世界で活躍する10人の女性が振り返る、人生を変えた「アドバイス」

『グッド・ワイフ』のルッカ・クイン役などで知られ、大英帝国勲章を授与されている俳優・作家のクシュ・ジャンボ。彼女が胸に刻んでいる言葉は、名優メリル・ストリープから贈られたものだそう。

「一か月ほどにわたった一人芝居の公演を終えた後、みんなから“次は何をするのか”と聞かれていました。そんな時、メリル・ストリープから言われた言葉があります」

「宇宙の中心は、まさに今、あなたがいるその場所です。あなたが“いるべき”だと思っている場所ではありません、と」

ラジオリポーターやテレビの司会者、作家など多方面で活躍しているアニータ・ラニ。

「イラン出身のアクティビストで、女性の権利活動家であるキリスト・アリ・ネジャドさんを取材した際には、すべての言葉が心に響きました」

「あなたには二つの道がある。それは、被害者になるか、戦士になるか、と言われたのです。私は戦士になる道を選びました。あなたもそうしませんか？」

2020年に、自身の著作『In The Deep End』で、LGBTQ+のキャラクターに焦点を当てた作品やその作家に贈られる、イギリスの「ポラリ賞」を受賞したケイト・デイビーズ。

今でも大切にしているのは、中学校の演劇の先生からの助言だといいます。

「オーディションに参加するときに覚えておいてほしいのが、審査員はみんな、あなたの成功を願っているということ。あなたを怖がらせたいのではない。あなたこそが適任であってほしいって思ってる。だって、そしたら彼らはキャスティングを終えて飲みに行けるんだから」

「私は先生のこのアドバイスを、人生のいろいろな場面で生かしてきました。たとえば初デートだったら『相手は私のことを好きになりたいはず』、仕事の面接だったら『私が適任者であることを願っているはず』とね。そうすることで自信が湧いてくるし、緊張をコントロールできるようになりました」

詩人として活躍し、数々の作品集を出版しているほか、ツアーを開催することもあるホリー・マクニッシュ。

「私が最も大切にしているアドバイスは、子供の頃や思春期に母や祖母たちに言われていたこと。今でもよく言われるんですが、『ホリー、寝なさい』です」

「おそらくこれが最も重要なアドバイス。だって、そう言われなければ、私は寝ずに書きものをしたり、ぐずぐずしてしまったり、朝までおしゃべりをしてしまうから。たまになら良いかもしれないけど、指摘されないとやりすぎてしまうぐらいだから、良くないですよね」

元新聞記者で、現在はニュース番組にジャーナリストとして出演したり、司会を務めることもあるキャシー・ニューマン。彼女を今も支えているのは、1967年にとある大発見をした女性からのアドバイス。

「天文物理学者のジョスリン・ベル・バーネルさんから、素晴らしいアドバイスをもらったことがあります。実は彼女自身もこの考えのおかげで、天文学で20世紀最大級となる発見をしたのだそうです」

「ケンブリッジ大学の大学院生だった彼女は、自分がこの場に値するのか分からず自信を失っていた時期があったそうです。だからこそ、精いっぱいの努力をしました。そうしてとことん突きつめた結果、パルサーという高速回転する中性子星を発見することができたのです。これがブラックホールの発見の土台にもなりました」

「彼女には『インポスター症候群はあなたをダメにするかもしれないし、あなたを駆り立てるエネルギーになるかもしれない』と言われました。ですから、もし自分のことが信じられなくなったら、何か画期的な発見をする一歩手前なのかもしれないということを覚えておいてください」

ファッションアドバイザーや実業家として活躍し、自身の名前を冠したコスメブランドを持つトリニー・ウッドール。世界的な人気を誇るオンラインショップ「NET-A-PORTER」を立ち上げたナタリー・マスネからの助言が印象的だったといいます。

「ナタリーには『何かビジネスを始めるときは、初日からグローバルな規模で考えるべき』と教わりました。そうすることで、ビジネスの拡大規模の可能性を制限する必要がなくなるのです」

ジャーナリストで、テレビの司会者やアナウンサーなどを務めるシャーリーン・ホワイトは、実業家である友人からの言葉を紹介。

「友人の実業家エマ・シンクレアとは、何年も前、私がまだアナウンサーとしてのキャリアを築きはじめたばかりの頃に出会いました。当時の私は、人脈づくりに慣れていませんでした。でも、エマは得意だったんです」

「彼女がくれたアドバイスの一つは、イベントに参加するときに黒は着用しないということでした。理由は、場に溶けこむのではなく、目立つべきだから。男性が多い業界では特にね。男性はネイビーや黒、それにグレーのスーツを身につけていることが多いです。だから、それ以外の色を着ていてけば覚えてもらいやすくも、探してもらいやすくもなるんです」

「そのアドバイスを受けて以来、参加するイベントのほとんどでカラフルな服を着用してきました。より自信が持てるようになったし、人の記憶にも残りやすくなったと思います」

ライフコーチや作家として活動しているタム・トーマス。普段は人々にアドバイスをする側である彼女が大切にしているのは、メンタルヘルスコンサルタントでセラピストであるダーン・エステファンによる言葉。

「ダーンは、私に言いました。『あなたの物語を、あなたの成長や進化、そして変化に合わせてアップデートする時期です』と」

「それで、気づいたのです。私がこれまでの人生で度々感じていた不満の原因は、自分を古い物語の中に閉じ込めてしまっていたからだと。今では、不満を感じたり失望したときには、時代遅れな物語に囚われていないか自問自答するようになりました」

データサイエンスや顧客ビジネス戦略の分野での実業家であり、大英帝国勲章を授与されているエドウィナ・ダン。

女性の成功物語を女性たちに伝えていくチャリティ「The Female Lead」を立ち上げている彼女が影響を受けたのは、同じパネルディスカッションに参加したことがある有名司会者オプラ・ウィンフリー。

「彼女は言いました。『私が今、裕福でいられるのは、スタジオが私を過小評価した過去があるから。私がそこまで多くの視聴者を惹きつけることはないだろうと思っていた彼らの誤算によって、私は収益の割合について交渉することができたのです』と」

「私は、オプラの正直さに心を打たれました。彼女のような人でさえ過小評価されていた事実から、傷ついたエゴに執着したり、そのことで落ち込むことの無意味さに気づかされました。度胸を持ち、強く信念を貫くことが大事なのだと」

「あなたの目標を実現させるためにどんなことをするべきか、たとえばそのために長い年月をかけたり、たゆまぬ努力や逆境へ立ち向かう必要があるかは、あなただけが分かっていることです。他人があなたを制限したり、その夢を奪う権利はないのです」

※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation:望月 望美
Red Online