今月の25日に9回目の命日を迎えた、“キング・オブ・ポップ”ことマイケル・ジャクソン。その2日後である27日(現地時間)、彼をスターに押し上げた父親であるジョセフ・ジャクソンが、89歳で逝去するという悲しいニュースが舞い込んできた。

ジョセフ氏の死因は未だ明らかにされていないものの、末期癌を患っていたためにラスベガスの病院に入院していたと言われている。また、詳しい入院先はもちろん病名さえも家族へは知らせず、見舞いを断っていたとも。今月中旬になってようやく面会することができたようだ。

面会ができなかった当時の胸中を、三男のジャーメイン・ジャクソンはこう振り返る。

「父に何が起こっているのか分かりませんでした。特にこのような時期に、父親に会わせてほしいとせがみ、懇願し、言い争いをするべきではないと思います。みんな傷ついています」
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ジャクソン兄妹と、ジョセフ氏。

マイケル・ジャクソンが、その名を世界に知らしめるきっかけとなったのは、1964年兄弟と組んだ音楽グループ『ジャクソン5』のデビュー。最年少だったマイケルは5歳でグループのメンバーになり、リードボーカルを務め、失恋ソングでも大人顔負けの心のこもった歌を披露していた。

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Jackson Five - I Got the Feelin (Motown Audition 1968)
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ジョセフ氏がレコード会社へ送った動画。センターに立つマイケルが歌っているのは、ジェームス・ブラウンの「I Got The Feeling」。
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I Want You Back - The Jackson 5
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当時マイケルは12歳。『ジャクソン5』のヒット曲で、ビルボードHOT100で1位にもなった「I Want You Back」。

また、マイケルの妹ジャネット・ジャクソンも、ジョセフ氏の元で歌手デビュー。今年の「ビルボード・ミューミック・アワード」で「ビルボード・アイコン賞」を黒人女性として初めて受賞するという快挙を成し遂げた。

授賞式での映像で、ジャネットは治安の悪いゲリーでの生活や、父親のことをこのように語っていた。

「パパは子どもたちに食べさせるためなら、何でもした。子どもがホームレスになることや、ドラッグをすることを避けさせるためにね。そして、お酒に溺れることも。子どもたちにはもっといい暮らしをしてほしいと常に願っていたの。そして、パフォーマンスすることで這い上がれると見抜いていたんです」

一方で、子どもたちの成功とは裏腹に、父親であるジョセフ氏との関係はこじれていたとも囁かれている。2003年にマイケルはとあるインタビューで、練習で失敗でもしたら父親に鞭打ちされていたことや、父親を恐れていたことを明かしている。

「ママが、『ジョー、やめて。子どもが死んじゃう』と叫んでいたことを覚えています。僕は足が速かったからほとんど逃げられたけど、捕まった時は最悪だった。本当に最悪だった」

兄のジャッキー、ティト、ジャーメイン、そしてマーロンは虐待について否定しており、またそんな厳しすぎるしつけの一部については生前にジョセフ自身も認めつつ、悪いことだとは思っていないと話したことも。

「(厳しいしつけのおかげで)彼らを犯罪から遠ざけることができたし、正しい道へ進めることができたんだ」

スーパースター一家の宿命か、ジャクソン親子にまつわる噂は絶えないものの、ジャネットは父のことを「最高な父親で、最高の私でいられるように奮い立たせてくれた存在」だと感謝を表明。

またジョセフ氏の死をうけて、次々に追悼のメッセージを投稿するジャクソン一家のメンバーたち。

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「ずっと愛し続ける! 私たちに力を与えてくれて、一家を世界で最も有名な家族にしてくれた。そのことをとても感謝しているし、2人の思い出やあなたの私たちに対する想いを一生忘れないわ」とツイートしたのは、娘のラトーヤ。
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マイケルの息子で、ジョセフの孫にあたるプリンスも想いを投稿。「彼は、最も簡単な道ではなく、家族のために最良の道を選んだんだ」と称えた。

思いを長文にしたためた孫娘のパリス・ジャクソン。

「あなたと過ごした最期の時間は、私にとってすべてです。さようならを言う前に、これまで伝えたかったことを話せて良かった」
「集まったすべての家族は、ジャクソン家の一族であることを、そしてこの一家のすべての始まりであるあなたのことを心から誇りに思っているわ。あなたがいなかったら、私たちは存在しなかった」
「一緒に過ごせた最期の瞬間を、私は一生大事に想い続けるわ。あなたの手をにぎって、一緒に横になって抱きしめたこと、そして頬や額にたくさんキスしたこと」
「おじいちゃん、愛してるわ。心から、心から、本当に愛してる。言葉では表現できないほどに感謝しているし、これからも感謝しつづけるわ。家族みんな同じよ。夢で会おうね」※抄訳

クレーン操縦士をやめ、子どもたち全員のマネージャーを務めたジョセフ。マイケルや子どもたちとの関係は常に順風満帆にはいかなかったのかもしれないけれど、世界中で愛され続けるレジェンドを育てたこと、そして何よりジャクソン一家の才能を信じ、最良の方法で世に送り出してきた彼の偉業は、人々の記憶に残り続けることだろう。

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Aflo