すみれインタビュー
五十嵐 瑛仁(TRON)

20歳のとき、ハワイから日本にひとり戻ったすみれさん(25)。女優、歌手、モデルとして雑誌やバラエティ番組などで活動をスタートしてから、わずか4年あまりで、いまそのステージはハリウッドへと移りつつあります。以前から「ハリウッド女優になりたい」という夢を公言していただけに、「すみれ、ハリウッド映画で大役に抜擢!」のニュースを目にしたときはその有言実行ぶりに驚くとともに、同じ女性として勇気やパワーをもらいました。常に前向きでアグレッシブに進み続けるすみれさん、しかもいつでも笑顔で……。そのマインドはまさに、コスモポリタンが理想とするところです。

人生1回きりだから、前に進まないと。悩んでもいいけどウェイク アップ!

――ドラマや舞台、バラエティ番組、CMなど、すみれさんは現在いろんなシーンで活躍されていますね。そこにきて、ハリウッド映画への出演などもあり、活動は順調そのものといえるのではないでしょうか。ご自身ではいまの仕事のスタイルには納得されていますか?

おかげさまで、いろんな仕事ができて本当に感謝しています。納得とか満足かどうかよりも、いまは楽しさが上回っているから、どんな仕事にもチャレンジしたいしもっと先を目指したい。もちろん失敗する日もあれば辛いと感じる日もあるけど、日本にきてからずっと、苦労しているなんて思ったことはありません。

――4年前に日本にきたときは、日本語をほとんど話せなかったとか。

そうなんです。7歳のときに母とふたりでハワイに移住して、向こうにいる期間のほうが長かったので、日本語は全然しゃべれなくなってしまって。だから日本に戻ってきたときは、言葉が通じないこととカルチャーショック、この2つが大きな壁でした。見た目は日本人なのに日本の文化やマナーを知らないし、日本語がしゃべれないせいで私はみんなから嫌われていて、何もかもバカにされているんだ、って思っていた時期もあったんです。だからバラエティ番組に出ても怖くてしゃべれなかったし、周りの芸人さんたちのジョークもわからないから笑えず、孤独を感じていました。

――いまはすっかり日本語もお上手ですね。

いやいや、とんでもないです!(笑)

――そういう返しとか、すっかり日本人ですよ(笑)。それで、そんな状況はどうやって克服したんですか?

帰国子女やハーフのタレントやモデルたちと知り合うようになり、似たようなコンプレックスを共感し合うことができたんです。それから、私は人を観察するのが好きなんで、みんなを見ているうちに、それぞれの生い立ちや過去、家族、環境があり、人間誰もが違うからいまの自分になれているんだ、私も自分の経験を生かしていきたいな、ってやっと思えるようになって。そうしたら、下手な日本語を笑われてもバカにされていると思うのではなく、面白がってくれるなら私も一緒に笑おうって気持ちになれて。背が小さい、大きい、ぽっちゃりしている、痩せている、芸人、俳優、モデル……見た目も環境も職業も人それぞれだけど、そんな違いこそ他人を惹きつける魅力になるんじゃないかな。

――以前ほかのインタビューで、すみれさんは「私は日本人でもハワイアンでも、アメリカ人でもなくてじゃあ一体何者?」という疑問をずっと持っているとおっしゃっていましたが、そこも解決しましたか?

そうですね。(目の前のミネラルウォーターのペットボトルを指差して)私たちは、このお水の中に漂っている、たったひと粒の泡ぐらいの世界で生きている。そんな小さな世界が紛争や災害、温暖化などでどんどんぐちゃぐちゃになっていく中で、もっとみんなで考えなければいけない心配事があるのに、怖いとか不安だとかいってる場合じゃないなって思ったんです。周りに支えてくれる仲間や家族がいて、やりたい仕事ができているんだから十分幸せでしょ、って。人生1度きり、そんなことで悩む時間があるんだったら、ウェイク アップ! ただ、そう思えるようになったのも、あのとき悩んだから。失敗して落ち込んで反省して、そんなふうに気持ちがダウンするときもあるから、こうやって幸せを感じられるんですよね。悩みも失敗もなく、誰からも叱られず、誰ともケンカしない……なんてレベルアップしないんじゃない?

すみれインタビュー
五十嵐 瑛仁(TRON)
夢を叶えたいなら、そのための準備と毎日のトレーニングが必要だと思う


――「いつかハリウッドでも仕事をしたい」という夢を口にされていたので、昨年、ハリウッド映画『The Shack』の大役に抜擢されたというニュースを耳にしたとき、着実に夢を叶えているなぁと感動しました。ハリウッド進出の夢は、どうやって実現したのですか?

もちろん最終的にはオーディションを受けて勝ち抜いた、というのがあります。でも、運もあるといえばあるけど、運だけでは夢は叶えられません。いちばん大事なのは、その夢を具体的な目標にして、そこに向けてのトレーニングや勉強を積んで準備をすること。目標までの道のりって近かれ遠かれ必ずあるから、その間をフォローしていかなければいけないんです。さらに、トレーニングを積みながら、いろんな人とつながったり、話をして情報を得る。もちろん言葉にすることも大事だから、私の場合はさらに自分に催眠術をかけるかのように「私はハリウッド女優になる。だから演技の勉強もボイストレーニングも欠かさず、日本でどんな役でも受ける」ってくり返し口にしました。目標に近づくには、そうやって強い意志を持ち、1日1日の積み重ねとステップアップが大事だと思うんです。

――努力されているんですね。そもそも女優になりたいと思ったのは、いつごろからですか? 女優という仕事はどんなところが魅力的?

はっきり「お芝居って楽しい! 女優になりたい!」って思ったのは、中学1年生。友達に誘われてミュージカルに出たときに、お芝居の魅力にハマっちゃった。小さいころにやったおままごとみたいに、自分以外の誰かになりきるのが好きだったのかもしれない。それに、子供のころから人を観察するのが好きで、他人が何を考えているのかすごく気になっていたし、人の動きをずっと見ていたり、相手が話した言葉を分析したりするのも得意だったんです。たとえばちょっと変わったお友達がいたら、興味を持ってずっと観察するでしょ? それでいつかちょっと変わった人物の役をもらったら、あぁ、あのお友達はこういうときこんな動きをしたなとか、あんなクセがあったなとか思い出して、役に取り入れるんです。そういうふうに、頭の中でパズルを組み合わせるのが好き。別人のストーリーを演じるのは、緊張感や責任があるし、アドレナリンがたくさん出てすごく楽しいんです。

――お芝居をすることで、何を伝えていきたいですか?

私のお芝居を観て共感や感動、よろこびを抱いてもらえたらすごく幸せ。それから、人をよろこばせる仕事をしている以上、自分のことばかり考えていちゃいけないと思っています。だからグイグイと他人をかき分けてムリヤリ役をとりに行くようなことはしません。そんなことしても誰も気持ちよくないでしょ? その代わりに毎日、トレーニングと勉強をして準備をしているんです。チャンスがきたときに確実につかみたいから。ハリウッドのお芝居の先生からは「他人に気を遣うところが日本人っぽいし、日本人ならではの繊細で美しい動きが出ているね」って言われました。なかなか向こうにはそういう女優はいないし、それが私の魅力になればいいなって思うと、いまでは日本人に生まれたことに本当に感謝しています。

>>【後篇】結婚や家族こと

いつもは見られない、すみれさんの撮影メイキングを特別に公開中!

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撮影/五十嵐 瑛仁(TRON) ヘア/ABE(M0) メイク/Ken Nakano スタイリスト/井阪 恵(dynamic) 歌手・女優 /すみれ 取材・文/若山 あや

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