まだまだ寒い日が続くけれど、春の訪れはもうすぐ! 新学期を迎える学生さんや転職する社会人の人、新しい環境になったり、新しいことにチャレンジする人も多いですよね。そんなあなたにおすすめの心に刺さるスクール映画をご紹介。大人になって観るからこそティーンのキラメキやトキメキ、痛みや戸惑いがグッとくるはず!
『スウィート17モンスター』(2016年)
17歳。まさに青春ど真ん中の年齢。自意識が過剰で、妄想したり、つい恥ずかしいことをやらかしたり、自己嫌悪の沼に沈んだり。イタい青春時代を送った記憶がある人におすすめの本作。
17歳のネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は常に物事をナナメに見ている“こじらせ女子”。スクールカースト上位にいる兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)は、学校の人気者のうえ母のお気に入りでネイディーンとはソリが合わない。ある時、ダリアンがネイディーンのたったひとりの親友クリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)と付き合い始めてしまい大ショック! ネイディーンは家にも学校にも居場所をなくしてしまい…。
それでもラスト、彼女は自分を愛してくれる人たちの存在に気付いて少し成長する。観終わったら少しだけ自分のことを好きになっている、そんな爽やかな後味が秀逸。
『いまを生きる』1989年
アカデミー賞脚本賞を受賞した名作。全寮制の学校に新しく赴任してきた教師キーディング(ロビン・ウィリアムズ)。厳格な規則や親の期待に縛られていた生徒たちは、情熱的で型破りな授業をするキーディングに触発されて、自分たちの手で自由な考え方や新しい生き方を見出していく。自分の意志を持ち、自分の人生を生きることの大切さを教えてくれるのが本作。信頼できる仲間たちとの深夜の語り合いなどは、まさに青春時代の象徴。
視点を変えることを教えてくれる“机の上に立つ”行為が、後半はもうひとつの意味を持つシーンに思わず落涙してしまうはず。生徒役で出演している若き日のイーサン・ホークのあどけなさにも注目して!
『ウォールフラワー』(2012)
ウォールフラワー=“壁の花”。パーティーなどで輪の中に入れず壁際にいる人のことを指すのだが、本作の主人公チャーリー(ローガン・ラーマン)はまさに壁の花。学校に馴染めず、いじめられないように息をひそめている。
けれど、ある日、パトリック(エズラ・ミラー)とサム(エマ・ワトソン)という風変わりで自由な魂を持つふたりに出会ったことから学校生活は一変。彼らと一緒にパーティーに出るようになり、友人が増え、多くのカルチャーに触れるようになる。チャーリーはサムに対して、憧れに似た気持ちを抱いているものの別の女の子と付き合うことになり…。
トラウマを抱えて精神的に不安定なチャーリー、変人に見られているけれど誰よりも繊細なパトリック、凛とした強さを持つサム。3人のキャラクターと演じた役者陣が素晴らしい。
『ナポレオン・ダイナマイト』(2004)
主人公のナポレオン・ダイナマイト(ジョン・ヘダー)は半目にメガネ、口はいつもポカンと開いていて見るからに冴えない高校生。
車も持っていないため、小学生に混じってスクールバスで通学している。当然、友達はおらず、学校では常にいじめられる対象だ。そんな彼がメキシコ系移民の転校生ペドロ(エフレン・ラミレッツ)と友達になり、彼を生徒会長に当選させようと彼なりのやり方で奮闘する。とにかくナポレオンの独特の存在感がクセになりすぎる本作。
どんなに虐げられようと、決して自分を曲げることないナポレオン、実はかなり努力家のナポレオン、最後にすごい技(?)を披露するナポレオン。なんかかっこよく見えてくるから不思議!
『ステータス・アップデート』(2018)
カリフォルニアから東部のコネチカットに引っ越してきたカイル(ロス・リンチ)は、カルチャーやノリの違いから新しい学校で浮きがち。
けれど書き込んだことがそのまま現実になる不思議なソーシャルアプリをダウンロードしてからは、望むものを何でも手にして一気に学園の人気者になる。次々とステータスをアップデートさせることに夢中になるカイルだけど、それって本当の自分なの…?
自分の思い通りの世界になったらさぞや楽しいとは思うけれど、それに伴う“影響”もあるわけで。人生で本当に大切なことに気付いて大きな選択をするカイルの清々しい表情のかっこいいこと! ロス・リンチはディズニーチャンネル『オースティン&アリー』でブレイクした新星なのでチェックしてみて。
『スーパーバッド童貞ウォーズ』(2007)
高校生活最後の日。卒業パーティーで脱・童貞しようと奮闘する冴えない3人組の涙ぐましい努力を、開巻から下ネタ満載で描くコメディ。
自分勝手なセス(ジョナ・ヒル)、3人の中では常識人のエヴァン(マイケル・セラ)、肝心なところが抜けているフォーゲル(クリストファー・ミンツ・プラッセ)。イケてる女子ジュールス(エマ・ストーン)にパーティーに誘われ、イキってお酒を用意することになった3人はフェイクIDを使おうとするが、次から次へとありえないトラブルに見舞われてしまう。果たして3人は意中の女の子と初体験できるのか!?
10代男子のアホさと真剣さがないまぜになったリビドーに爆笑必至だけど、セスとエヴァンの友情(時に愛情?)物語はちょっぴりビターな味わい。高校卒業時って、後で振り返ると人生の大きな分かれ目でもあるのだ。
『アナザー・カントリー』1984年
1930年代のイギリスの全寮制パブリックスクール。将来は外交官や政府高官、軍人など、“お堅い”職業に就くであろうエリート学生たちの中で、異彩を放つ自由主義のガイ(ルパート・エヴェレット)は同じ学生のジェームズ(ケイリー・エルウィス)に一目ボレし、愛し合っていく。一方、ガイの親友トミー(コリン・ファース)は共産主義に傾倒していて…。多感な年齢での経験は後々までその人の人生に影響を及ぼすことをまざまざと感じさせる。
ルパート・エヴェレットをはじめ、コリン・ファース、ケイリー・エルウィスが人気になり、英国貴公子ブームに火をつけた作品。「大人になると変わるかな」「美は完全を嫌う。彼の喉元の凹みに蜜を注ぎ込んでなめたい」など印象的なセリフも多い。
『ブレックファスト・クラブ』(1985)
不良、スポーツマン、お嬢様、真面目な優等生、不思議ちゃん。普通の学校生活では決して関わることのない5人が、懲罰として土曜の朝7時に図書室に集められ、「自分とは何か」をテーマにした作文の提出を求められる。
何も接点がないからこそお互いぶつかる5人。けれど、1日を共に過ごすうちに人知れない悩みや他の友人には明かせないでいた胸の内を語り合うようになる。たった半日の出来事なのに学校生活の――青春の全てが詰まっているようにも感じる切実さやみずみずしさ。若さゆえの衝動や苦しみ。淡い恋心。
80年代に“アメリカの学園映画”というジャンルを作り上げた名匠ジョン・ヒューズ監督作で、今観ても色褪せないのがさすが。音楽の使い方も◎!
『ウェルカム・ドールハウス』(1996)
中学生のドーン(ヘザー・マタラッツォ)はお世辞にもかわいいとは言いがたい中学生。ダサくて地味でイケてない。学校でも家でも肩身が狭い。そんな女の子のちょっとドラマチックなことが起こる日常を切り取る。
本作は『ハピネス』や『ストーリーテリング』という毒気たっぷりの名作を発表してきたトッド・ソロンズのデビュー作。地味な女の子が何かを成し遂げるとか、性格の良さを認められるとか、あっと驚く方法でいじめっ子に仕返しするとか、そんなセオリーは通用しない。
ドーンは厳しい現実を厳しいままに受け止めざるをえないのだけど、そんな中で飄々と生きるドーンを見ていると、思春期なんて暗黒だって別に大したことないじゃないかとふと思わせてくれる何かがこの作品には潜んでいるのだ。
『25年目のキス』(1999)
高校時代、ブスと言われて嘲笑の的だったジョジー(ドリュー・バリモア)は、今は新聞社の新米コラムニスト。そんな彼女が取材のために高校生になりすまし、高校に潜入することに。過去のトラウマが蘇って、大人になってからも相変わらずうまく学園生活に馴染めないジョジーだが、弟の力を借りて人気者になっていく。前半のジョジーのイタい勘違いと涙ぐましい奮闘に思わず笑ってしまうけれど、大人になった私たちは知っている。
どんなにスクールカースト上位にいても、卒業すれば違う世界が広がっていることを。「世の中はもっとずっと広いのよ」「本当の自分を見つけて」と訴えるジョジーの言葉は説得力あり。学校という世界から離れた今だって、視点をちょっとずらせば違う世界が見えるはず!