パートナーを理解するための考え方として知られる「愛の言語」。これは、結婚カウンセラーのゲーリー・チャップマンさんが『愛を伝える5つの方法』という書籍で紹介し、人気となった考え方。30年前に紹介された考え方ですが、今でも一部の専門家たちの間で使われているものだそう。

本記事では、「プレゼント」を通して愛情表現をする意味や、パートナーとの付き合い方をご紹介します。


【INDEX】


「愛の言語」とは?

臨床性科学者で心理療法士のクリスティ・オーバーストリートさんは、「基本的に愛の言語とは、人それぞれがどのように愛を表現するか、受け取るか、愛を伝えるかの違いを説明しているものです」と解説。

だからこそ、自分、パートナー、親、友達の愛の言語を知るのは大切だと、恋愛エキスパートのラルベさんも強調します。

「相手の愛の言語で接することで、より想いが伝わりやすくなります」

チャップマンさんによると、人が愛を伝える方法には5つのパターンがあり、相手にとって何が重要かを知ることが関係性を深めるポイントになるというもの。そのパターンは、肯定的な言葉、奉仕する行為、プレゼント、クオリティタイム(質の高い時間を過ごす)、スキンシップに分けられているそう。

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自分の愛の言語を知りたい場合には、サイト上で無料公開されている診断テスト(英語)を使うのもおすすめ。パートナーにも試してもらえれば、お互いのことを知るきっかけになるはず。

愛の言語「プレゼント」の意味

臨床ソーシャルワーカーで『Writing with Love』の作者であるアシュリー・スターウッドさんは、愛の言語「プレゼント」について、次のように説明。

「小さなギフト、大きなギフト、高価なもの、安価なもの…愛の言語がプレゼントの人は、自分のことを想って贈られたプレゼントから愛を感じます」

「プレゼント」が愛の言語である人にとって重要なのは、プレゼントそのものではなく、その“背景”。

そのため、想いが込められていなかったり、間に合わせの贈りものにはあまり意味がないとオーバーストリートさんは言います。

「この場合、“プレゼント”は象徴的な“愛のリマインダー”です。相手が自分のためにプレゼントを選んでくれた時間やエネルギーに価値を見出すのです。なので、たとえ高価なものでも、そこに思いが込められていなければ愛が伝わらない可能性もあります」

また、プレゼントが愛の言語の人は、もらうだけでなく、誰かに贈りものをすることも好きな場合が多いのだとか。

portrait of smiling young woman with dog
Fabio Formaggio / EyeEm//Getty Images

愛の言語が「プレゼント」な人の特徴

  • プレゼントを贈り合うイベントや記念日を重要視する(クリスマス、誕生日、バレンタインデーなど)
  • かなり前もってプレゼントを準備する
  • 記念日のプレゼントを忘れたことがない(カードやちょっとしたお揃いグッズなどでも必ず用意する)
  • お花やコーヒーなど、ちょっとしたプレゼントが大きな意味を持つ
  • 記念日などでなくても、ちょっとしたものを相手によく買う
  • 心のこもったプレゼントとそうでないものの見分けがつく
  • プレゼントでも想いが感じられないものは嬉しくない
  • 花一輪でも、相手や理由によっては高価なジュエリーと同じぐらいの意味を持つ
  • パートナーが奢ってくれると、普段以上に大切にされていると感じる
  • たまにでも奢ってくれないとがっかりしてしまう
  • 相手に喜ばれるものを見つけるのが得意
  • 特別な思い出をよく覚えている
  • 花束を捨てられず、ドライフラワーにしたり、押し花にしたりしたことがある
  • パートナーがお気に入りのフーディやTシャツをくれたら、ずっと着てしまう

愛の言語が「プレゼント」の人への誤解

物質主義で欲深い

オーバーストリートさんは、「この愛の言語は物質主義とは全く関係がありません」と説明。

「相手がプレゼントを探すのに時間やエネルギーをかけているというところが大切なのです。プレゼントが愛の言語の人はそこに価値を感じています」

愛の言語が「プレゼント」である人にとって、プレゼントはパートナーに大事にされていると感じられ、何度も振り返ることができる物理的な象徴。そのため、たとえばパートナーが部屋を片付けてくれる、パートナーと一緒に映画を見ることよりも大事なのです。

また、人間関係のセラピストであるエイドリアン・ミッシェルさんは、愛の言語を自分で選ぶことはできないと指摘。

「愛の言語は、子どもの頃にどのような愛を受けて育ったか、そのときの経験や気持ちも関係しています」

プレゼントは高価で派手なものでないといけない

プレゼントはお金の問題ではなく、それにかけた想いが重要なポイント。つまり、相手にもよるものの、海で拾った貝殻や近所で売っているクッキーであっても、相手にとって意味があるものであればいいのだとか。

たしかに誕生日や記念日は普段のちょっとしたプレゼントよりは凝ったものである方がいいけれど、それもお金の問題ではありません。たとえば、手作りの写真アルバム、動画、お互いの思い出の曲を集めたプレイリストなど、想いが伝わるものであれば◎。

もちろん、プレゼントに求める値段や種類は人によって異なるため、話し合うことも忘れずに。特別なプレゼントをもらうのが好きな人もいれば、ちょっとしたものを定期的にもらうのが好きな人もいるので、相手のタイプを探りましょう。

経済的余裕がないと付き合えない

これまでにも紹介している通り、プレゼントの値段に重きを置いているわけではないため、必ずしも経済的余裕がないと付き合えないとは限りません。

「必ずしも裕福である必要はないんです。むしろ、同じ価格の物をもらったとしても、経済的余裕がない人からもらった場合の方が、関係性を大事にしていると伝わりやすいこともありますから」

もちろん、経済的な余裕がないときに、パートナーへのプレゼントのために困窮する必要はありません。オーバーストリートさんは、「一番思い出に残るプレゼントは、お金がかかっていないものであることも多いです」とアドバイス。

相手が何を好きで、必要としていて、興味があるかを探り、想像力を働かせることが大切ということ。

お金のかからないプレゼント案

  • 映画のチケット
  • 相手が好きな香りのキャンドル
  • 訪れたことのある場所のクリスマスのオーナメント
  • 相手と話したことがある本
  • 庭で摘んだ花のブーケ
midsection of gay couple holding flower bouquet
Fabio Formaggio / EyeEm//Getty Images

愛の言語が「プレゼント」の人との付き合い方

まず、愛の言語が「プレゼント」の人にとっては、二人でゆっくりする時間や、相手のためにキッチンを掃除するなどの貢献は、プレゼントをもらう時ほどのトキメキは感じません。だからこそ、記念日や誕生日などの節目には、前もって準備をして、相手を思いやったプレゼントを探しましょう。

また、普段にちょっとした贈りものをするのもおすすめ。ラルベさんによれば、「愛の言語は日常的に感じられることが重要」とのこと。高価なものや派手なものではなくていいので、小さなブーケや、外出時に見つけたお菓子などを手土産にするのも喜ばれるでしょう。

もちろん、実際どんなものが好きなのかは人によって異なります。ジュエリーや香水が好きな人がいれば、プレゼントとしてデートのサプライズが好きな人もいるので、パートナーの好みをリサーチすることを忘れずに。

相手の好みのタイプのプレゼントを知るためには、相手が自分にどんなものを贈ってくれるのかに注目するのもGOOD。実用的なのか、オシャレさを重視しているのか、自分が欲しいものをくれるのか…相手の傾向を知ることが手助けになるはず。

スターウッドさんは、「想いが込められていないプレゼントは、何もあげないよりも悪いこともあります」と忠告。プレゼントをあげるのが得意でない人は、相手にどんなプレゼントが好きかシンプルに聞くことも関係性を深めるポイントです。

愛の言語が「プレゼント」の人が心掛けるべきこと

ラルベさんは、パートナーとコミュニケーションをしっかり取ることの重要性を指摘。

「プレゼントが愛の言語である人はパートナーにきちんと伝え、勝手にがっかりしたり、愛してもらえていないと勘違いしたりするのをやめましょう」

その際に、自分の好みをしっかりと伝えるのもおすすめ。パートナーにとって贈りものを選ぶヒントにもなるだけでなく、自分のストレスを減らすことにも繋がります。

また、“金銭面”は恋愛関係において多大な影響を与える存在。相手の状況を理解し思いやったうえで、必要な場合は贈りものの予算などについても事前に話しておきましょう。

「あなたの愛を満たす責任は、パートナーだけにあるものではありません。自分の愛の言語がプレゼントなら、自分へのご褒美も忘れずに」
senior man surprising wife with flower
ER Productions Limited//Getty Images

愛の言語がパートナーと異なる場合は?

オーバーストリートさんによれば、愛の言語がパートナーと異なっても心配する必要はないといいます。

「多くのカップルが、同じ愛の言語を持っているわけではありません。そして愛の言語が同じだからといって必ずしも関係が長続きするわけではありません」

その代わりに重要なのは、相手とコミュニケーションを取り、相手の愛の言語で愛を伝える努力をすること。

「大事なのは、自分が受け取りたい方法ではなく、パートナーが好む方法で愛を与えることです」

一緒に愛の言語を学び合うことで、お互いに愛情表現をしやすく、愛を感じやすくなるそう。また、相手なりの愛情表現の仕方があると認識することでも絆は深まるのだとか。

どの愛の言語であっても、パートナーとコミュニケーションを取ること、共感しながら聞こうとする姿勢を持つこと、相手の愛の言語で愛を表現することが最も重要。改めて自分、そしてパートナーと愛の言語について話すきっかけを作ってみるのもいいかもしれません。

※この翻訳は抄訳です。
Translation: Haruka Thiel
COSMOPOLITAN US