――トレーニングを通じて自信をつけてもらおうと、岡部さんは帰国後、フィットネストレーナーに転向されましたが、実際のお客様に自信がない人は多いんですか? ボディメイクを積極的にするような女性はどちらかというと、自信に満ち溢れているイメージです。
悩みを深掘っていくと自信がない、という方は多いです。なぜボディメイクしたいのか、減量したいのかを追求していくと「他人とくらべている」ことが根幹にあります。今のままでも充分ヘルシーな身体なのに、ありのままを愛せないというか。でも正直、本当に自信がついたかどうかを判断するのは難しいんですよね…。なぜなら"フェイクの自信"という、厄介なものがあるので。
――フェイク!?
「トレーニングは心も身体も鍛えられる」ってよく聞きませんか? とくにここ数年、トレーナーという職業が一般的に認知されるようになってから、宣伝コピーのように耳にします。今、世の中的に、芸能人がトレーニング風景をSNSでアップしたり、女性トレーナーに注目が集まっているので、"トレーニングすれば自信がつく"、という短絡的な流れができてしまったのが原因だと思います。上辺だけ見られて、トレーニングは自信をつけるための過程でしかない、といういちばん重要なことが伝わっていない気がします。
――でも、トレーニングで自信がつくのは間違ってないですよね?
間違ってません。でもフェイクかホンモノか見極めるのは難しいです。私にはすぐバレますけどね(笑)。
――フェイクって具体的にいうと、どういう人のことでしょう。
トレーニングがゴールになっている人。前にもでた受験の話と同じで、手段と目的が入れ替わってしまっている人です。
――トレーニング風景をSNSにアップするのが目的になっているような…。
それも一種のフェイクですね。SNSが目的になっているというのは、承認欲求が強いということ。承認欲求が強い人は、他人にどう見られているのか気にしてしまう人で、つまり自分に自信がない人です。トレーニングの先にゴールがあって、自分としっかり向き合えれば、他人のことなんかどうでもよくなりますよ、自分は自分、他人は他人って。人によく思われることを一番に考えるのではなく、ひとつひとつの行動に自分の意思、意見を持っていてほしい。長蛇の列があったら、よくわからないけど並んでしまう女子になってほしくない。世間と同じものを目指していれば安心できるゾンビになってほしくないんです。だから私は、SPICE UP FITNESSに通うお客様に、そういう心の変化を体験してもらいたいし、こうして熱弁するのも、このままフェイク人口が増えたら困るからです!
――確かに…女子トレがトレンドだけで消費されるは嫌ですね。
ちなみにこのフェイクの話は、一般女子だけじゃなくトレーナーも同じ。さっきも言いましたが、今現在の女性トレーナーのイメージが「心身ともにヘルシー&強くてカッコイイ」なので、そのイメージだけでトレーナーを目指す人が増えてきた気がします。きっかけを作るという意味では"憧れの女性トレーナー"という存在は必要だし、影響力があるのも素晴らしい。でもトレーナーはあくまでも黒子。自分がキレイになることが一番ではありません。自分のことは二の次、全力でお客様の心も身体も美しくするのが生きがい。そして、自分は自分のままでいいことを教えてあげられるのが理想のトレーナーだと思うんです。…お前が言うなって叩かれそうですね、これ(笑)。
――岡部さんは自分自身のトレーニングもしますよね? その時はどういったモチベーションで行ってるんですか。
私は自分のトレーニングをしている時、どうやったら分かりやすくお客様にその動きを説明できるか、使ってほしくない筋肉に効いてしまうのは何が原因なのかとか、色々考えながらやってますね。自分の筋肉と向き合いつつも、お客様目線でトレーニングしていることが多いです。私は筋トレを高校からやっているので、極端に筋肥大していくことはありません。だから自分の身体を変えるというよりも、お客様と同じトレーニングをして、マシンの角度や重りを変えながら"ギリギリの追い込める感覚"をつかんでおきたいんですよ。
岡部友の書き下ろし本が出版されます! 「美尻トレ 究極のヒップメイク」2017年12月13日発売