ベンジャミン・バトン 数奇な人生』でクイニー役を演じ、アカデミー賞助演女優賞にもノミネートされた俳優のタラジ・P・ヘンソン。彼女は先日、ハリウッド業界の賃金格差について語り、そういった待遇をうけることに引退を考えるほど疲れたと明かした。

賃金問題を理由に引退も視野に

映画『ドリーム』やドラマ『Empire 成功の代償』への出演で知られるタラジ・P・ヘンソン。先日、ラジオ番組<SiriusXM>のインタビューに応じた。

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Taraji P. Henson May Quit Acting Over Pay, Treatment in the Entertainment Industry
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TODAY>によると、タラジは賃金格差を理由に引退を考えていたことについて、このように語っていたという。

「黒人の女性たちが何度も同じことを言われるのを聞くのは、もう飽きました。人から『たくさん働いているね』と言われるけど、そうしなければならない。じゃないと計算が合わないから」

また彼女は、そうして仕事を増やすほどそれを支えてくれる“チーム”も成長するものだと指摘。そのチームの待遇を優先的に確保することの大切さを強調した。 タラジによると、総支給額の80%はチームへの支払いと税金にあてられているとのこと。

「どれだけガラスの天井を破ったとしても、再交渉のときがくると、まるで今までのことが何もなかったかのように、またどん底からはじめなければいけない気がします。それにただ疲れているだけ。そう深く感じるのです」
siriusxm's town hall with the cast of 'the color purple' hosted by gayle king
Cindy Ord//Getty Images

賃金交渉の際に人種を理由にされることも

タラジ・P・ヘンソンが賃金格差について口を開いたのは、今回が初めてではない。

Us Weekly> によると、タラジはキャリア初期に出演した『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』で50万ドル(約7100万円)のギャラを要求したものの、10万ドル(約1400万円)を提示されたという。そして最終的には15万ドル(約2100万円)を受け取ることになったそう。

「私は、ブラッド・ピットやケイト・ブランシェットから何かを奪おうというつもりはありません。彼らも必死に働いているのだから、それに値する報酬を得る資格がある。私も必死に働いたけど、当時はノーと言えなかったし、何の力もなかった」

2016年に<GLOMOUR>に語った話によると、ブラッド・ピットやケイト・ブランシェットはこの映画で「数百万ドル(100万ドルは約1億4000万円)」のギャランティーを受け取っているはずとのこと。また映画の予算は1億6700万ドル(約240億円)だったにもかかわらず、一般的には制作会社が負担することの多い撮影期間中の宿泊費なども自費だったと語っている。

siriusxm's town hall with the cast of 'the color purple' hosted by gayle king
Cindy Ord//Getty Images

今回の<SiriusXM>でのインタビューでは、交渉の席でいまだに「予算が足りない」と言われるのは、黒人の俳優や物語が“海外では通じないから”などと言い訳をされるからだとも指摘。彼女は「この仕事を始めて20数年になるけれど、同じことをよく耳にする」と言い、「もう聞き飽きた」と語ったと<Entertainment Tonight>は報じている。

ハリウッドでの賃金格差に対して、自身の思いを涙ながらに語ったタラジ。黒人の俳優として活躍するガブリエル・ユニオンやキキ・パーマー、ヴィオラ・デイヴィスも、彼女をサポートする声を寄せている。