鮮やかなピンク色と独特な形をした南国育ちの果物、ドラゴンフルーツ。最近になって日本のスーパーでも見かけるようになった一方で、あまり食べる機会がないという人も多いはず。

実はドラゴンフルーツは、おいしいだけじゃなく多くの健康メリットがあるといわれ、栄養士も太鼓判を押す果物なんです。そこで本記事では、ドラゴンフルーツに含まれる栄養とその健康効果について<プリベンション>から詳しく紹介します。

ドラゴンフルーツとは

ドラゴンフルーツといえば、先の尖ったウロコのような表皮と、鮮やかなピンク色が特徴的。サクサクとした食感の種も魅力の一つ。

ボストン大学で臨床栄養学の教授を務めるジョーン・サルゲ・ブレイクさんによれば、ドラゴンフルーツは「サンカクサボテンの実」や「ピタヤ(Pitaya)」とも呼ばれることも。食べ方としては、キウイフルーツのように果肉をスプーンですくって食べるのが一般的なんだとか。

asian farmers with trolley the dragon fruit in the garden
Pramote Polyamate//Getty Images

ドラゴンフルーツに含まれる栄養

まずは、ドラゴンフルーツに含まれる栄養素について、管理栄養士や公認スポーツ栄養士、認可栄養士としての肩書きを持ち、アメリカを代表する食品・栄養専門家組織「Academy of Nutrition and Dietetics」の広報を担当するロクサーナ・エーサニさんが解説。

「ドラゴンフルーツ1個に含まれるエネルギー量は、通常60カロリーほど。マグネシウムとビタミンCが豊富です」
「また、種子にも心臓の健康に良いとされるオメガ3やオメガ9脂肪酸をたっぷり含んでいます」

他にも、ベータカロテンやリコピンなどの抗酸化物質が含まれている、ドラゴンフルーツ。

ベータカロテンは消化されるとビタミンAに変換され、肌を健やかに保ったり、免疫系を支えるほか、目の健康にも良い影響が期待できると言います。また、抗酸化物質は心血管系のトラブル、ガン、白内障と言った慢性的な疾患を予防するのに役立つものだそう。

ドラゴンフルーツの食べ方

キウイフルーツのように果肉をスプーンですくって食べる方法のほか、スライスしてフルーツサラダに投入したり、スムージーの材料として使うのもおすすめ。マイルドな風味のドラゴンフルーツは、どんなレシピに加えても味を壊してしまうことがないのだとか。

キウイフルーツのように果肉をスプーンですくって食べる方法のほか、スライスしてフルーツサラダに投入したり、スムージーの材料として使うのもおすすめ。マイルドな風味のドラゴンフルーツは、どんなレシピに加えても味を壊してしまうことがないのだとか。
galitskaya//Getty Images

ドラゴンフルーツに期待される健康効果

ここからは、ドラゴンフルーツを食べることで期待される健康効果について、専門家たちの解説を交えて紹介していきます。

腸の働きを活発に

ブレイク教授によると、ドラゴンフルーツにはひとつ当たり最大で7gほどの食物繊維が含まれており、これは推奨される1日あたりの摂取量 (注1)の約4分の1に当たるのだそう。

「食物繊維が豊富なため、お通じの改善が期待できます」

注1:アメリカ基準は25〜30g。日本の厚生労働省策定「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日あたりの食物繊維目標摂取量は18~69歳で男性20g以上、女性18g以上とされる

オメガ3・オメガ9脂肪酸が心臓の健康を保つ

その種子に、心臓の健康に良い成分が含まれているドラゴンフルーツ。『World Journal of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences(薬学・調剤学ワールドジャーナル)』誌で発表された2018年の研究結果でも、心臓の健康に貢献するオメガ3およびオメガ9脂肪酸が含まれていると示されています。

「オメガ3脂肪酸には、心臓病、関節痛うつ病などのリスクを低減する上で有効な抗炎症特性があります」と補足するのは、『The Small Change Diet(小さな変化でダイエット/原題訳)』の著者で、ニューヨークで栄養コンサルタントを営む管理栄養士のケリー・ガンズさん

マグネシウムが骨の健康を保つ

ドラゴンフルーツにはマグネシウムが多く含まれており、学術誌『Journal of International Medical Research』で発表された研究によると、特に閉経後の女性の骨の健康に良いとされています。

鉄分が血流をスムーズに保つ

日常的に私たちは主に食肉、魚類、ナッツ類、豆類を通じて鉄分を摂取していますが、ドラゴンフルーツは数少ない鉄分に富むフルーツのひとつと言えるんだとか。

鉄分は全身にくまなく酸素を運ぶ赤血球の働きを助ける、ヘモグロビンの生成に欠かせない物質。けれど、世界的に不足がちな栄養素のひとつでもあり、アメリカだけでも約1000万人もの人々が鉄分不足に陥っている状況で、特に女性にその傾向が見られるとのこと。

鉄分が健やかな毛髪や肌、爪を保つ

鉄分の欠乏は、髪の毛が減るなどの悪影響をもたらすことにもなりかねません。

ニューヨークの「マウント・サイナイ医科大学」で皮膚科学の臨床学準教授を務めるゲイリー・ゴールデンバーグ教授によると、その他にも鉄分欠乏による貧血がもたらす症状として、ひどい疲労感、血色の悪い肌、集中力の低下、頭痛、手足の冷えなどがあるのだそう。

ドラゴンフルーツを楽しむとともに、鉄分摂取を意識した食事を摂ることが、毛髪の成長を促進、肌や爪の健康を保つことにつながると考えられますね。

ビタミンCで免疫力アップ

免疫システムの向上させようと、日常的にビタミンCの摂取を心がけている人も多いはず。「実はドラゴンフルーツにはビタミンCが豊富に含まれており、免疫力アップが期待できる」と、エーサニさん。

また、食育コンサルタント「Beth Warren Nutrition」の創設者であり、管理栄養士のベス・ウォーレンさんは「体内の活性酸素を助長し、疾病にかかりやすくする酸化ストレスと闘うのに必要な抗酸化物質を摂るのには、野菜とフルーツがおすすめです」とアドバイス

さまざまな栄養に富んでいて、そのまま食べてもレシピの一部に加えてもよさそうなドラゴンフルーツ。スーパーで見つけたら、ぜひ一度買ってみて!

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 西山佑(Office Miyazaki Inc.)

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