長年にわたって“テニス界の女王”として君臨してきたセリーナ・ウィリアムズ選手。2017年には夫アレクシス・オハニアン氏との間に長女アレクシス・オリンピアちゃんが生まれましたが、その出産体験は壮絶なものだったそう。

本記事では、セリーナ選手が出産直後のとっさの判断によって自身の命を救ったエピソードと、その裏にある社会問題についてお届けします。


【INDEX】

  • 「血栓症」との闘い
  • 過酷な出産体験
  • アフリカ系女性たちが直面する現実

「血栓症」との闘い

いくつもの大会を制し、もはや“テニス界の伝説”となりつつあるアメリカ屈指のテニスプレーヤー、セリーナ・ウィリアムズ選手。

世界を代表するトップアスリートとして完全無敵なイメージがあるセリーナ選手ですが、実は「血栓症」の持病を持っており、過去に深刻な肺塞栓を発症しています。

「2010年に肺に血栓があることを知りました。発見が間に合わなければ死に至っていたかもしれませんでした。それからというもの、また同じようなことが起こらないかという恐怖に駆られています」

過酷な出産体験

2017年に娘のアレクシスちゃんを出産したときには、血栓症の影響で命の危険にさらされたといいます。

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出産してすぐに血栓が形成されるのを防ぐために「ヘパリン点滴」をするべきだと感じたセリーナ選手は、その旨を看護師に伝えることに。ところが看護師は、「その必要はない」と判断し、まともに取り合ってくれなかったそう。

「(ヘパリン点滴が)絶対に必要だと思い、そう周りに強く主張しました。出産後、体中に激痛を感じていて、脚や腰はまったく動かなかったんです」

そして徐々に激しく咳き込むように。咳によって帝王切開での傷口が開く可能性があると注意されたものの、どうしても止めることができなかったと語ります。

咳はその後さらに激しくなり、その度に体に激痛が走ったのだそう。結果的に、帝王切開の傷口が開いてしまい、緊急手術をすることに。しかし、手術中に彼女の動脈に大きな血腫を発見し、状況はさらに悪化していったと言います。

数回の手術後、最悪な状況からは脱することはできたものの、肺が心配となり看護師にCTスキャンをするよう懇願。しかし、その看護師は「薬を投与されてパニックになっているだけ」と、その願いを受け入れてくれなかったのだとか。

しかし、「今必要なのはスキャン」だと何度もお願いしCTスキャンを踏み切ると、肺に致命的な血栓を発見。急遽再手術をしたことで一命をとりとめたそう。

アフリカ系女性たちが直面する現実

この経験から、医療関係者たちが彼女の主張を真剣にとらえなかったことで、命が危険にさらされたという事実を指摘します。

「アメリカでは、アフリカ系女性たちの出産後の死亡率が、白人女性達より3倍近く高いのです。ほとんどのケースが防ぎようのある死だったと専門家の意見もあります」
afroamerican woman sleeping with her newborn baby at hospital bed
KidStock//Getty Images

アメリカやイギリスなどの欧米諸国では、アフリカ系女性の出産後の致死率が圧倒的に高いという統計も。実際に出産後になんらかの合併症を経験したアフリカ系女性によると、「他と比べて意見をないがしろにされたり、痛みや心配ごとを真剣に受け入れてもらえなかった」と語ります。

「アフリカ系の人々は強い」や「アフリカ系の女性は痛みに強い」という文化的な偏見も背景にあると指摘する専門家もおり、出産体験における人種間の格差とその是正について議論が進むことが望まれています。

※この翻訳は抄訳です。
Translation: ARI
COSMOPOLITAN UK