恋人が自分以外の魅力的な人と話していたり笑い合っている姿をみると、ついつい嫉妬心を感じてしまう人も多いはず。嫉妬と聞くとネガティブな感情というイメージが強く、できれば抱きたくないものですが、心理学者やカウンセラーなどの専門家によると、嫉妬心を感じることは人間にとって自然なことなのだそう。
そこで「嫉妬心との付き合い方」に関する専門家の解説とアドバイスを、グッド・ハウスキーピング アメリカ版からお届けします。
【INDEX】
- 嫉妬のメカニズム
- 1.感情から生まれる
- 2.認知することで疑い深くなる
- 3.行動となって表れる
- なぜ嫉妬心を感じるのか
- 根本原因を探るには?
- 嫉妬心は愛情の印?
- 嫉妬心をなだめるコツ
書き留める
ネガティブをポジティブに変換する
恋愛以外に焦点をあてる
相手と話し合う
嫉妬のメカニズム
カリフォルニア州のチャップマン大学コミュニケーション学科のジェニファー・ベヴァン先生は、嫉妬心が生まれる仕組みについて次のように語っています。
「心理学者、家族研究研究者、文化人類学者、そして私のようなコミュニケーション研究者による学際的なグループとして研究を重ねた結果、私たちは嫉妬心を3段階で経験することがわかりました」
「まずは怒りや悲しみなどの感情から生まれ、その感情を『嫉妬心』と認知すると、心配や疑わしい気持ちが生まれます。そして最後に、それが行動となって表れるのです」
1.感情から生まれる
心理カウンセラーであるキャシー・ラブリオラさんの著書によると、嫉妬心というのは一つの感情ではなく、複数の感情が入り混じった状態のことを指すのだとか。
嫉妬心に導く細かな感情は40以上あり、大きく「恐れ」「怒り」「悲しみ」「痛み」「驚き」「混乱」「不安」などのカテゴリーに分けられるのだそう。たとえば、自分の恋人が別の人と楽しそうに話しているときの悲しみや不安などが例に挙げられます。
「女性は恐れや悲しみがベースとなった嫉妬心を感じる傾向にあり、一方で男性は怒りがベースとなる傾向にあります」
自分の嫉妬がどの感情がベースになっているのかを見極めることが、嫉妬心とうまく付き合うための第一歩なのだとか!
2.認知することで疑い深くなる
自分が嫉妬していることを認知すると、「私と話すときはあんな風に笑わないのに…」「もう私を愛していないの?」などと恋人に対して疑い深くなるように。決して心地よい感情ではないため、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼし始めます。
そのため、オハイオ州トレドのカウンセリング診療所「ウィローセンター」の臨床心理療法士兼事務局長であるエリン・ワイリー先生は、「すでに不安やうつ病で苦しんでいる人は、嫉妬による否定的な思考に陥りやすい傾向にあります」と警告しました。
3.行動となって表れる
「嫉妬心が行動となって表れると、交際関係に一定の影響をもたらすようになります」とベヴァン先生。パートナーに「嫉妬している」とストレートに伝える人もいれば、相手を意図的に避けたり、束縛したり、怒りをぶつけたりすることで表現する人も。
ベヴァン先生は、交際関係を傷つけずに、より効果的に嫉妬心と向き合う方法として、セラピストや信頼できる友人に相談することを推奨しています。
なぜ嫉妬心を感じるのか
『The Jealousy Cure(原題)』の著者で、アメリカ認知行動療法組合の責任者であるロバート・リーヒさんによると「嫉妬心を抱いてはいけないというのは、吐き気をもよおすのをやめなさいと言っているのと同じこと。大切な人を守ろうとする嫉妬は、生物学的にみても、人間にとって当たり前の反応」なのだそう。
また、ラブリオラさんは、嫉妬心の誕生についてこう説明しています。
「人間の歴史を振り返ると、男性は自分の仲間を守る意識で嫉妬心を持つようになり、女性は自分の生命維持の支えとなってくれる男性を、違う女性から遠ざけるため、嫉妬心を持つようになったのです。その感情が、現代では恋愛や結婚関係の中に残っているのです」
根本原因を探るには?
その根本を探ることは、健康的に嫉妬心に対処するための第一歩。
その方法について、『Jealously Survival Guide(原題)』の著者で、同時に複数の相手と恋愛関係を持つポリアモリーに特化した恋愛コーチであるキティ・チャンブリスさんはこう説明しています。
「ほとんどの人が自分の嫉妬心の出どころを探る際、対象の人や関係性にだけ焦点を当てることが多いです。しかし、重要なのはどんな感情が沸き起こっているのか、そしてその理由を自分自身で観察することなのです」
また、「嫉妬心は、幼い頃や昔の恋愛体験からくる、自信のなさや拒絶されることへの恐怖、屈辱や怒りに根差していることが多い」と、交際関係コーチングのプロであるチャック・ロッキーさんも補足。過去のトラウマを繰り返したくない、という一心で嫉妬心を感じてしまう人が多いのだとか。
ラブリオラさんによれば、嫉妬心を引き起こしているのは現在の状況なのか、それとも過去の出来事なのか、その根本的な原因を考えることによって、嫉妬心が生まれる理由を客観視できるようになるとのこと。
「(嫉妬心の根本原因を探るには)この感情は今起こっていることが原因で生まれたのか、それとも家族関係や恋愛経験など過去の出来事に起因しているのか、 という質問を自分に投げかけてみるのが大切です」
嫉妬心は愛情の印?
「嫉妬心は愛情があれば自然と沸き起こる感情である一方で、愛情と同一視することはできません」とワイリー先生。
「愛情がなくても嫉妬心を抱くことは可能であるため、“嫉妬深いほど愛されている証拠”という解釈は間違っていると言えるでしょう」
また、嫉妬心はその人や関係性に悪い影響を及ぼしがちなもの。
「相手の行動、身に着けているもの、一緒にいる人までコントロールするようになったら、極めて危険です。自分の不安は、誰かを操ることで和らぐものではありません」
嫉妬心をなだめるコツ
「嫉妬心を感じること自体が危険なのではなく、その感情がモチベーションとなり、行動を起こしてしまうのが危険」と、リーヒ先生は指摘。 恋人が浮気しているのではないかと疑ったり、それを責めて攻撃をしてしまうと、交際関係に亀裂が入ることも。
ここからは、そんな嫉妬心による負の影響を防ぐため、各専門家が教える「嫉妬心をなだめるテクニック」をご紹介。
書き留める
「感情を心の中に抱え込むのは健康的ではありません。特に嫉妬心は、そのままにしておくと交際関係にも悪影響を及ぼす可能性があります」と、ベヴァン先生。
パートナーや信頼できる友人、セラピストに打ち明けるのが難しい場合、日記に書き留めるのがおすすめとのこと。
「自分に何が起きていて、それに対してどんな感情を抱いているのか、正確に書き起こしてみてください。言葉にすることで、嫉妬心と建設的に向き合い、否定的な思考から抜け出すことができるかもしれません」
ネガティブをポジティブに変換する
嫉妬心のような強い感情は、押し殺すのではなくポジティブな感情に変換することが重要、とチャンブリス先生。
「たとえば『嫉妬をしてまで必死に守りたくなるような大好きな人に出会えてよかった』と考え方を切り替えて、恐れ、悲しみ、怒りの感情を“感謝”に変換してみるとネガティブ思考に陥る余地がなくなります」
恋愛以外に焦点をあてる
生活をしながら自分の意識を向けるべき対象を、恋愛以外のことに当てることで嫉妬心が薄まることもある、とリーヒさん。
「日常生活送りながら考えていることを洗い出して、その比率を円グラフにしてみてください。きっと、恋愛や交際関係の他にも、家族や仕事のこと、友人や趣味などを考えていることもあるでしょう。可視化してみることで、恋愛がうまくいかなくても、他の要素で人生を楽しむことができると実感できるかもしれません」
相手と話し合う
ラブリオラさんは、「定期的に交際関係のステータスをチェックすることが大切」とアドバイス。
「どうしたら二人の結束をさらに強めることができるのか、相手と話し合ってみてください。嫉妬心が生まれてしまうような気持ちのアンバランスや、すれ違いを避けることができるでしょう」
嫉妬心を感じてしまうことに罪悪感を感じるのではなく、なぜそう感じてしまうのか、どうやってその感情をポジティブなモチベーションに変えるのかを、自分自身に聞いてみるのが、嫉妬心と付き合う一番のカギ。
もしも嫉妬心に苛まれて辛い思いをしているのであれば、参考にしてみてください。
※この翻訳は抄訳です。
Translation: Aryung Kim、YUUMI IKEUCHI