「みんな必ず価値はある」と話すうつ病に立ち向かう女優 クリステン・ベルpinterest
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『アナと雪の女王』のアナ役を演じたクリステン・ベル。女優としての才能だけではなく、常に明るく面白い性格が世間から好かれている。しかし、彼女もうつ病と戦っていること、そして彼女の明るい性格とうつ病の関係性を<motto><A PLUS>に告白した。

母親との関係

もともと、家族にうつ病を患った人が多かったのだそう。遺伝的に"クリステン自身もうつ病になる可能性が高い"と思った母親が、あるときこのようにアドバイスをしたのだとか。

18歳だったとき、お母さんがこう言ってくれたの。『もし暗い雲がついてきているように感じたら、助けを求めて。私やセラピスト、医者に話をして。いろんな選択肢があるということを覚えておいてほしいの』とね」

その言葉を聞いた数年後、"暗い雲"に追われることになったそう。

うつ病の発症と"明るい性格"

「ニューヨーク大学に在学中、友達もいたし、野心もあった。でも消極的になったり、常に"日陰"にいるような気持ちに悩まされたの」。

クリステンは、自身のことを自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存している"共依存者"だと話す。

「好かれていないと考えるだけで私は砕けてしまうの。だからこそ親切心を忘れない。嫌われたくないから、いつも明るくいるようにしてる。健康上よくないことは分かってるから、そう考えないように常に努力はしているんだけどね」

隠せば隠すほど悪化する

女優を始めてから15年、これまで一度も話したことがなかったクリステンのうつ病との戦い。それを今オープンに話すことを決めた理由は「隠せば隠すほど悪化するから」「何もタブーじゃないと思うようになったから」だそう。

「うつ病は悲しみとは違う。悪い1日の最後にハグを求める気持ちとは違うの。私にとってのうつ病とは、孤独感と、孤立しているような気持ち。そのことにより、衰弱していき、思考回路も完全に停止してしまった。自分には価値がなく、提供できるものもなく、落ちこぼれだと感じたの。

ただ、助けを求めてからは、この考えが間違っていたことに気づけた。うつ病のことを正直に話すことは私にとって、とても大切なこと。だって同じような経験をしている人にも知ってもらいたいから。"価値がない""提供できるものがない"という考えは誤解であって、みんな必ず価値はあるんだから」

クリステン自身はうつ病を発症する前に、母親がオープンに話してくれたことを感謝しているそう。なぜなら、アメリカでは成人の20パーセントが一生に一度はうつ病を経験するのに、世間はうつ病の人を批判したがる。その上、治療を勧めない人が多いというのだ。

悩むくらいなら、病院に行ってみること

「お医者さんはちゃんと話を聞いてくれる。私の感情を軽視しない。薬だけ渡すことも、何かを指示することもない。ただ私にある"選択肢"を教えてくれるの。脳を助ける方法はいくつもあるから」

彼女は現在も治療薬を飲み続けているという。

健康チェックの1つにするべき

「メンタルヘルスの診療も歯医者に行くのと同じように、習慣にするべきよ。鼻がムズムズして、風邪を引いたと友達に話すと、その友達は病院へ行くことを勧めるでしょ? でもうつ病だと友達に言うと、怖がられたり、病院へ行くべきだというアドバイスをしてくれない」

「精神疾患は弱いから起こるんじゃない。ただ、生きることが、脳の中で大変になっているだけ。決して独りぼっちだとは思わないで」

こうして有名人がうつ病であることを話すのには勇気が必要だったはず。でも、少しでも同じ経験をしている人に、"独りぼっちじゃない"、"治療は恥ずかしいことじゃない"と知ってもらいたかったと話したクリステン。

苦しくなることがあったら、「"暗い雲"に追われて、生きることが、脳の中で大変になっているだけ」、「みんな必ず価値はある」というクリステンの言葉を思い出してみて。