家族の不仲や仕事上のトラブル、友情関係の失敗などの相談にセラピストのミナー・Bさんがアドバイスする「フリーセラピー」という連載記事を、<コスモポリタン アメリカ版>からお届けします。

今回の相談者は「無意識にSNS上で昔の知り合いの動向をチェックしてしまうのを止めたい」という女性。なぜ止められないのか、どうしたら止められるかを詳しく説明しています。

相談

元彼や元同級生の“今”をSNSで調べてしまう…

私は、昔の知り合いの動向をチェックすることに取り憑かれています。無意識に、そして頻繁にスマホをスワイプするたびに、頭の中にあるチェックリストに沿ってざっと目を通すんです。

たとえば、大学時代の元彼で、最近結婚した人。元同級生で今は2児の母親、湖畔に自慢の新居を構えたばかりの人。他にも、数年前までは付き合いがあったけど、今では他人になった大勢の人々も…です。

正直なところ、心から彼らの人生が気になるわけではないんです。私が気になるのはあくまで彼らの投稿であって、実際の人生には関心がありません。だって、SNSを見ていないときには彼らのことを考えることがないんです。

それなのに、彼らのSNSをチェックすることがやめられません。でも、元彼の新しい犬の名前や、かつてのチアリーダーのコーチの“今”なんて、本当は知りたくないのに。

私の中で何が起こっていて、どうしてやめられないのでしょうか。とりとめもなく他人の日常の詳細を知ろうとすることは変でしょうか。今の私は彼らを追いつづけることを止めたいのと、これまでに無駄にした時間を取り戻したいと思っています。

セラピストの回答

脳が休息中に“報酬”を求めるのは自然なこと

最初に言っておきますが、あなたの行動は自然なものです。InstagramやTikTokを延々とスクロールすることは批判されがちですが、この行動は、心の休息が欲しいときに間食をしたり、ストレスを感じたときにワインを一杯飲むのと変わりません。

その一つとしてあなたは、“他人の人生を覗き見ること”に刺激と喜びを感じているのかもしれませんね。またSNSは、ユーザーがコンテンツに没頭し、一度離れてもアプリに戻ってくるような巧みなアルゴリズムを採用しています。なので、こういったサイクルにはまっているのは、あなただけではありません。

脳が休息中に“報酬”を求めるのは自然なこと。それだけに、習慣を止めることは困難かもしれません。『習慣の力(原題:The Power of Habit)』の著者であるチャールズ・デュヒッグ氏は、習慣ができあがるまでに次の3つの要素があるとしています。

  1. きっかけ
  2. ルーティン
  3. 報酬

「きっかけ」とは、特定の行動に移るための内的・外的なトリガー(引き金)です。たとえば“退屈”や“倦怠感”を覚えたときに、気分が良くなるための行動に駆り立てられるという場合もあります。

今回の場合の「ルーティン」とは、スマホを無意識に手に取ることなどで、「報酬」はスクロールしてコンテンツにすぐ辿りつけることによって得られるドーパミン(やる気や快楽を感じさせるホルモン)だと言えるでしょう。

SNSによる影響の一つに、“偽りの親密さ”があります。実際に交友関係がない人でもSNSでの投稿を通して「相手の人生の多くを知っている」と思ったり、知れば知るほど個人的な関係値があるような気がしてくるのです。数年ほど話していなくて、相手のことをそれほど好きではなくても、彼らの最新情報に触れることができます。

現実逃避の可能性も

あなたがSNSでの探索をやめられないもう一つの要因として、“現実からの逃避”の手段であるということも考えられます。誰かのSNSを見ているときのあなたは自分の人生を離れ、他の人の人生に焦点を合わせています。それまでのプロセスを知っていればなおさら、その後の彼らの人生がどう展開していったのか興味を持つでしょう。

これも人間としては自然なことで、必ずしも不健全なことではありません。ただし、こうした行為による“短期的な報酬”が、自分が置かれている環境や人生に対する怒りや悲しみを引き起こすといった影響を及ぼしていないのなら、です。

自分のためになる行動と取りかえてみる

相談をしているということは、SNSでのチェック行為が“気晴らし”というより“時間の無駄”と感じられるようになったのでしょう。そうであれば習慣を変える良いタイミングかもしれませんね。

具体的な対策は、「SNSをチェックする時間や労力を、自分のためになる行動と取りかえてみる」というもの。あなたは何をすると気分が良くなりますか? ただの気晴らしではなく、実際にあなた自身がポジティブな変化や学びが得られるようなことを想像し、試してみてください。理想としては、スマホを使わないことが望ましいでしょう。たとえば、散歩をしたり、友達と会って話をするなどもおすすめ。

どうしても使わなくてはならない場合、スマホを使ってできる別のことを考えましょう。たとえば、オーディオブックを聞く、メモ機能を使って日記を書く…などです。

元恋人や元同級生の動向をチェックしていたときのような刺激をすぐに得ることは難しいかもしれません。少なくともあなたは、新たな習慣を作りはじめています。そうしているうちにいつか“癖”から解放されるときがくるでしょう。


※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation:mayuko akimoto
COSMOPOLITAN US