普段気をつけているつもりでも、何が起きるかわからない世の中。危険な状況に巻き込まれずに過ごせるのが大前提ですが、もしもの時のために、自分自身の身は守れるようにしておきたい…!
そこで今回は、イスラエルで生まれた接近戦闘術「クラヴマガ」をもとに誕生した護身術を、クラヴマガ・ジャパンのインストラクター藤原 斉さんと、トレーナーの中村康之さんに教えていただきました。
【INDEX】
- 護身術って、そもそもどういうもの?
- 日常生活で気をつけるべきポイント
- もしもの時に役立つ、3つの攻撃
- 状況別!危険に巻き込まれた時の護身術
- 腕を掴まれた時
- 正面から両手で首を絞められた時
- 後ろから抱きつかれ、腕が使える時
- 後ろから抱きつかれ、腕が使えない時
- ナイフを向けられた時
- 相手が覆いかぶさって来た時
- 馬乗りされた時
- 攻撃力を上げるのに効果的な持ち物
護身術って、そもそもどういうもの?
「護身術は相手に攻撃をするためのものではありません。体格差や力の差がある弱い立場の人が、安全に逃げるための技が護身術です。攻撃をして倒すのではなく、相手をひるませて逃げるということを目的としています」
普段から危機感を持っておくことが大切
お二人によれば、日常生活の中で避けた方がいいのは、以下のような行動。
- 歩きスマホをする
- イヤホンをしながらの歩行
- 地下鉄のホームなど、狭い場所で人とぶつかる
- 駐車中の車の脇を通る
「安全に暮らせることが一番ですが、自分の身に思わぬ危険が起きた時、人はいつも以上に萎縮してしまい、何もできなくなってしまいます。危険を察知する癖をつけておけば、もしもの時に出せるパワーも変わってきますよ」と、お二人。
「たとえば、歩きスマホは視線がスマホにいってしまうため、視界における気づきが遅くなってしまいます。イヤホンをして歩いている状態も、音からの情報が断たれてしまいますよね。また、地下鉄のホームなどの狭い空間は、相手との距離も取り辛く攻撃を受けやすい場面ですし、街で駐車している車の脇を歩く際も、気をつけた方がいいでしょう。いきなりドアが開いて、引きずり込まれる危険性があります」
また、自信がなくても“自信があるフリ”をすることも効果的なのだとか。
「攻撃のターゲットになりやすい人は、自信のなさそうなボディランゲージをしている人です。相手の気持ちを削ぐためにも、まずは自信があるように見えるボディランゲージを意識してみましょう」
自信を感じさせるボディランゲージ
- 前方を向いている(うつむいていない)
- 背筋が伸びている
- 胸を張っている
- 手が安定している(荷物などでぶらついていない)
- 立っているときの重心が安定している
- 歩く時のステップが安定している
- 人と真っ直ぐアイコンタクトを取っている
もしもの時に役立つ、3つの攻撃
まずは、力の弱い女性でも実践しやすい、瞬発的な3つの攻撃を紹介します。
指とり
相手の指(人差し指や中指)を1~2本掴み、関節と反対の方向に反らせます。力を入れすぎると相手の指を折ってしまうので注意しましょう。
目を叩く
目を勢いよく叩くだけでも、視界を弱らせダメージを与えられます。相手がひるんでいる隙に、逃げやすい状況をつくれます。
股間蹴り
男性の急所である股間は、蹴り上げることはもちろん、パンチや強く叩くだけでも効果は抜群です。
状況別!危険に巻き込まれた時の護身術
いざ危険な状況に遭遇したら、相手の攻撃に合わせた攻撃を選ぶことも大切なのだとか。
「たとえば、相手が腕を掴んできたとき、殴るところまでいってしまうと相手を余計に逆上させてしまう可能性もあります。逆に、相手が覆いかぶさってきたり、背後から抱きつかれるなど、次の行動の危険度が高いと予想できる場合は、よりダメージを与える攻撃も必要です。その場面に合わせた対処をすることも、護身術の大切なポイントです」
それではここから、シチュエーション別の対処法を紹介していきます。
腕を掴まれた時
- 手を大きく開き、手の甲を上にする
- ひじを曲げて相手側に押し出し、テコの原理で離脱する
- 両手を上げて後退し、次の行動に備える
正面から両手で首を絞められた時
- 親指以外の指を曲げ、相手の手にかぶせる
- 相手の両手の間に、上から親指を差し込む
- 相手の両手を外へ押し開いて、引きはがす
- 相手の両手を自分の肩の位置に固定し、股間を蹴り上げる
後ろから抱きつかれ、腕が使える時
- ひざを曲げ、重心を落とす
- 相手の顔面にエルボーをして攻撃。もしくは、相手のつま先を踏んで攻撃する
- 相手の腕の力が緩んだら、すかさず相手と正対するように体を回転させ、相手の右手を自分の左手でロックして、上へ上げる
- 自分の右手を相手の首に当てて下方向に押し、動きを制御する
- ひざ蹴りや股間蹴りで反撃をし、相手がひるんだ隙に逃げる
後ろから抱きつかれ、腕が使えない時
- ひざを曲げ、重心を落とす
- 腰を左右どちらかにずらし、手を動かせる状態にして、相手の股間を片手で打つ
- 相手のつま先を踏んで攻撃する。股間もさらに追撃する
- 相手がひるんだら、体を動かしながら、再度抱きつかれることを阻止する
- スペースができたら、相手のボディにエルボーを入れ、相手を遠ざける
- 相手と正対し、ボディなどへの反撃を続け、逃げれられる状態をつくる
ナイフを向けられた時
- 瞬時に相手の手の甲をはたく。この時、相手の手の下から上へ叩き上げるイメージで
- ナイフに当たらないよう体を反らせて、すかさず股間に蹴りを入れる
- 相手がひるんでいる隙に、逃げる
相手が覆いかぶさって来た時
- ひざを相手のお腹へ入れて、相手の体を近づかせないようにする
- 相手の腰部分を足の裏で押し蹴り、相手を遠ざける
- これを何度も繰り返し、体が離れた隙に逃げる
馬乗りされた時
- 相手の股間をパンチする
- 相手がひるんでいる間に、両手の親指で相手の両目を押さえる(目つぶし)
- 相手の下から脱出し、さらに股間蹴りなどで追撃して逃げる
攻撃力を上げるのに効果的な持ち物
最後に、技を覚える以外にも、普段持ち歩くことで、いざという時に役立つアイテムがあるのだとか。
「女性は男性よりも力が弱いため、普段の持ち物を使ってよりダメージを与えるという方法もあります。深夜にコンビニへ行く時なども、ペンを1本持っているだけで護身力は高まります。バッグは振り回すだけで相手をひるませることができますし、相手が凶器を持っている場合は防御もできます。また飲み物は、相手の顔へ勢いよくかければ、視界を一瞬奪うこともできますよ」
安心して毎日を過ごすためにも、是非、これらの知識を頭の中に入れておきたいですね。
監修:クラヴマガ・ジャパン
東京・大阪・名古屋で、イスラエル発祥の護身術「クラヴマガ」のレッスンを行うスクール事業を展開。性別、年齢、体格、体力を問わず、誰でも高いレベルの護身スキルを習得することができ、女性受講者たちからも「フィットネス感覚で護身術を習うことができる」と評判を得ている。見学、無料体験も実施中。詳しくはホームページへ。