現在、オーストラリアとニュージーランドで開催中の「FIFA 女子ワールドカップ 2023™」。女子サッカー代表選手を応援するためにフランスのOrange社が手がけた動画が、その意表を突く手法から世界的な注目を集めている。

話題を呼んでいるのは、フランスの大手電気通信会社「Orange」が手がけたCM。動画前半はスポーツ番組のハイライト特集のような構成になっている一方で、動画後半にはこの動画の真意を伝える種明かしが待っている。

まず映し出されるのは、お馴染みの青いユニフォームに身を包んだフランス代表の男子サッカー選手団「Les Bleus(レ・ブルー)」によるプレーシーン。華麗にゴールを決める瞬間などが次々と映され、ファンが熱狂している姿も捉えられている。

「素晴らしい。なんて輝かしいチームなんだ! これこそが、我々が大好きなサッカーです」というコメンテーターによる発言のほか、「こんな感動を与えてくれるのはLes Bleusしかいない」というメッセージが映し出される。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Les actions folles de l'équipe de France qu'on a tous oubliées - Orange
Les actions folles de l'équipe de France qu'on a tous oubliées - Orange thumnail
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その後に続くのは、「でも、今あなたが見たのは、彼らの姿ではありません」という言葉。

そして、ここまでの映像がどのように編集されたかを示すシーンに切り替わり、スーパープレーをした選手たちが実は男性ではなく、女子選手であることが明らかに。顔や髪、体つきなどを、ディープフェイクの技術を使って男子選手のものに差し替えているという。

CMの最後には、次のようなメッセージも。

「Les Bleus(フランス代表の男子選手団を意味する)を応援するOrange社は、Les Bleues(フランス代表の女子選手団を意味する)も応援する」

「自分の中の偏見に気づかされた」

同CMが公開されるや否や、SNSで拡散され世界的に注目されるように。すでにYouTube上だけで500万回再生を突破している。

コメント欄には、「自分の中にある無自覚な偏見に気づかせる賢い手法」、「最初にこの動画を観たときは、『最高のプレーだらけだけど記憶にない…おかしいな』と思っていたよ。種明かしを見て驚いた、素晴らしい動画だ!」、「鳥肌が立った。すごく良いね」、「女子サッカーがこんなに面白いなんて初めて知った。試合を見てみようかな」といった声のほか、「ドイツから観にきました。素敵なコンセプトだね。大会でのお互いのチームの健闘を祈ります」、「(ポルトガル語で)リスペクトに値する。グループステージで戦えるのが楽しみだ」と、フランスのみならず世界各国から称賛のメッセージが届いている。

また、オーストラリアの元サッカー選手クレイグ・フォスターが同CMをTwitterでシェア

「サッカーはサッカー。スポーツはスポーツ。ただそれだけ。女性がプレーするスポーツに、そして驚異的なアスリートたちにもっと目を向けてほしい」

このCMを制作した意図については、Orange社の広報担当者が<CNN>の取材に対し、次のように明かしている。

「ほとんどのサッカーファンは、残念ながら男性の方が女性よりもサッカーが上手で、スピードがあり、見ていて面白いと信じているのです。(中略)そこで、男子サッカーのプレーだと思い込ませる手法をとりました」

BBC>によれば、今年の「FIFA 女子ワールドカップ 2023™」は歴代で最も視聴されたものとなることが予想されている。開幕前から130万枚のチケットが販売されているほか、主催者は前回のワールドカップの2倍となる20億人のテレビ視聴者を目標としているという。