告げられ、マルチバースにトリップして…。