9月頃から反ユダヤ主義発言を繰り返している、“Ye”ことカニエ・ウェスト。彼の発言に感化された一部の人がナチス式の敬礼をするなど、社会問題に発展している。

カニエの度重なるヘイトスピーチを受け、多数の企業やセレブたちが批判メッセージを発信するなか、ついに元妻のキム・カーダシアンも沈黙を破りコメントを発表。


繰り返されるヘイトスピーチ

先月末のファッションウィークには、白人至上主義のスローガンである「White Lives Matter(白人の命は大切)」と書かれたTシャツを着用したことで、業界内外から大きな批判を浴びたカニエ。さらには、彼の行動を批判したアーティストに対し、「ユダヤ系にコントロールされている」とInstagramで反論。

今月初めには、「俺が目覚めたら、ユダヤ人にデフコン3を行う」とツイートしたカニエ。これは国家安全保障に関連するアメリカ軍の言葉で「デフコン3」のことを指していると伝えられ、防衛体制のレベルを3に引き上げるという意味だと多くの人に捉えられることに。

この発言に限らず、SNS上でヘイトスピーチを繰り返したことから、一時はInstagramやTwitterに制限がかかるという一幕も。

その後もインタビューなどで、性と生殖に関する健康をサポートするNPO団体「プランド・ペアレントフッド」について、「ユダヤ人の人口をコントロールするためにできたものだ」と暴言を吐くなど、問題発言を繰り返したカニエ。

一時は態度を一転させ「傷つけたことについては謝りたい」としながらも、「発言は後悔していない」と話すなど、反ユダヤ主義の考えを曲げないことを明らかにしている。

社会問題に発展

カニエの発言に感化された一部の人によって、高速道路に「カニエは正しい」と書かれた横断幕を垂らされたり、ナチス式の敬礼をする人々が現れるなど、社会問題に発展している。

この事態を重く見た一部ブランドやメディアが、カニエ・ウェストと決別することを発表。

さらに、所属していたタレント事務所もカニエを解雇したほか、テレビ局の「MRC」は完成したカニエのドキュメンタリー番組の放送をしないことを発表。「彼の発言に力を与えるようなコンテンツを支持することはできない」とテレビ局の役員がコメントしている。

カニエ・ウェストの反ユダヤ発言に元妻キム・カーダシアンが反論
Edward Berthelot//Getty Images
バレンシアガも、カニエとの関係を断つことを発表したブランドの一つ。

元妻キム・カーダシアンも批判

企業に限らず、リース・ウィザースプーンやジジ・ハディッドなど多数のセレブもカニエのヘイトスピーチを批判。

以前からユダヤ人へのサポートを表明している著名な料理研究家ジェシカ・サインフェルドは、「今回の件について、どのように言葉にして良いのか悩んでいる人は、これをSNSでシェアして」と呼びかけている。

instagramView full post on Instagram

また、メイクアップアーティストで活動家のマット・バーンスタインは自身がユダヤ人でクィアであることを踏まえたメッセージを発信し、多くの人が賛同している。

「セレブが陰謀説やヘイトを拡散させたときは、しっかりと批判しましょう。あなたは真に受けないかもしれないけれど、本気で信じる人もいるからです。反ユダヤ主義は、決してジョークではありません」

ついには、しばらく沈黙を続けていた元妻のキム・カーダシアンもSNSで批判コメントを発表。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
「ヘイトスピーチが許されることはあってはならないし、正当化されることはない。ユダヤ人のコミュニティをサポートし、彼らに対する恐ろしい暴力とヘイトで溢れた言葉が直ちに終わることを求めます」

波紋が広がりつづける、カニエ・ウェストの数々の反ユダヤ主義発言。また、カニエが手がけるブランド「YEEZY」とのコラボレーションで注目を集めてきたアディダスも、「反ユダヤ主義やヘイトスピーチは容認できない」とし、提携終了を発表している。