体毛を剃るかどうかは個人の判断である一方で、いざ剃ろうというときにカミソリの刺激によって炎症を起こしてしまった経験がある人も少なくないはず。

この厄介なカミソリ負けの原因や予防・対処法について、皮膚科医のプルビシャ・パテル博士と、シェービング剤ブランド「Pacific Shaving Company」の創設者であるC.C.ソフロナスさんら専門家が詳しく解説。

カミソリで毛を剃る時のコツ、赤いプツプツや肌がヒリヒリする原因、そしてカミソリでの処理後のスキンケア方法も合わせてご紹介します。

カミソリ負けによる赤いブツブツの原因は?

予防するためには、まず原因を知ることが大切。カミソリを使うと、皮膚の表面より上に出ている毛の部分を剃ることはできますが、その下にある部分は残ります。剃った後にその部分がカールしてしまい、毛穴をブツブツと隆起させる原因となるのです。

「カミソリの刺激によってできる赤いブツブツは、再び生えようとしている毛の根元を包んでいる“毛包(皮膚内で毛を包んでいる組織)”に細菌が感染するなどして、皮膚が炎症を起こしている状態です。かゆみやヒリヒリとした痛みを感じる場合があり、傷あとが残ってしまうこともあります」(パテル博士)

カミソリ負けの種類

カミソリ負けについて調べると、赤いブツブツができる以外にも症状があることに気付くかもしれません。

ウェルネス情報サイト<Healthline>によると、カミソリで剃った直後に肌が赤くなったりする状態を指す場合と、剃った後、毛が皮膚の下に埋まったまま伸びてブツブツができる状態を指す場合があるのだそう。

剃ったすぐ後に肌が赤くなる症状は、カミソリのすべりが悪いと起こるもの。ソフロナスさんによれば、剃る際に肌を水で濡らすだけではなく、シェービングジェルやオイルなどの潤滑剤を使うことでこの症状を防げるのだそう。

赤いブツブツの予防法は?

肌のヒリヒリとした痛みや赤いブツブツは、実際にカミソリを使う前に予防することができます。一つ目の方法は、シェービング前に肌の表面の汚れを落として清潔な状態にするということ。

「肌の表面にある古い角質を除去をしてから、シェービングすることをおすすめします。古い角質が残ったままだと、埋もれ毛(埋没毛)の原因になることもあるのです」(ソフロナスさん)

また、切れ味が悪くなったカミソリを使い続けるのもNG。切れない刃を使うと何度も同じ場所を剃ってしまい、埋もれ毛の原因となる可能性があるのだそう。

「カミソリは剃り終わった後だけではなく、剃っている間もこまめに水で洗いましょう。カミソリを清潔に保たないと細菌が繁殖し、剃った後に肌が赤くなってしまう可能性があります」(ソフロナスさん)

カミソリを快適に使う方法

シェービングの仕上がりには、剃るスピード、方向、タイミングなど、さまざまな要素が関わってきます。まずは、ゆっくりと時間をかけることが大切。急いで剃ると、肌を傷めてしまうことにもなりかねません。

きれいに剃るためには、カミソリを動かす方向も重要なポイント。肌荒れを防ぐために、毛の流れに逆らって剃る「逆剃り」よりも、毛の流れに沿って剃る「順剃り」を専門家たちはすすめています。

「逆剃りはより毛の根元近くから剃ることができますが、埋もれ毛ができやすくなるため、私は順剃りをおすすめします。ただし、毛の生える方向は体の部位に異なり、またその密度も異なるので注意が必要です」(ソフロナスさん)

たとえば、脚の毛の生える方向は揃っていますが、ビキニラインの毛は2方向、ワキの毛は3方向に生えているのだとか。また、ソフロナスさんによると下腿の毛の密度は低く、ビキニラインは高いのだそう。

一方で、シェービング剤等の使用については、皮膚に潜む細菌や真菌を殺菌する作用がある製品を選ぶのが好ましいと、パテル博士は言います。

「フルーツなどにも含まれるアルファヒドロキシ酸(AHA)は皮膚の表面の層に働きかけ、肌のキメを整えてなめらかにし、角質除去の効果も期待できます」(パテル博士)
「剃るタイミングは、皮膚や毛が水分を含んでやわらかくなるシャワーの最後がいいでしょう。また、熱いお湯を使うと毛包が広がり、想定以上に深剃りしてしまい肌が荒れる可能性があるので、ぬるま湯を浴びながら剃るのが最適です」(パテル博士)

カミソリで剃った後にできるケア

剃った直後のすべすべな状態を保つため、肌をなめらかにするケア製品を使用することも大切。顔のケアと同じように、カミソリで剃ったボディにもお手入れが必要なのです。

「剃り終わったら、剃ったところをよく乾かした後、保湿して肌を癒しましょう。ティーツリーオイルやアロエが含まれている製品がもっともおすすめ。肌にやさしい成分が含まれている製品で保湿するのが、しっかりと潤いを閉じ込めて肌荒れを防ぐためのコツです」(パテル博士)

剃った後にできるケアは、肌に触れる衣類にまで及びます。厚さがあって重たい服は、肌を刺激し、保湿剤の肌への浸透の仕方に影響する場合も。

「軽量でゆったりとした、コットンなどの通気性の良い素材の服を着ることをおすすめします。そうすれば皮膚呼吸が妨げられず、埋もれ毛ができにくくなったり、服がこすれることによる肌荒れを防いだりできますから」(ソフロナスさん)

カミソリ負けの予防法

  • カミソリの刃の切れ味を確かめる(切れ味の悪いカミソリは使用しない)
  • 肌の表面を清潔な状態にして、角質も除去する
  • シャワーの最後に、ぬるま湯を浴びながら剃る
  • 逆剃りを避け、順剃りをする
  • 肌を乾かした後、保湿剤をつける
  • 軽量で通気性の良い服を着る

※この翻訳は、抄訳です。
Translation: 平田三桜(Office Miyazaki Inc.)
SEVENTEEN