ここ数年で、アジア由来の美容法の一つとして欧米で注目を集めている「かっさマッサージ」。人気の高まりと共に、かっさプレートなどの展開も増え、顔用や頭皮用、ボディ用など用途に合わせた製品なども。

とはいえ、肌の負担など気になる点も。そこで本記事では、皮膚科医が「かっさマッサージ」の効果とリスク、正しいやり方について解説。<Prevention>より、お届けします。炎症や傷などがあり、肌の状態が悪いときには皮膚科など医療機関で相談するようにしましょう。

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かっさマッサージの効果

かっさ(刮痧)とは、肌の上から一定の圧力をかけることで、血液の流れや“気”の流れをよくする中国古来の民間療法。「かっさマッサージは」は、顔の輪郭に沿うようにカットされたかっさプレート(通常、ひすいやローズクォーツ製)を使って、肌をやさしく撫でることを指します。

かっさマッサージの効果について、ニューヨークにあるハンティントン病院の皮膚科医ラマン・マダン医師は次のように話します。

「理論的に言えば、かっさマッサージによって肌に与えられた刺激(摩擦)によって、血液の循環や血流の増加を促すことができます。血流が増加することにより、コラーゲンを生成する力を高め、むくみや筋肉の緊張緩和にも効果があると考えられています」

フィラデルフィアを拠点とする皮膚科医のリナ・アラウ医師は、「筋肉や皮膚の結合組織の結びつきをゆるめ、筋肉の緊張を和らげると考えられています」と話しており、ストレスによる筋肉の緊張に対するアプローチの一つとして取り入れられそう。

コーネル大学ワイル・メディカル・カレッジで皮膚科学の臨床指導者を務める皮膚科医のハドリー・キング医師は、「かっさマッサージによって肌に圧力をかけることで、損なわれたリンパの働きを促し“むくみ”を和らげます」と話し、その際には「かっさプレート」を使うことを勧めています。

「かっさプレートは、刺激の力加減を調節しやすいうえに、ローラー型のものよりも幅が広いので、広範囲へのマッサージが可能です。また、顔の形状に沿ったものも多く、必要な場所に届きやすいでしょう」

ただし、「むくみに対する効果は一時的なもの」という声も。

かっさマッサージの注意点

かっさマッサージをする際は、肌への刺激が強くなりすぎないように注意が必要。ラトガース大学ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学の助教で皮膚科医のシンディ・ワセフ医師は、次のように警告します。

「皮膚に跡が残るくらい圧力をかける場合、血流などは良くなっている気がするかもしれませんが、肌のひきしめやアンチエイジングといった効果が長期的に持続するという証拠はありません」

ハワード大学とジョージ・ワシントン大学で皮膚科学の教授を務めるイフェ・ロドニー医師も、この点を懸念しています。

「かっさマッサージによって『しわが減った』『肌のトーンが改善した』『ニキビ跡が薄くなった』と言う人もいますが、これらを裏づける医学的根拠はありません。あくまでも民間療法の一つで、皮膚科に行く代わりにはならないことを認識しておきましょう。このテクニックだけで、外見に著しい変化が起きるとは期待しないほうがよいでしょう」

またアラウ医師は、「皮膚に炎症がある場合は、完治するまで延期する」ことを推奨。

「嚢胞やニキビがある人は、かっさマッサージによって問題が悪化する可能性があります。こすったり、マッサージしたりすることによって、さらに吹き出物が出ることがあります。傷口やヘルペスなどのウイルス感染がある場合も、かっさマッサージは控えましょう」

敏感肌や血液凝固障害を持つ人は、必ず医療機関で相談しましょう」と話すのは、ニューヨークを拠点とする皮膚科医のデブラ・ジャリマン医師。

「かっさマッサージは、顔の毛細血管に圧力をかけるため、不要な刺激や炎症を引き起こす可能性があります。酒さも、定期的にかっさをすることを避けた方がいい肌の状態の一つです」

かっさマッサージの効果には個人差があるうえ、肌の状態や肌質などによっては、メリットよりも肌への刺激というデメリットを感じることもあることを覚えておきましょう。

hand holding stone massager against light background
Anastassiya Bezhekeneva//Getty Images

かっさマッサージのやり方

ここからは、かっさマッサージのやり方について解説。

1.ベースを整える

    まず、やさしく洗顔してから、顔と首を保湿し、フェイシャルオイルか美容液で表面をおおいます。「こうすることでプレートがなめらかにすべり、肌へのダメージを防ぐことができます」と、アラウ医師。

    2.首からはじめて、上に向かう

      リンパの流れを最大限に活性化させるためには、首から始めて上に移動するのがベスト。プレートを15度の角度で持って(肌に対してほぼ水平な状態)、もう片方手の指で肌を引っ張りながら、やさしく、上向きに、肌に沿って滑らせます。

      もし痛みを感じたら、圧力が強過ぎるということです。リラックスできる強度で行いましょう」と、ジャリマン医師。効果を得るためには、同じ動きを3回〜5回繰り返してください。

      3.頭からあごの先まで

        あごの真ん中から輪郭をなぞり、耳までかっさプレートを滑らせます。左右それぞれ3回〜5回ずつ。

        4.ほおをマッサージする

          鼻の両側から外側に向かって、ほおを通り、耳までプレートを滑らせます。左右それぞれ3回〜5回ずつ。

          5.目の下はやさしく

            目の下は最も敏感な場所なので、軽い力でマッサージすることが重要。かっさプレートを目の内側の角からこめかみへ滑らせ、3回〜5回繰り返します。それから同じやり方で、眉の骨の上からこめかみへ。おでこまで行ったら、眉毛から髪の生え際に向かって上向きに動かし、左右それぞれ3回〜5回繰り返します。

            6.たっぷりとうるおいを与える

              肌にやさしい保湿剤をつけて、フェイシャルマッサージは終了。

              ※非衛生的なかっさプレートを使うと炎症を起こす可能性があるので、使用後は必ず、お湯とマイルドな石けんで洗うこと。

              かっさマッサージの頻度

              初心者なら、施術後の肌に炎症やむくみ、不快が生じないか確認するため、週に2〜3回にとどめた方がいいでしょう。もし問題がないようなら、毎日でもOK。ただし、あくまでリラックスできる範囲で行うようにしましょう。

              ※この翻訳は、抄訳です。
              Translation:mayuko akimoto
              Prevention