映画『JUNO/ジュノ』などで知られ、昨年12月にトランスジェンダーであることを公表した俳優のエリオット・ペイジ(34歳)。彼のニュースは、20カ国以上のTwitterでトレンド入りするなど大きな反響が。

今回<TIME誌>による取材で、公表後初となるインタビューに応えたエリオット。そこで彼が明かしたのは、髪の毛との葛藤や、“女優”として活躍していた頃の苦悩、そして現在の心境――。

同誌の表紙を飾ったエリオットは、自身のInstagramでファンたちにメッセージを発信。

「先人たちに対して深い敬意を表すると共に、私や若いトランスジェンダー層を支えてくれた人々に感謝を伝えたいです。私と共に、アンチトランスジェンダーの制度やヘイト、差別に異議を唱えましょう」
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すっきりとしたショートカットで表紙に映るエリオット。実はエリオットにとって、「髪の毛」との付き合い方には長い間にわたって葛藤があったよう。

長髪でいることを求められ…

<TIME誌>のインタビューに応えたエリオットによれば、幼少期の彼は、「女の子らしく振舞うように」と育てられたんだそう。9歳の頃にやっと髪を短くすることを母親から許してもらい、そのときのことはハッキリと覚えているよう。

「(髪を切ってやっと)男の子になれたと感じたんです。ずっと男の子になりたかったし、『将来は男の子になれる?』と母に聞いていたほどでした」

ようやく念願の短髪になったエリオットは、自分で認識していた「男の子」として周囲からも見られていることに喜びを感じたとのこと。ところが、10歳で子役としての活動を始めたエリオットは、再び髪の毛を長く伸ばすよう求められてしまったんだそう。

自分の写真を見るのが辛かった

“女優”として活動を続けていくことで、表舞台ではありのままの自分から遠ざかざるを得なかったエリオット。2015年4月に<VOGUE誌>での取材を受けた際にも、「“女性らしい着こなし”を暗黙のうちに求められているように感じていた」過去を告白していたことも。

また、レッドカーペットやメディアでの仕事をするたびに、ドレスアップしている姿が「自分だとは感じられなかった」という当時の苦しみも吐露。 自分が映った写真を見ることはおろか、フェミニンな役柄を演じた作品などを観ることもできなかったんだそう。

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Kevin Winter//Getty Images
2010年、映画『インセプション』のプレミアにて

<TIME誌>のインタビューでは、そんな経験から、鬱や不安症、パニック障害を患っていた過去も告白。また、何度も役者業をやめようと悩んでいたとも明かしている。

「俳優なのに、女性物のTシャツを着るだけて気分が悪くなってしまうということを、どのように説明すれば周囲にきちんと伝わるかが分からなかったんです」

そんなエリオットは、最近はレッドカーペットではスーツを着用し、さらに「マスキュリンな洋服の着用」を仕事を引き受ける条件の一つに入れているとのこと。また、上半身の性適合手術をすでに終えており、「今では、鏡に映っている姿を見るとき、ちゃんと“自分”を見れていると感じます。完全に人生が変わりました」と話している。