歌手のアデルやキャサリン妃の妹ピッパ・ミドルトンなどが試したと言われていて、大きな話題となっている「サートフードダイエット」。

サーチュイン遺伝子と呼ばれる代謝を高めるなどの健康効果が期待できるたんぱく質の一種をメインに食べる食事法で、赤ワインやダークチョコレートが摂取できることや、1週間足らずで減量効果があると言われていることからセレブたちの間で人気に。

しかし、んなに魅力的に聞こえても、即効性があるものには注意が必要で、専門家の間では批判の声も上がっているとのこと。

そこで本記事では、栄養学セラピストのナオミ・ミードさんと栄養士のジェナ・ホープさんに聞いた、サートフードダイエットの基礎知識と問題点をご紹介します。


【INDEX】


サートフードダイエットとは?

サートフードダイエットを考案したのは、イギリス在住の栄養士、エイダン・ゴギンズさんとグレン・マッテンさん。

サートフードダイエットとは、サーチュイン遺伝子を含む食品(サートフード)、主に植物性食品をベースに食べる食事法のことで、痩せる遺伝子とも呼ばれるSIRT1遺伝子を活性化させることができると言われています。

その結果として、ゴギンズさんとマッテンさんの著作『The Official Sirtfood Diet』では、体の脂肪を燃焼し、1週間で7ポンド(約3.2キロ)程度の減量が期待でき、疾病の予防にも繋がると紹介されています。

smoothie in glasses
Johner Images//Getty Images

どうやって行うの?

まず第1段階の期間は、1週間。初めの3日間で食べて良いのはサートフード豊富な食事を1食とグリーンジュース3杯のみで、1日の摂取カロリーは1,000カロリーまで。その後の4日間は、サートフード豊富な食事を2食とグリーンジュース2杯で、摂取カロリーは1,500カロリー以内におさめるというもの。

    2段階目は、メンテナンスの時期として2週間続けるもので、サートフード豊富な食事を3食とグリーンジュース1杯で摂取カロリーの制限はなし。その後は普段の食事にサートフードとグリーンジュースを取り入れ続けていくというもの。

      著作『The Official Sirtfood Diet』で紹介されている、特にオススメの食品は以下の通り。

      • エキストラバージンオリーブオイル
      • ケッパー(植物のつぼみのピクルス)
      • 赤たまねぎ
      • パセリ
      • ケール
      • くるみ
      • いちご
      • チリ
      • ココア(ダークチョコレート)
      • グリーンティー
      • コーヒー
      • デーツ
      • 赤チコリ(キク科の野菜)
      • ラベージ(ハーブ)
      • ルッコラ
      • セロリ
      • 蕎麦
      • ターメリック
      • 赤ワイン

      サートフードダイエットの問題点

      極端なカロリー制限

      サートフードの多くは、たしかに栄養価は豊富です。しかし専門家の間では、初めの極端なカロリー制限が懸念されています。

      批判の声が上がっている理由について、ホープさんは次のように説明しています。

      「1日1,000カロリーだけでは、十分な栄養素を摂取できず、体がきちんと機能しません。赤ちゃんですら、1,000カロリーでは足りないのですから」

      また、カロリー制限をすることで代謝が落ち、結果的に燃焼できるカロリーが減ってしまうというデメリットも。つまり、ダイエットをやめても、長期間な悪影響があるということ。

      ホープさんによれば、摂食障害に後々つながってしまう可能性もあるとのこと。

      「栄養が足りないことで、疲れ、空腹感、倦怠感などの気分にも悪影響を生むことがあります。さらに、カロリー制限があるので、長期的に続けるのは難しく、摂食障害につながってしまう可能性もあります」
      creamy kale salad with pickles and parmesan
      Enrique Díaz / 7cero//Getty Images

      サーチュイン遺伝子自体が研究不足

      そもそも、サーチュイン遺伝子の人間に対する効果の研究データがまだ少ないという点も疑問視されている理由の一つ。

      科学者の間では数十年ほど研究はされているものの、研究内容は主に「細胞の炎症や老化を抑える効果」についてで、確実なデータとしてあるのは試験管実験と動物実験のみ。まだメカニズムは完全には理解されていないそう。

      実証データが不十分

      実験者数が少ない

      サートフードダイエットは、実証データがとにかく少ないことも問題視されています。今のところ、ゴギンズさんとマッテンさんがロンドンで行った40人に対してのデータしかなく、しかも第1段階しか行なっていませんでした。

      そのため、「信憑性を得るには、より多くの実例が必要です」とミードさん。

      長期的な効果が不明

      実験者40人中39人はサートフードダイエットを続けることができ、残った全員が痩せることができたと著作『The Official Sirtfood Diet』では紹介されているものの、第1段階しか行われていなかったことから、長期的な効果も不明とミードさんは指摘。

      「7日間のトライアル後のフォローアップがなかったため、参加者が減量した状態を長期的にキープできたのか、カロリー制限のない通常の食事をしたら、体重は戻ったのかどうかもわかりません」

      実験者に偏りがあった

      さらに、実験者自体にも偏りがあったとミードさんは説明しました。

      「実験者には、ジムに普段から通っていて、すでに健康で運動習慣のある人々しかいませんでした。もっとあらゆるタイプの人のサンプルがないと、すべての人に効果が出るかどうかはわかりません」

      そもそもサートフードの効果が不明

      また、ミードさんによると、サートフードダイエットが、普通のカロリー制限と異なり、体重減量に効果的だと証明できる研究は現在ないとのこと。

      「減量結果がただのカロリー制限によるものか、それともサートフードによるものなのかはっきりとは分かりません」

      食事法としてのサートフード

      上記の理由から、ミードさんとホープさんは、減量を目的としたサートフードダイエットはおすすめしないものの、「サートフードを食事に取り入れること自体は悪いことではない」と補足。

      「食物繊維、ビタミン、抗酸化作用、ポリフェノールが豊富な植物性食品を摂取した方が体に良いことには違いありません」

      ※この翻訳は抄訳です。

      Translation: Haruka Thiel

      Net Doctor